| 村松さんというのはとても不思議な人です。まずいろんなことをよく知ってらしゃいます。たとえばアイルランド音楽、たとえば温泉、たとえば料理。でも「マニアック」というのとは、ちょっと違います。いうなれば「生活に凝り性」ということでしょうか。飛行機が大嫌いで自転車と電車が好きで、日の出とともに目をさましお酒を飲むと眠くなっちゃって、紅茶が好きで、パンを焼くのが好きで‥‥その村松さんのエッセイ集がここで販売できることになりました。
ピアノの吟遊詩人 村松健 プロフィール
おさない頃よりピアノをおもちゃがわりに、呼吸するように旋律を生み出し、18歳でスタジオミュージシャンとして活動開始。大学在学中の1983年にソロ・アーティストとしてアルバム・デビュー。
このエッセイはMUSIC PLANTの管理者も実はお風呂に入っている時、もしくはトイレにすわっている時に読んでます。村松さんごめんなさい。でも一つ一つの章の長さといい、ちょうどいいんだも〜ん。NHKの「きょうの料理」や「ADLIB」等に掲載されたものに書き下ろしのエッセイを加えてまとめた随筆集。忙しい人にこそ読んでほしい一冊。以下に私の好きな「道草」をご紹介します。あと巻末にまとめられたコンサートでのトーク集も必読。
道草 旅先の昼食は、よくメンチカツやいなり寿司を買って道端でとります。そうすると少しだけ旅人でなくなる気がするからです。店の前やバス停のベンチ、それが無ければお宅の前ではやはり気が引けるので、森や農協の倉庫とか何となく公な雰囲気を持った場所を見つけるのです。私は夏場は沢風の涼しい、そして秋から春にかけては南向きの白壁の陽だまりで、美味しく頂きます。
そんな片隅を領分にしていると、昼食をとりに家路に就く人々が、目の前を物珍しそうに通り過ぎて行きます。低いアングルの世界は懐かしく、遠い面影が頭を過ぎります。小一時間もすると妙に堂に入ってきて、私はずっと昔から此処に居る様な、お地蔵さんに成った様な錯覚に陥るのです。遠くに郭公が鳴いていたりして、実に楽しい一時です。(C)KEN
MURAMATSU
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