THE MUSIC PLANT(以下MP):今日はお忙しいところすみません。まずはアイオナを知ったきっかけから教えてください。
宮武さん(以下、宮):たまたまだったんですよ。お客さんの声からフィードバックをもらったんです。僕はいつもミュージックプラントの商品の通販を扱っているわけですが(THE MUSIC PLANTのホームページにおけるCDの通信販売は、宮武さんが主宰するKasaya.comによって行われている)、その中でアイオナが入荷されてきた。で、何人か買われたお客様が、「とにかくいい」「この前買ったCDはよかった」と。
その後たまたま入荷してきたCDの一枚にケース割れがでたのを発見したので、お客さんがこれだけいいというのだったら自分でも買って聴いてみよう、と思って、そのケース割れの一枚を自分で買って聞いたのがきっかけでした。で、あまりにも素晴らしかったので、続けてジョアンヌのソロアルバムとオーケストラとの共演盤の2枚も買って、聴いて、もうノックアウト! それが出会いでした。
MP:どういったところが彼等の音楽の魅力なんでしょうかね。
宮:これはちょっと音楽を作る側からの考えかもしれませんが、やっぱり曲作りの基本姿勢がね、プログレッシブ・ロックなんですよ。
使っている楽器はパイプとかケルティックな、トラッドな楽器を中心にやってたりしますけど、アイオナの音楽は、曲作りの展開、精神的な作用を考えて作られていますよね。だから単に「このメロディをきかせたいから」ということで、ルーティンでやってしまおうという、そういう単純な発想じゃなくて、やっぱり一つの、明確な設計図があって・・きっとね。で、それに対していろんな肉付けをしていく・・というか・・彫刻というか、芸術家が、こう、骨組みとか、肉付けしていきますよね。明確な設計図があって、組み立てらている感じですよね。
断片、断片を聴いていても、おそらく(ケンソーの)清水さんも分かるだろうし、私もわかるんですが・・理屈じゃないんですよ。リスナー側は、それを聞いて感動したり、びっくりしたり、笑みをうかべたり、泣いてみたりとか・・とにかく作りこまれているんですよ。
一番はヴォーカルがいい、ってことでしょうね。まずはそれにつきるでしょう。僕はもともと・・クラシックというか、トラッドな部分から聴きはじめたんで・・それが僕のプロセスなんで、そういう私にとっては、一番すんなり聞ける。素晴らしいところを列挙したらきりがないですが、まず女性ヴォーカルが素晴らしい。これは、本当に間違いなく素晴らしい。
あと同じコード、同じ楽器編成であっても、三流と一流の音が違うんですよ。同じコードで同じ編成でパッと音を出したとしてもね。アイオナはとにかくシンプルな事をやっても一流の音を出しているし。
あと、もう一つ僕が好きなのは、ギターの音色なんですよ。ギターの音色がね、天空につきぬける瞬間があるんですよ。これはトーンとフレージングです。トーンだけでもだめだし、フレージングだけでもだめ。両方あいまらないとダメなんですよ。トーンとフレージングでビョーンと高まったところで、突き抜ける瞬間があるんですよ。それをね、僕は「天空につきぬける」って自分で呼んでいるんですが。清水さんもそういうギターを弾かれますけど、つまり、アイオナの音楽は、それが分かった人の音楽だな、というのが僕には分かるんですよ。ただ細かい音符をね、横並びにしているだけでは、それはでてこない。細かい音符を3つに並べていてもね、アラン・ホールズワースみたいに、個性があれば、別格なんですけどね、その音数のつまり方だけでもないんですよ。だからこのパーンとぬけていく瞬間がね、すごくうまいですよね。
あとやっぱり、僕が好きなのが、ヴァイオリン。何度もいうようにドラムとヴァイオリンという組み合わせがね、非常に合理的ですよね、静なる部分ではヴァイオリニストで、動なる部分ではドラマーという。素晴らしいですね。例えばギタリストとヴァイオリニストが兼任のバンドでは、ギターとヴァイオリンは一緒に弾けませんよね。ところがアイオナの場合、ドラマーがヴァイオリニストという。で、非常に楽器の入りかたも絶妙ですね。あきさせない。ある意味では、娯楽性に富んだバンドだと思います。
あきさせないテクニック。同じようなロックの3コードになったりするとあきるし、このジャンルでよくあるんですが、ジャズっぽい重苦しいインプロヴィゼーションが続くと退屈になったりしますけど、そこのところの計算がすごくよく出来てますよね。それから、やっぱりね、メロディがいい!
MP:泣いてましたもんねぇ、宮武さん(笑)。
宮:そう! アイオナはメロディ・メーカーなんですよね。メロディというのはね、心がね、本当の意味で澄み切ってないと、できないんですよ。
音楽には三要素あって、メロディ、ハーモニー、リズム。で、メロディは他の2つと違うんですよ。ハーモニーとリズムやアレンジ、これは勉強したらしただけ向上するんですよ。だから時をつみかさねれば、ハーモニーであっても、リズムであっても、すごくグレードアップしていくんですけどね、メロディに関しては、これはね、その時に自分がどういう気持でひたむきに書いたか、ということにかかってくるんですよ。だから歳を重ねたから、いいメロディがかける、というわけではないんですよ。若いころにいいメロディをかいてたのに、今かけない、って人もいるし、逆の人もいるし。譜面もよめないのに、いいメロディを書いたりしている人もいますしね。だからメロディは、なんというか、音楽的な成熟とは別の、人間的な、非常にヒューマンな部分がでる部分なんですよ。その人が今どういう生き方をしているか、そういう部分がリアルにでる部分なんですよ。それがね、やっぱりアイオナは素晴らしいんですよ。
「OPEN SKY」はやはりバンドの音として素晴らしい。あとオーケストラとやった「WOVEN CODE」も素晴らしいですね。オーケストレーションも素晴らしい。今までいろんなオーケストラが入ったロックのアルバムを聴きましたが、それの最高峰の部類に入るでしょう。最終的に刹那的というか、メロディがね、哀愁をおびて、曲がはいっていくところがあるんですけどね、もうそういうんもすごくよく出来ているというか。非常にトラディショナルなところでパワーがある、という。
あと圧巻はジョアンヌのソロ・アルバム。あれはアレンジが素晴らしいですよね。特に最後の曲ありましたよね、アレンジが素晴らしい。なんというか、趣味がいいんですよ。ちょっとしたレストランでもね、入って、内装の感じがいい、とかあるでしょう。友人宅に行って、ちょっと置いてあるオブジェがいいとか・・・これはもう理屈じゃなくてね、音楽の趣味がいいですよ。何をどこにひっぱってくるか、という。それはメロディにしても楽器にしても。何をどこでひっぱってきて、あるいは、表情・・マイナーコードにするか、とか、何をそこにひっぱってきて聞かせるのか、という、非常に巧みですね。潜在的な力というか、楽器を長年やってきてでてくる力もあるんでしょうけど、やっぱりその人たちが持ってた質ですよね。それも大きいと思うんで、メンバー一人一人のそういった資質の結晶だと思うんですよね。
今ね、いろんな有名なバンドで、名前だけ残ってやっているバンドがいますけどね、僕はそういうバンドには興味がないんですよ。そういうバンドは終わっている、と。昔の栄光にしがみついてですよ、今、形態もかわったし、それだけじゃなくて、昔の曲をリバイバルだけをやって日本に来られている、という、ね。でもアイオナにおいては、すべてが現在進行形であす。それでいながら古き良き時代の、いろんなものをミックスさせて作っていたプログレッシブ・ロックの全盛期の、そのころの伝統というか、作り方の基本的部分をうまく踏襲してます。だから理屈じゃなくて、センスですね。ここには、こういう音を使うんだ、という。これが一番の感動ですよね。音楽の運び方が巧みだから、ついつい聞き入ってしまうし、曲自体は非常にシンプルな場合も多いと思うんですけど、特にオーケストレーションが、でしゃばることなく、しかし重厚にささえている・・という。やっぱり言葉にはでないほど、いいですね。
MP:本当にライブが楽しみですよねぇ。
宮:今度ルネッサンスという大御所が来日しますし、行くよ、という人も多い。でもアイオナはね、進行形のバンドだと思うんですよ。ルネッサンスは間違いなく横綱であり、どちらかというと名誉会長クラスですよね。名誉があって、一時代を築いた人たちですけど、最近の、感銘をうけるアルバムという意味では、僕はアイオナがおすすめですね。僕もルネッサンス大好きですけどね。
MP:いや〜ルネッサンスはね、2月の頭に来る、という噂があったんですよ。だから告知のチラシまかせてもらえないかなぁ、と期待してたんですが(笑)アイオナより後になっちゃいましたね。でもルネッサンスは東京は厚生年金ですから、大きいですよね。新譜もでたみたんですけどね。
宮:あぁ、新譜を聴かないといけないなぁ。
MP:アニー・ハズラムの単独公演みましたけど、これも青年館かなんかの大きいところでやってましたが、良かったですよ。
宮:ルネッサンスは別格ですよ。でも、アイオナは、現在進行形で、今一番脂がのってますから、これから伝説が作れるバンドだと思いますよ。
MP:そうですねー。そうですねー。
宮:今、名前だけで・・どことは言わないですけど・・昔の栄光だけに・・やっぱり夢を壊してほしくないですよねぇ。やっぱりアイドル歌手のAが復活した時くらいのショックですよ。私コンサートいってテープなげてましたもん。やっぱりね、今さらでてきてほしくなかったですよね。自らの伝説を否定することになりますからね。そうしなきゃいけない事情も分かりますけどね。
アイオナはこれからのバンドですからね、何よりもまやかしがないのがいいですよね。だまくらかして「このバンド最高!」みたいにして、実際きいて「なんじゃこりゃ」ってのが最近多いんですよ。だから本当にメンバーが資質としてそういうものを持っているし、褒めているときりがないですけど、僕は聴いた瞬間に・・これは久しぶりにこういう曲作りの・・リスナーとの・・心のかけひきですよ・・それができるバンドがでてきたな、という。その・・なんか心のかけひきができるバンドであるし。感動をシェアできる・・。
それも本当に、お客様からそれをいただかなかったから、僕もこのバンドのことは知らなかったわけだし。最近そういうバンドが少ないんですよ。プレイヤーの自己満足におわっちゃったり、お客さんにこびて自分たちに何も残らなかったり・・。音楽はファッション性も大事だけど、最近はそれがあまりに好まれてて・・でも、その向こうに人生がみえるような曲作りをしないとダメなんですよね。最近すべてが新聞とか・・新聞は一日たつともう古いでしょ・・新聞とか、週刊誌みたいな中で、アイオナは久々によめる文庫本、というか、長編小説、っていう感じがするんですよ。
MP:アイオナのライブ、本当に楽しみですね。ちなみにチケットはミスターシリウスレコードでも購入できます。なんと当日、ご案内のハガキと実券とのひきかえは宮武さん自らが行ってくれるそうです!!