TOSHIYUKI FUJITA talking about IONA
THE MUSIC PLANT(以下MP):まず藤田さんといえば、あの素晴らしいホームページ(Celtic Music Online & Coral Caves' official homepage)なんですが、アイオナ特集はホームページの何周年かなにかでしたっけ?

藤田(以下、藤):ケルティック・ミュージック・オンラインはもともと自分のバンド、コーラル・ケイヴスを紹介するものとしてスタートしたんですよ。それに加えて、自分の好きなアイリッシュ・ミュージック、ケルトミュージックのCDやアーティストを紹介していたんですが、そのうちに、普段活動していない(笑)自分のバンドよりも、どんどんそっちの方が膨 らんでいってしまったという・・(笑)。

「アイオナ特集」はホームページ のオープンから二周年を記念して作ったんです。アイオナのメンバーの一人、フィル・バーカーに何度かメールを送って、バンドのメッセージがもらえないかって頼んだんですが、本当にメッセージが送られてきたときは、感動しましたよ。いつか日本に行ってみたいと言う彼らのメッセージがこんなに早く叶うとは思ってもいませんでした。ま、それはともかく、このメッセージのおかげで、これはしっかり作らなくっちゃ、と言う気持ちになりましたよ。

MP:実に充実した素晴らしいページですよね。で、藤田さんが、アイオナを知るきっかけとなったのは?

藤:震災のおかげで移転した神戸・三宮の輸入CDショップ「ミスター・ジャケット」で、国内盤(ポニー・キャニオン盤:現在廃盤)のアイオナをたまたま見つけたんです。

まずは帯のコピーに惹かれましたね。「アイリッシュの誇り、ケルトの魂。紅一点ジョアンヌ・ホッグの美声が、広大で幻想的なサウンドにこだまする」「アイリッシュ/ケルト」というところと、「広大で幻想的なサウンド」という両方に惹かれましたね。「これだ!」って感じです。アイリッシュが好きで、もともとプログレの人間でしたから・・。

まず一枚ということで、最初に買った一枚は、もちろん「Book of Kells」でした。ジャケットで選ぶとすれば、やっぱりこれですよね。聞いてみて、いっぺんに好きになりました。当然、すぐに他のアルバムも買いに走りましたよ。

アイオナの好きなところは、まず、やっぱり、ジョアンヌの歌の魅力ですね。それから、デイヴ・ベインブリッジのどこまでも広がっていくギター。あと、シンセの効果的な使い方と、パーカッションの多彩なサウンドですね。1、2作ではデイヴィッドのサックス、その後のアルバムでは、トロイのロー・ホイッスルやパイプも泣かせてくれる・・・ま、要するに全部ですね!

MP:ライヴに期待するところは?

藤:なにせ初めてこの眼で確かめることのできるライブですから、それだけでもう幸せという感じです。ジョアンヌの声、デイヴのギター、トロイのパイプは特に楽しみですね。

あと、これはバンドと言うより、音響さんに対してですが、ヴォーカルとその他全ての楽器の音がクリアに聞こえるようなPAを期待しています。ロックの場合、ギターのキンキン言う音に、かき消されて他はまとも聞こえないっていうようなライブがありますからね。アイオナのようなバンドにとって、音のクオリティーって言うのはとでも大事だと思います。

因みに、これまでに聞いたロックバンドでいちばん音の良かったのは、イギリスのクラシック・ギタリストが中心になってできた「スカイ」というバンドでした。バンド全員の音が、細かいところまで、クリアに楽しめました。あのようなサウンドが聞けるとうれしいですね。

MP:そのバンドってどんなのでしたっけ?

藤:フュージョン、プログレ・・そんな感じですね。ジョン・ウィリアムズというギタリストがリーダーのバンドです。

MP:今回はアイオナが自分たちのエンジニアを連れてくるののに加え、ON AIRのベテランのエンジニアさんと二人体制でのぞむので、音はいいですよ! アイオナみたいに楽曲が複雑だとエンジニアが曲を知らないと難しいですし。ところでアイオナのライブでぜひ聞きたい曲とかありますか?

藤:リクエストしないでも、これは必ずやってくれると信じてるんですが、'When I Survey' です。4枚目のアルバムの「Journey into the morn」、2枚組ライブの「Heaven's Bright Sun」、そしてジョアンヌのソロ「Looking into light」と、CDにおいても3つのヴァージョンを聞くことができるんですが、どれも素晴らしい。きっと好きだから3回も録音しているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょ
うかね。

MP:あぁ、water is wideの・・やるかなぁ〜。

藤:そうそう・・歌詞が違うヴァージョン。それから、1日目のアコースティック・セットでは、ジョアンヌのソロの中から、'I Ask No Dream' を是非。とても静かだけど、熱い情熱に溢れている曲です。ところで16日の、それこそ、なかなか観る事のできない、貴重なアコースティック・ライヴの日ですが、告知のところに書いてあった、トロイのかくし芸って何をやるんですか? 

MP:いや〜デイヴが「トロイは本当にすごいから期待してろ」って言っているだけで、実は私も詳しくは知らないんです。

藤:きっと楽器をとっかえひっかえ、演奏するんじゃないかなぁ! どうかなぁ! 本当に才能のあるミュージシャンですものね。彼は最近ミッジ・ユーロと二人だけのライブをやっているみたいですよ。

MP:へぇー。すごいですね! 二人だけで?!

藤:彼のマルチプレイヤーぶりが発揮されるところですよね。トロイにはマディ・プライアとの活動とかもありますしね・・・そういえば、彼のソロ・アルバムですが、最初は、もっとゴリゴリのトラッド的なものを期待したんですけど、あの作品は全然違いましたね。どちらかというとニューエイジって感じですものね。

MP:今、早くも次作を作っているみたいですよ・・・あ、そうだ、あと藤田さんにクリスチャン系の音楽、ということについてもいろいろうかがいたいんですが。書いていただいたライナーで拝見すると藤田さん詳しそうだし。

藤:いや〜僕も、あまりくわしくないですよ。でも、せっかくだから、バンドのメンバーが伝えたいと思っているメッセージを、なるべくリスナーにも伝えたいと思うし。わからないなりに、なんとか書いている、って感じですかね(笑)。

MP:そうなんですか? すごくよくご存じなのかと思ってました。私は全然くわしくなくて・・大学は哲学科だったんですけどねぇ!! しかもキリスト教は上智大学の先生がきて教えてくれてたんだけどなぁ!

藤:そうだったんですか、哲学科ね。それはすごい!

自分の場合は、キリスト教と言うものを、むしろ、アイオナから教えてもらった感じですよ。日本じゃ、クリスマスや初詣、結婚式、お葬式に至るまで、宗教的な儀式に則ってやってることは、たくさんあるんですが、自分を初めとして、宗教を心底から信じている人って少ないじゃないですか。初詣に行って拝んだって「神」の存在を信じてる訳ではないし、葬式でお焼香することはあっても、特に真摯な仏教徒というわけでもない。

それがね、アイオナのメンバーとキリスト教の関係は、単なるポーズじゃないんです。彼らはそれぞれ神との関係の中で生きているんです。バンド活動を続けること自体が神の導きだと言っています。彼らのホームページをじっくりと読んでいると、いろんなエピソードが紹介されていますよ。3枚目のアルバム・タイトル「Beyond These Shores」なんか、ジョアンヌが「Beyond These Shores」という神の言葉を聞いてタイトルが決まったと言っています。なるほどキリスト教を本当に信じているってこういうことかと納得しましたよ。

MP:なるほど。・・・ ところで、何かキリスト教を理解するために、 おすすめの本とかありますか? 

藤:うーん、どうかなぁ。一冊選ぶのは、非常に難しいですよねぇ。

MP:たしかに、内容が片寄っていたり、難しいでですよね。でも三笠書房からでていた「この一册でキリスト教がわかる!」という文庫本。これは、おもしろかった。あとは遠藤周作とグレアム・グリーンかなぁ。キリスト教とロックが融合した音楽って多いんでしょうか。

藤:バッハ等の宗教音楽はもちろん、キリスト教をテーマとした音楽って多いですよね。でもアイオナのように、バンド活動そのものが神の導きだって言うレベルのバンドは現代では限られていますね。

ジョアンヌのお父さんが牧師さんだったというのが、彼女に大きな影響を与えているんじゃないでしょうか。最近ではエンヤのお姉さんで、クラナドのモイア・ブレナンがクリスチャンとケルトの融合をつきすすめた音楽を作ってますよね。ここ2枚くらいはその方向が色濃く出てます。アイオナのオフィシャルページの掲示板とか見て、思うんですけど、彼等の、クリスチャン系の人からの支持ってやっぱりすごいですよね。ヨーロッパや西洋社会は、やはりキリスト教抜きには語れないんじゃないでしょうか。

MP:本当に。でもね、デイヴが日本にあるクリスチャン系の雑誌を紹介してくれたんだけど、超閉鎖的! 電話して「こういうバンドが日本に来るんですけど」って言ったら「そういったバンドはしょっちゅう日本にきてますから、全部載せるわけにはいきません。(お金を払って)広告出稿をお願いします」みたいな感じで、音すらも聞いてくれないの(ぐすん)。

あと結構ショックだったのは、とある音楽雑誌のとある編集者が「危ないバンドじゃないでしょうね」って言うんです。まぁ、若い奴だったんでしょうがないんですけど、まいっちゃうよなー。日本だと久米小百合さん(『異邦人』のヒットで知られる久保田早紀さん)とかが、がんばっていらっしゃるし、アメリカだと、ラップに至るまで、クリスチャン・ミュージックぬきには語れないのに。もちろんゴスペルもそうだし。

キリスト教についてちょっと知っているだけで、今回のアメリカ大統領選なんかも分かりやすく楽しめました(笑)。まぁ、これを読んだクリスチャンの皆さん、ぜひ応援をお願いいたします。


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