BIOGRAPHY of kan

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皆さん、ぜひお運びください!! 
絶対に後悔はさせませんよ!


ここにコメントを書くにあたって、kanの、昨年の衝撃の来日公演を思い出してみている…

いやー ホントにびっくりした。すごいライブだった。そして…お客さんとミュージシャンの信頼度ってすごいなと思ったね。まだまだ無名でCDすらろくにリリースされていない新しいバンドの公演が、用意した会場は小さくても、それなりに埋まってしまった。そしてなんとなく赤字にならずにも済んだので、これは続けていくしかないだろう、と私も勇気づけられたのだ。東京でたった2回の公演だったけど、初日の公演後に、2日目のチケットが良く売れたね。これは観れば観るほど,もっと観たい! そう思わせてくれる最高の音楽だったのだろう。本当に会場に来てくれたお客さん、ありがとう!

kanはFLOOKのブライアン・フィネガンと、LAUのエイダン・オルークをフロントに、これまたイアン・ステファンソンとジム・グッドウインの二人という最強のリズムセクションで結成されたものすごいカルテットである。彼らはなんとなく4、5年前くらいからバンドとしてライブを重ねつつ、2年くらい前にCDがやっとリリースされ、そして昨年はじめて東京にやってきた。もはや日本通のエイダンと、FLOOKで日本は体験済みのブライアンはともかく、ジムとイアンの二人は日本は初めてで、食べ物も日本食が苦手で(笑)キョロキョロと物珍しそうにしていて可愛かったなぁ! 彼らは前から日本に来たい、来たい、と言ってきてくれていたのだが、CDが出るまでは私もあまり彼らの将来について確信していなかった。でも出来たCDの内容がもうめっちゃ良かったんだよね。だから初来日公演を決めた。自分で言うのもなんだが、これは相当なギャンブルだったと思う。

でもお客さんは無名のバンドの小さなライブを応援しようと駆けつけてくれたし、彼らは私の、そしてもちろんお客さんの期待に200%答えてくれた。ホントにすごいライブだった。東京での演奏は私がグラスゴーで4年前にはじめてみたライブよりもうんと良くなっていた。

特にこれは相当スペシャルだな~と思ったのはドラムだ。ブライアンとエイダンがものすごいのは、こっちにとってはある意味当たり前の事で、さすが奴らの演奏には間違いがないなと思ったのと同時に、ドラムについては本当に新鮮な驚きだった。ドラムのジムはトラッドの世界においては新参者だ。マンチェスター出身のジムはFLOOKの、同じマンチェスター出身のジョン・ジョー・ケリーと仲良しだった。いつだったかジョン・ジョーが何かの理由で来られなかった公演にブライアンが「代わりのパーカッショニストは誰かいないか」と聞いたところジョン・ジョーは「僕以上のバウロン奏者はいない」と断言した上で「ドラマーだったらいる」と推薦したのジムだったそうだ。

昨年の公演が終わったあとピーター・バラカンさんが私を見つけて「いや~、クールフィンと同じくらい良かったかも」なんて言ってくれたのは私も相当嬉しかった。ピーターさんにとってはやはりクールフィンに近いということが最高の褒め言葉なのだ。確かにクールフィンは今や伝説になっちゃったけど、最高のバンドだった。本当にクールフィンみたいにドラムが入るケルト系のバンドは久しぶりだった。そもそもケルト音楽はドラムと非常に相性が悪い…悪いというか、非常に難しい。まっすぐに入ってくるドラムは全体のグルーブを台無しにしてしまうことが多いのだが、その点ジムのドラムは本当にスペシャルだ。なんていうか、ホントにセンスがいいんだよね。センス、これ大事。下手なのは練習すりゃなおるけど、センスはなかなか治らないから…

ケルト系のグループは多数ある。有名バンドから無名バンドまで。でもやっぱりウチの連中はみんな格別だ。ルナサを筆頭にフルック、そしてLAUと、良いグループを紹介してきた。そんなTHE MUSIC PLANTファミリーの中でも、本当に期待の、これからまだまだ大きくなるであろうグループはkanを置いてほかならない。ホントにホントに、ホントーーに彼らはものすごくかっこいい!

それにしてもまだまだ小さいバンドだ。昨年彼らが来日した直後、ちょうどジャーニーのドキュメンタリー映画が上映され、そのせいもあり、私はいったいバンドってなんだろう、こんな小さなツアーやってて何か意味があるのか、って散々考えた。今も東京にはストーンズが滞在していて、クラプトンまで日本に来るらしい。世の中は嫌なことばかりで、みんな自分が良かった時代を思い出して昔の音楽を聞きたいと思っているのかも。その気持ちは良く分かる。そんな中、私が作って、お客さんが100人くらいやってきてくれる、この小さなライブはホントにちっちゃな(笑)ちっちゃ~な存在だ。まるで道路脇に咲くタンポポみたいだ。いや、タンポポどころじゃない。荒川土手に咲く犬ふぐりみたいな雑草かも。でもこの音楽は最高に、私たちを力づけてくれる。そしてこれは今の、明らかに今を生きている音楽だ。そしてきっと明日の未来も私たちを勇気づけてくれるに違いない。そういう音楽なのだ。

それにしてもこのバンドはどこに行くのだろう。ドラムがあるしロックっぽいから文化財団系やクラシックのホールには売れないだろうな。いったい、これからどうやって育てていこう… ずっと私がこうやって1枚ずつチケットを売るしかないのか。いろいろ考えるけど、でもこの音楽が自分と同じ時代に存在し日本にも来たいと言ってくれていること、そして数は少ないけど熱狂的なお客さんが待っていてくれるという事実がある限り、私が降りるわけにはいかんだろう、と強く思う。

そんなわけで、彼らがなんとか日本でライブを続けられるように、前回のコンサートをみた皆さん、ぜひ! ぜひ! 今度はお友達を連れて戻ってきてください。ウチのコンサートのお客さんは、実は見事にお一人様が多い。これはホームページでチケットを売って一人一人のお客さんの名簿を付けている私はよく知っている。私も自分の好きな公演やイベントは一人で行くほうなので、お客さんの気持ちは理解してるつもりだ。人なんて誘ってたら自分のやりたい事、いつまでたっても出来ないもんね。でも皆さんがもう一人、もう二人、誘ってくれることで、またこのバンドは成長できる。そして個人のブログとか、SNSとかで宣伝/告知してくれることで、この小さな花は、犬ふぐりみたいに荒川土手をいっぱいに出来るかもしれない。

というわけで,皆さん、ぜひお運びください!! 絶対に後悔はさせませんよ!

そして今回はなんと! kanとして初めて京都に行けることになった。関西は実はあのFLOOKですら行けてない場所なのだ。つまり、あのブライアン・フィネガンが初めて関西の地を踏むことになる。見てろよ、関西(笑)。ブライアンのホイッスルはすごいぞー!

2014.3月
THE MUSIC PLANT
野崎洋子

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ブライアン・フィネガン Brian Finnegan

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北アイルランド、アーマー州出身。FLOOKでも活躍しているホイッスル/フルートの名手。また現代を代表する作曲家でもある。

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エイダン・オルーク Aidan O'Rourke

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LAUでも活躍するオバン出身のフィドラー。BBC FOLK AWARDでベストミュージシャン賞を受賞。

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イアン・ステファンソン Ian Stephenson

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ニューカッスル出身のギタリスト。BBCのYoung Folk Awardで1999年に鮮烈のデビューを飾った422のメンバー。北欧/UKの混合バンド、Baltic Crossingでも活躍する。

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ジム・グッドウイン Jim Goodwin

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マンチェスター出身のドラマー。センシブルなドラミングは多くの伝統音楽バンドにひっぱりだこだ。

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