NEW ALBUM

全身の血液が逆流する興奮、やがて訪れる沈思の時。
幻視者に導かれた、ここにしかない音楽。

「天鵞絨症綺譚」

2002/5/22発売
発売/販売:キングレコード
CD番号:KICS954
 

KENSO:清水義央/小口健一/光田健一/三枝俊治/村石雅行
 
1
: 精武門 
2
: 禁油断者マドリガル 
3
: 韜晦序曲 
4
: 木馬哀感 
5
: Tjandi Bentar 
6
: 謀反
7
: 夢想用階段 
8
: Echi dal Foro Romano
9
: 隠遁者の娘
10
: 太郎という生き方 
11
: 夜のドッペルゲンガー 
12
: Isolated Jiro 
13
: 和解
14
: 陰鬱な日記
15
: 自他溶融


1980年に自主制作のファースト・アルバムをリリースして以来、 常に日本のプログレッシブ・ロックの頂点に君臨してきたKENSOが、 前作「エソプトロン」から3年、さらなる高みにその姿をあらわした。
 
今や日本のトップ・ドラマーとして多くのファンを持つ村石雅行が 『KENSOは、僕にとってのフランク・ザッパ・バンドだ』と語っているが、 確かにKENSOは各メンバーの先鋭化した表現欲求を徹底して満たすことが 出来る場であると同時に、メンバー同士が刺激し合い、切磋琢磨すること を要求するバンドである。
今回のアルバムはその妥協を知らない創造集団が極限に挑んだ成果といえる。

『つけいる隙がまったく無い』と評される完成度を誇り、多くのファンが 最高傑作とする91年発表の「夢の丘」。
リーダー清水のルーツであるブリティッシュ・ロックの骨格に結びついた、 類まれな演奏力という躍動する強靱な筋肉を、常に前進することのみを 指令する中枢神経が駆り立てた99年発表の「エソプトロン」。
これらに続く本作品は、清水自身が「KENSOの到達点はこれだったんだ と言われれば本望だ」と語る、まさに究極の作品である。

作曲は主に清水によるものであるが、小口や光田も曲を提供しており、 それぞれの個性と音楽的アプローチを反映した、いずれ劣らぬ 秀作ばかりである。

そして、その複雑な楽曲を更に高めるためにメンバー全員による 総力戦ともいうべきアレンジが施され、かつてのプログレッシブ・ロックの 名盤がそうであったように、繰返し聴くごとに深さを増してゆく凄みが アルバム全編に漲っている。その気迫と情熱は聴いていて恐ろしいほどだ。

また、KENSOのアルバムを通じて印象深いのは、ロック、ジャズ、クラシック といったメンバーそれぞれのバックボーンが有機的に交わって構築された音に、 自家薬籠中のものとした世界各地の民族音楽のエッセンスが加えられている ことなのだが、今回は特にバリ島のガムランのアンサンブルを大胆に とり入れた曲が、バリの民族衣装さながらに鮮やかな色彩を輝かせている。
更に、フラメンコ歌手によるカンテを見事にロックと融合させた曲では、 熱い興奮に背筋がぞくぞくとすることを免れない。

「『天鵞絨症』というのは耽美的なもののメタファーとも捉えられる。」と かつて大脳生理学の研究者であった清水は語るが、このアルバムにおける KENSOの音楽自体が、熟達した職人によって織り上げられた天鵞絨の光沢 ともいうべき妖しい光を放っている。そして音楽、医学の研究の傍ら、 古今の文学を渉猟して暇(いとま)ない清水ならではの幾層にも 練りこまれた謎解きの要素も、KENSOの音楽が単にテクニカルな インスト音楽から自ずと隔たるものであることの証左である。

なお、カバー・アートは、スティーブン・キングやダニエル・キースの著作の 装幀などで有名な藤田新策氏の描き下ろしである。
その幻想的な作品は 音楽と相まって、「天鵞絨症綺譚」の迷宮を音の世界にとどまらず 肌触りさえ感じさせる実体として眼前に展開せしめていると言えよう。

『ここにしか無い音楽』、KENSOの新作にはそんな表現がまさに似つかわしい。


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税込価格:3000円(税抜:2857円)

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