Yasunori Mitsuda Talking about IONA
アイオナのヴォーカリスト、ジョアンヌ・ホッグが、プレイステーション・ゲームソフト「ゼノギアス」のサウンド・トラックで美しい歌声を聴かせてくれていることは、ご存じの方も多いと思います。今回はその「ゼノギアス」のレコーディング・プロデューサーであり作・編曲を担当された光田康典さんに、インタビューを試みました。(ちなみにこのレコーディングは、THE MUSIC PLANTの野崎がコーディネイトをお手伝いしました)

THE MUSIC PLANT(以下MP):昨日、リバーダンス観たそうですけど、どうでし た?   もう何回観たんだっけ?

光田(以下、光):うーん、もう5回くらい観ましたかねぇ。今までなんだかんだで。やっぱり今回もスパニッシュの彼女はスゴかったですねぇー。

MP:最初に観たのはロンドンのハマースミスだったんだよね? あれは、ジョアンヌ のレコーディングの後だったっけか?

光:そうそう! そうですね。

MP:アイオナを初めて知ったきっかけは、いつ頃ですか? 

光:僕が最初に聴いたのは、ちょうどセカンドの頃かな。えっと、「Book of kells」ですね。ちょうど、あのジャケットの後ろを見た時に元カジャ・グーグーのニック・ベッグス君が(笑)写ってたのが・・・。ありゃ?って。それが、きっかけかなぁ。

MP:へぇ〜! 彼は、でも、本当にウマいですもんね!

光:えぇ。彼のベースはすごくいいし。カジャ・グーグーってアイドル・バンドって言われてましたけどね。でも腕はたしかですよね。 ・・・あと、あのアルバムはジャケットもいいし。それから、僕、最初、このバンド名を、イオナって読んでたんですよ。で、「化粧品だ!」(笑)っていうのもあったし・・・? でも、まぁ、ほとんどジャケ買いだな。で、聴いたらもう一発! 一発で気に入りましたね。「これだーーー!!」って。ちょうどその頃、あのゲームのプロジェクトをやってた時で。歌い手さん、どうしよ、って考えてたんですよ。

MP:え、そうなんだ!? そんなに前に?

光:アイルランド系の大物アーティストとか、いろいろ候補は考えていたんだけど、 もっとピッタリあう人がいるはずだ、ってずっと思ってて・・・

MP:それが何年くらい前?

光:それが、5年くらい前かなぁ。だってあのレコーディングからもう4年経ってますよね? で、その1年くらい前から企画は立ち上がってましたからね。

MP:あ、そっか、そっか、ゲームのプロジェクトって開発期間が長いんだもんね。

光:そう。だから4、5年は経っていると思うんですよね。

MP:好きなアルバムといったら、やはり「Book of Kells」ですか? 

光:うん、そうですね。「Beyond These Shore」もすごく好き。う〜ん、どっちもいいですね。・・・あぁ、でも曲としては、「Beyond 〜」の方がいいかな。完成されている、っていうか、ファーストからだんだんと音が確立されてきて・・・。3枚目は一番最初に聴いたりするのには、いいかもしれない。

MP:POPですよね。

光:そうですね。でもアルバムとしては「Book of Kells」かなぁ。やっぱり大作が いいですよね!

MP:たしかに! ライブで聴いたら泣いちゃうんじゃないですか?

光:そりゃーもぉ・・・いや、本当にだめかもしれないですね、ライブでは聴けないかもしんない(笑)!! かなりヤバイかもしれないですねぇ(笑)。

MP:ライブに期待しているところってどこですか?

光:ライブに期待するところは・・・そりゃ、もう実力のある人達だし、完璧ですしねぇ。すべてが期待なんですけど。もう待ち遠しくて! 本当に長年、来てほしかったんですけど、やっと来るって感じですよね! 話に聞くと、えらい懲り性の皆さんらしいので、細かいところまで期待してますよ!

MP:それは期待して期待しすぎることはないですよ。楽しみにしてください。

ところで、ここを読んでいる人達は、ゼノギアスのレコーディングの裏話を聞きたいんじゃないかな。私がもちろん知っていることもあるんだけど、ぜひここは光田さんの言葉でお願いしたい(笑)。あれは・・96年??

光:96年の12月だったですね。

MP:寒かったですもんね。で、あの時ってジョー(ジョアンヌ)がベルファーストから・・・

光:そうそう。電車で。

MP:え、で、どっかにウチらって彼女を出迎えに行ったんだっけ?

光:いやいや、ジョアンヌが直接スタジオまで来てくれたんですよ。それも一人で。

MP:そうだったっけ? 

光:そう、それで、ご飯の前に歌ってくれたんですよ。

MP:ほんと、よく覚えてるよねー!

光:まかしてくださいよ(笑)。それで「いつもこういう録り方してるから」って言 って、3回歌って、もう3回とも完璧なんですけど(笑)、あとはニュアンスの問題 で差し換えたって感じ。でも、ほとんどイッパツOKなんですよ。エンジニアのフィリップ・ベグリーが、ちょっと入れ替えたりしている、その最中に彼女はご飯を食べて たんですよ。で、ご飯を食べ終わって「じゃあコーラス・パート録りましょうか」って言って、歌って・・・で、一曲録り終わっちゃったんですよ。

MP:あ、そっかー! で、ウチらはホテルに一緒に戻ってきたんだ。なるほどね。

光:で、翌朝はフロントでおちあって、写真を撮りつつ(笑)、みんなで歩いてスタ ジオに行ったんですよ。

MP:うわ〜、一緒にスタジオまで歩いたのなんて、記憶に全然ないや。

光:ないですか(笑)? 

MP:しかし、よく覚えてるよねーーー!! たしかに、あのスタジオとホテルの距離 って微妙でね、タクシー拾うとあの通りがめちゃくちゃ混むし。歩いて行くには、ちょっとあるけどね。・・・ほんと、よく覚えてるよね。

光:で、もう一曲録った(笑)。それも、また3テイクで、その後、2時頃にランチ を食べたんですよね。で、ランチの後にまたコーラス。最後は編集して、7時くらい に終わったんですよ。で、彼女はそのまま電車に乗ってまたベルファーストに・・・

MP:思いだした! それでエド(当時スタジオのアシスタントをしていたエド・ケネ ハン)が車で送ってったんだよね!

光:そう、そう!

MP:エドが送っていったのはなんか鮮明に覚えてるんだよね! お、エド、気がきく じゃんって事で(笑)。で、おかしいのは、そのエドが今ルナサのエンジニアやってんのよ。レコーディングもやっているし、ツアーも。

光:へぇ〜!! それは会いたいなぁ!

MP:で、スタジオでジョアンヌの歌声を生で聴いて、どうでした?

光:はあぁ〜〜〜そりゃ、もう感動しましたね。一番最初に・・・こっちは録る前に オケとか流してて、で、ヴォーカル・ブースで彼女がもう歌っているんですよ。その時点で「これはスゴイ!」って僕一人で興奮してましたもん。はぁ〜もう、そりゃ、どうしよう、みたいな感じですよ。で、実際マイク通して、コントロール・ルームのスピーカーに彼女の声が流れてきた時は、もぉ〜〜本当に・・・今まで音楽やってきて、一番感動したレコーディングでしたね。僕の中では。

MP:そこまで言う! 

光:えぇ。やっぱり本当に彼女にお願いしてよかった、と思って。

MP:しかし結局のところ本人に接触している日本人って、あの時のレコーディング・チームだけらしいのよ。ライター、評論家関係あらったんだけど、誰もまだみてない。本物のジョアンヌは写真よりおばちゃんだった、とか、ある??

光:はははは(笑)、でもあんまり写真とは変わらないですよね。

MP:さっぱりしてていい人だったよね。そういえば、スタジオで、彼女が馬の写真集 を見てたのが、印象的で・・・。なんか彼女モニターから自分の声が聞こえてくるの が、イヤみたいだったじゃん(笑)。で、コントロール・ルームにいないで、別の部屋に行っちゃう、っていう(笑)。

光:あぁ! あれって、なんででしょうねぇ(笑)! そうそう、ドアとか閉めちゃったりして・・・別に音痴だったらそういうのわかりますけど、ホント完璧なのに! キャーとか耳を押さえて逃げてましたもんね。

MP:アイオナのレコーディングとかでもそうなのかな。歌った後は、デイヴに全部まかせちゃって、とかさ。

光:どうなんでしょうねぇ。

MP:たぶんジョアンヌにしか分からないものがあるんだろうけど。

光:ホントあれは不思議でしたよねぇ、なんか(笑)・・・そうだ! それでレコー ディングの途中で、ジョアンヌの新曲を披露してくれたんですよ!

MP:え! そんなのあったっけ? いやー覚えてない!! 私、寝てたのかなぁ!?(笑)

光:ジョアンヌがピアノの弾き語りで歌ってくれたんですよ。

MP:きゃーーこの幸せ者!!

光:で、そのメロディを僕、覚えてたんですよ。

MP:うわーマジ〜???!!

光:で、あのソロのアルバムあるでしょ、ジョアンヌの。あの中に入ってたんですよ。これは、誰も知らないんだろうな、って。

MP:あのスタジオには、いいピアノあったもんね。

光:そう。で、「これ、今作りかけなんだけど、考えてるの」とか言って。

MP:きゃあ。

光:で、弾いてくれたんですよ。

MP:へぇーへぇ。しかし、本当によく覚えてるよねー。

光:そりゃーそうですよ、忘れないですよ。

MP:しかし、あのレコーディングは面白かったよね。あの時じゃなかったっけ、ルナサとか初めて観たの。

光:そうそう、当時はルナサって言ってなかった。Sean Smyth bandとか。

MP:Featuring John McSherry and Micheal McGoldrickで、マイケルは電車かなんか乗り遅れて来ないしさー(笑)。あの時は、おかしかったなぁー。(ドーナル・ラニー・バンドで来日してた)ジョンがいるからって言って、みんなでHarcourt まで行ってさー。

光:そうそう、あのライブはすごかったですよね。いや〜懐かしいですねー。

MP:でもまだ4年くらい前の話だもんねぇ。すごい前のことみたい。それがルナサも 日本に来たし、とうとうジョアンヌも来るわけだもんね。楽しみだよね。

光:アイオナはアルバム自体がすごい作りなので、ライブでそれをいかに・・・その空間で楽しませてくれるのか、楽しみ。で、演奏者のレベルはCDで聴いてわかるように、本当に高いし。演奏がどうこうというよりは、その場の空気を、とにかく楽しみたいですね。

MP:なるほど。そうそう、ジョアンヌがステージで歌っている感じがまたいいんだよ ねぇ、こう、なんか腕を動かしたりして・・・すごくいい雰囲気なのよ。

光:いや〜楽しみ。

MP:きっと涙ふくタオル持ってきた方がいいよ。

光:もちろん、持っていきます! タオルはわかんないけど、ハンカチは絶対に持っていく(笑)!

MP:リクエストとかあります? 言うだけは無料だし(笑)。

光:うーん、うーん、まぁー「Book of Kells」で・・・うーん、うーん、うーん、そうだなー、そうだなー・・・この中からせめて一曲でもいいからやってほしい!

MP:それは大丈夫じゃないですかね。

光:僕とアイオナの出会いのアルバムですから。まぁでも今回は「OPEN SKY」での来日だから。

MP:たしかにニューアルバムからはおそらく沢山やりますよ。

光:だから、アンコールとかでもいいから・・・今まで来日してなかったから、一度 「Book of Kells」で来日してほしい! で、アルバムごとの来日をもう一回やって ほしい!

MP:はははははは。それはおもしろいかもね! その時のセットで。

光:そう、だから、一回が「Book of Kells」で、で、次が・・・そうすると・・あ と何回来れます?(笑)うーん、これは、相当お客さん入るな!(笑)

MP:いや〜今回機材がすごいから大変! でも初来日だから機材だけは、予算うんぬんより彼らのリクエストどうりに借りてあげたくてね。すごい、よ。航空券代と機材、ほとんど予算が一緒、という (笑)。で、エンジニアも彼等が連れてくるし、音には妥協はないです、ハイ!

光:おぉーっ! 楽しみだ!

MP:あそこ(ON AIR WEST)って、結構音作るの、難しいのよ。だから ON AIR のエンジニアさんも入ってもらって、二人体制でやるから、もう完璧よ。

光:アイオナのエンジニアってどういう感じなんですか?

MP:普段一緒にツアーしている人だから、すごくうまい。アイオナって曲も複雑だし、曲知らないエンジニアじゃ、無理だよね。しかし、ホント楽器がすごい。ギター・スタンドだけで、10個とかそういう感じ。

光:すごい!

MP:ジョーもアコギをひくでしょ、で、トロイがシターンにブズーキ、アコギ・・そ んなこんなで10コですよ。で、デイヴのキーボードが、またすごい。

光:楽器を見るだけでも楽しそうですね!

MP:私もいっぱい手配しちゃったから「お客さん、楽器、見て、見て!」って、そう いう感じよ(笑)。そうだ、ゼノギアスのCDも会場で売ろうね! 今日は本当にありがとうございました。
 


これがインタビュー中にもでてくる「BOOK OF KELLS」のバックカバー。

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