THE MUSIC PLANT(以下MP):こんにちは。今日は忙しい中、時間をとっていただいてありがとう。
デイヴ・ベインブリッジ(以下DB):いや〜、さっきは電話を取れなくてご免ね(約束した時間に電話をしたら不在だった)。ちょっとワイフのために医者に薬をもらいに行いかなくちゃいけなくてさー(と、このようにデイヴはファミリー・マンなのであった)。
MP:全然大丈夫ですよ。ところで、録音マシンをチェックするから何かしゃべり続けててもらえますか。
DB:オーケー。えっと、今、日本って何時なのかなぁ、ここではもう夕方の五時になる。そろそろお茶の時間をいれなくちゃー。
MP:・・・ありがとう。マシンは大丈夫みたいです。私はプロのインタビュアーではないので、質問もたくさん考えてないんですよ。英語もあやういし。あなたの独自のしゃべりに期待します。
DB:ははははは、うまくしゃべれるかなぁ。
MP:まずは、あなたが子供のころに好きだった音楽について・・。
DB:うーん、子供のころは、デイープ・パープルとかジェントル・ジャイアント、イエスの大ファンだったよ。それから・・ホースリップスみたいなアイリッシュのバンドも好きだったし。1970年代のフォークロック系のバンドは大好きだった。あとクラナドとか。その他には沢山のクラシック音楽を聞いていたね。マーラーとかイギリスの作曲家。あ、あと、マイク・オールドフィールドも大好き。
MP:去年のベストアルバムなんてある?
DB:そうだなー。またクラシック音楽かなぁ。E.J. MOERANというイギリスの作曲家なんだけど。田舎にすんでて、ハーモーニーとか素晴らしいんだな。彼の両親のうちどちらかがアイリッシュで、アイリッシュ・フォーク・チューンに影響をうけた音楽を作ったりもしているよ。ちょっと僕らみたいでしょ。まぁ、もちろん自分たちの解釈でやってはいるんだけどね。
MP:「オープン・スカイ」は4年半ぶりのスタジオ録音ですが、録音はどのようにスタートしたんでしょう。
DB:アイディア自体はおそらく3年くらい前からあった。ツアーとか結構やっている時期で。98年くらいには録音にとりかかりはじめた。そうこうしているうちにツアーとかがヘヴィだったこともあって、じゃあ休みをとろうってことになって、その間にメンバーが二人脱退したりして・・・。だから、さぁ、また一緒にやろう、って事になったときには、ある意味すごくリフレッシュされていたよ。
で、一緒にやりはじめた当初は、シンガーのジョアンヌの家に集まって・・彼女はすごく田舎の素敵なところに住んでいるんだけど、彼女の家に集まって、楽曲を作りはじめたりしてた。トロイと、僕と、ジョーでそれぞれ曲を書いて、また一緒に集まって・・みたいなそんな調子さ。で、実際そこで録音もはじめたりしてた。彼女のところには大きな部屋があってそこにモバイル・スタジオを持ち込んだりして。そうやってスタートしたんだけど、楽曲がそろうと、今度はイングランドのスタジオに皆ではいったりして。そんな感じだよ。だからなんだかんだで曲を書くのだけでも2、3年はかかっているかな。
MP:いや〜でもよく出来たアルバムですよね。最近のアルバムは頭3曲もきくと、もうCD聞かないで、次の事をはじめちゃったりして、じっくり聴けるものが少ないんだけど、「オープン・スカイ」は本当に最初から最後まで楽しめますものね。
DB:ありがとう!
MP:アイオナの昔のアルバムもそうだったけど、この作品は特にそうですよね。前のアルバムは、なんというか・・もっとポップな感じだった。でも「オープン・スカイ」はもっとmatureというか・・
DB:過去につくったすべてのアルバムが、楽曲一つ一つじゃなくて、アルバム全体が一つの大きな物語になるように注意して作っているつもりだ。終わりまでひとつの旅みたいにね。
実は「Journey into the moan」のアルバムはレコード会社から、数曲に対してもっとコマーシャルにするようにというプレッシャーがあったんだよ。僕らはかなり抵抗したんだけどね(笑)。
「Open Sky」については、本当に自分たちのやりたいように作ったんだ。だからかもしれない。あとその時持っている楽曲にもよるんだよ、たとえばインストが多い時期につくったアルバムとか、もっと歌が多いアルバム、とかね。あと長い曲が多かったり、とか、ね。
MP:長い曲はライブで、本当にはえますよねぇ。
DB:うん。でも、おもしろいのは、Song of Asentとか、ほんとうに長いでしょ。全部でほとんど23分あるんだけど・・本当に全部覚えておくのが大変なんだよ! で、何度か曲調が終わりそうな感じになるところがあるんだよ、実際は終わらないで、まだまだ曲は続くんだけど。でもそういう曲間で、お客さんが拍手したりして・・(笑)。まぁいいんだけどね! みんな感激している、っていことの表現だと思うから。
MP:はははは・・。次の質問は・・えっと、日本には来たことないんですよね?
DB:ないねぇ。トロイは一回行ったんだけどね。
MP:あれはミッジ・ユーロと一緒だったんでしたっけ。それが彼にとっては最初の来日?
DB:そうだよ。えっと、あれは・・一年くらい前じゃなかったかな。おかしいのはさ、彼が帰国していら、もう彼の家にいくたびに寿司を作ってくれるんだよ。ほんとだよ。しばらく寿司ばっかりだったよ! すごく日本にインスパイアされたみたいだったよ。
MP:ははは・・。他のアジアの国には行ったことありますか?
DB:ないねぇ! だから本当にはじめてだ。メンバー全員、すごく楽しみにしているよ。・・・そうだなぁ、日本のイメージねぇ。テレビでみたりはしているけど、そういう印象の寄せ集めだから、全然無知なんだよなぁ! イギリスのテレビの特集で、日本がでてきたんだけど、それがなんか、とてもヘンでさぁ・・本当はそうじゃないんだと思うけど。
MP:アイオナの音楽は・・でも、日本のオーディエンス向けじゃないかな。なんか今の日本のマーケットって、ラジオやテレビから流れてくるのは子供むけの音楽ばっかりだし、真面目なリスナーはいいものを一所懸命さがしているから、そういった人たちにアイオナはぴったりだと思うんですよね。
DB:ありがとう! おもしろいのは、6年か7年前にトライスランドっていうCDをきいたことがあるんだ。日本のバンドだよ。2人の日本人のコラボレーションで、尺八とかテインホイッスルなんだ。クラナドにいたポール・ブレナンが教えてくれたんだけど。これはリアル・ワールドから出ているんだけどね。面白かったよ。このあたりの伝統音楽が、日本みたいな全然違う国で受け入れられているのが、本当におもしろいと思った。
MP:へぇ。リアルワールドだったら手に入りやすいし、私も聞いてみようっと。日本ではね、たとえばスコットランド民謡の「オー・ラン・ザイン(螢の光)」なんか、日本人はみんな日本の伝統曲だと思っているんですよ。あと「ラスト・ローズ・オブ・サマー(庭の千草)」とか、日本語の歌詞がついていて、みんな学校で習うのよねぇ。
DB:へぇ! すごいねぇ! 庭の千草はトゥーラ・オキャロランだけどさ、最近、クラシックのベートヴェンが、ピアノの曲をアイリッシュの伝統曲からインスパイアされて作ったっていう説もあるらしいよ。・・あ、日本のことでもう一つあった。僕の好きな作曲家に坂本龍一がいるんだ。彼の映画音楽は素晴らしいよねぇ。彼もトラディショナルなフォークチューンとかをとりあげたりしてさ。それを西洋の音楽にあてはめたりして、本当にすごい。
MP:作曲っていうのは本当にすごい作業よね。あなたのギターとかを聞いていると、なんというかすごく作曲家型の演奏だな、って思うけど。
DB:僕は作曲家でもあるし、だいたい僕は最初はキーボード奏者だからね。アイオナにはいってだいぶギターを沢山ひくようになったけど。ジョーもピアノをひくからね。どうしても僕はギターをやる役になるんだよ。
MP:ギタリストの作った曲ってよくパターン化しちゃうときがあるじゃない? 手癖じゃないけど、なんかこういつもいくパターンみたいなのもあったりして。
DB:ブルーズのスケールとか、そういうことかなぁ。
MP:でもあなたの曲もフレーズもすごくイマジネイティブよね。なんかこう限界がない感じ。作曲するときはキーボードが多いんですか。
DB:いや、キーボードだったり、ギターだったり、ただ座って書いたり、突然思いうかんだり(笑)、・・いろいろだよ。
MP:ライブでみていると特に思うんですが、曲にむかってバンドが集中していく感じが本当にいいですよねぇ。
DB:そうだね。それはすごく力強いよね。でもただ単にインプロバイズしている時もおもしろいよ。
特にジョーの即興演奏は本当にすごい。ときどきそこからすごい良いアイディアがでる。だから、彼女がスタジオで演奏している時は常にテープをまわしてなきゃいけないんだよ。そうじゃないと彼女はすぐ忘れちゃうんだ(笑)。
「BOOK OF KELLS」に入っている曲なんか、彼女はレコーディングしているって知らないで演奏してて、その後、みんなでレコーディングしたテープを聞いてて「これは素晴らしい!」ってことになったりしてね。でも彼女は自分がその演奏をしたのを全然覚えてなかったりするんだよ。
MP:ジョーらしいですね! 彼女はすごくナチュラル・ミュージシャンですものね。
DB:本当にそうだね! 彼女はすごいよ。特に彼女のピアノの即興はすごいよ。そうそう、彼女のピアノは実際、日本のピアノだよ。YAMAHAさ。2、3年前に買った、大きなグランド・ピアノなんだけど。
MP:最後に、日本のオーディエンスにメッセージをお願いします。
DB:えーーーっと・・
MP:CDを買え、チケットを買え、と(笑)。
DB:はははは! 本当にそうだね。このコンサートを実現してくれた君のためにもね! バンドを代表して、みなさん、僕らに会いにコンサートに来てくれ!ってことかな。
いや〜でも、本当にすごい楽しみにしているよ。一ついえるのは、僕らは本当にライブをいつも楽しみにしているんだ。僕らはそんなにヘヴィなツアーバンドじゃない。みんな家庭もあるし、オファーがあればなるべく全部受けて、ツアーにでるようにしたいんだけど、それも難しいし。だから毎回毎回演奏するのを楽しみにしているんだよ。
MP:あぁ、それはたしかにアイオナのライブが素晴らしい理由の一つにあげられるかもしれませんね。演奏者が演奏をすごく楽しんでいる、っていう。そういえば昨晩、アイオナのメイリングリストであなたたちのアメリカのツアーのことが話題になってましたよ。6月の14日と7月の頭だったかな、2日だけ日程が発表になったでしょ。だからファンのみんなアイオナの1ケ月にわたる大きなアメリカツアーを期待して、興奮しまくってたわよ。
DB:はははは。それはないなぁ、残念だけど。おそらくその2日にそれぞれ一週間くらいずつの短いものになる予定。今、やっと新しいマネージャーが決まりそうで、その人がいろいろつめている段階さ。
MP:ファンの人は、みんな熱心ですよねぇ。
DB:アメリカは今まで3回くらいツアーしたこともあるけど、毎回楽しんでいるんよ。だから来年またいけるのを楽しみに・・あ、もう今年か! 時間がたつのは早いなぁ。
MP:がんばってくださいね。そうだ、ところで東京でのアコースティックライヴでのアイディアなんですけどね、いろいろアイディアはあるんだけど、せっかくの機会だからまぁ普通のライブだとMCでしゃべらないメンバーもいるじゃないですか。私がみた時はジョーとトロイがしゃべってたけど。たとえばあなたの声はステージではきけなかったでしょ。
DB:あぁ、あの時はダブルヘッダーで時間も短かめだったからね。でも、僕も時々しゃべるんだよ。
MP:フランクやフィルにもしゃべってほしいので、公開インタビューみたいなのをやってみようかな、と思ってて。
DB:いいアイディアだね!!
MP:それで以前ファックスで「トロイは彼は本当のマジシャンだから楽しみにしててくれ」って書いてありましたよね。いったい何をやるんですか?
DB:だから、マジックだよ。カードとか、そういうの。
MP:えぇ! ほんとに手品やっちゃうんだ!!
DB:ほんとうに彼の手品はプロなんだよね。おもしろいから、楽しみにしてて。アコースティックライヴの日は本当に楽しみだ。ほんとにこんな企画は東京だけだからね。他の場所ではやらないからな。ジョーはジョーで何かアイディアがあるみたいだし。
MP:それから、あと、ぜひON AIRの日は、2日間あるし、それぞれ日替わりメニューでやってもらえませんか?
DB:もちろん。先日おくったセットリストの他に4、5曲はあるし、なにかリクエストがあったらまとめてファックスしておいてよ。
(以上2001年1月5日 ヨークシャーの自宅に電話インタビュー)