JAPAN TOUR REPORT 2000
マーティン・ヘイズ&デニス・カヒル来日公演ツアーレポート

MARTIN & DENNIS ON STAGE (PHOTO BY TAKAO HATAKEYAMA)

まずはコンサートへいらしてくださった沢山の皆さん、ありがとうございました。本日(10/30)無事、彼等はそれぞれ帰国いたしました。というわけで、恒例のツアーレポートを書きたいと思います。写真などのちほどまた追加していくつもりですし、また思い出したことなどあれば、書き加えていく予定ですので、お楽しみに。また皆さんのライヴレポートなども募集しておりますので、ぜひぜひ、こちらまでメールください。


10月24日(火)

マーティンとデニスは、マーティンがシアトルから、そしてデニスがシカゴからそれぞれ到着。当初二人の到着時間はマーティンのフライトの方がデニスより40分くらい遅いスケジュールのものでしたが、そこはさすがアメリカのエアライン。マーティンのフライトは予定よりも1時間近く早く到着。反対にデニスのフライトはかなり遅れたので、マーティンが先に出て来ました。久々にあうマーティンはすごく元気そうでした。久々といってもこの前にあったのは7月下旬だったから3ケ月くらいしかたってないんですが。しかもそれが直接お会いした最初の機会だったので、日本で会うのが2度目、ということになります。だから今、こうしてツアーが終わってみて、彼等のような素晴らしいミュージシャンと知り合いになれて、一緒に仕事ができて、改めてうれしく思っているところです。あ、やばい、レポートが終わってしまった。えっと、そういうわけで、マーティンと一緒に、デニスがでてくるのをしばらくロビーで待っていました。

マーティンに、この夏のダブリンのナショナルコンサートホールで行われたコンサート(他の出演者はドーナル・ラニー、アルタン、キーラ、クランなどなどとにかくオールスターで、連日1週間のシリーズ)はどうだったか、と聞くと、「いや〜あれがこの夏の一番のライブだったね」と言ってました。うーん、やっぱりみたかった。マーティンは、はじめての国、日本に到着して「うーん、これが日本か!」とキョロキョロしながらしみじみと感動してました。マーティンによるとシアトルの空港にも日本語アナウンスがあるんだそうです。「ほんとかよ」と思ったら、シアトルは日系の企業が多いからなんですって。

さてそんなこんなで20分くらい待っていると、デニス登場! こちらもすごく元気そうです。二人は、成田空港の第一ターミナルの駐車場を眺めながら「ちょっとダブリンの空港みたいだ」とまたしみじみしていました。プランクトンの井内くんの運転するヴァンで都内へ移動。渋谷のあまりの人の多さにびっくり。「スターバックスはどこにでもあるなぁ」とマーティン。マーティンによるとスターバックスってシアトルの会社なんですって。渋谷の居酒屋さんで、プランクトンのスタッフの皆さんと合流。デニスはおすしが大好き。特にまぐろとサーモンがお気に入りだそうです。マーティンはベジタリアンで、そういった情報はすでにマネージャーから得ていたので、こちらも分かっていたんですけど、マーティンったら「あのー僕はどちらかというと野菜が好きなんだよね」とすごい謙虚な感じ。来日メンバーにベジタリアンの人がいると、どのくらいヘヴィか、卵は大丈夫か、乳製品は大丈夫か、魚はどうだ、とかやたら過敏にこちらも事前に食事する場所へいってメニューを確認したりと過敏になってしまうのですが、マーティンは他の人に気を使わせないように、すごく控えめなんですねぇ。感動してしまいました。で、この居酒屋で発覚したのが、二人とも結構甘いもの好きだ、ということ。みんなでデザートを5つも6つもたのんで、がんがん食べちゃいましたが、マーティンが一番食べてました。一番のお気に入りはパンプキン・プリンでした。デニスはアイルランドでは結構飲んでいるのをみましたが、マーティンはとにかく一滴も飲みません。ミネラルウォーターが大好きで、いつもお水を飲んでいます。あとは紅茶が好きで、飲み物を頼むときは、いつもマーティンは紅茶(ミルクティー)、デニスはコーヒーです。というわけでこの日は二人ともアイリッシュ・ミュージックのグループにしてはめずらしく、アルコール類を全然飲まず、というスタートでした。
 

10月25日(水)

この日はプロモーションおよびTOWER RECORDSの新宿店さんでインストアイベントです。11時すぎからインタビューがはじまり、食事をはさんで3本の取材をうけました。またこの場所で、取材記事の掲載情報などをお伝えいたしますので、楽しみにしていてください。現在のところの掲載予定はこんな感じです。<>内はインタビュアーの方のお名前です(敬称略)。

●ラティーナ(2001年2月号・1/20発売)<大島豊>
●タワーレコード・ミュゼ(掲載号未定)<松山晋也>
●音楽の友(来年発売号以降)<鈴木茂(音楽之友社)>
*尚、鈴木茂氏の取材記事は、他にもケルト音楽決定本「アイリッシュ&ケルティック・ミュージック」の新版(現在計画中!!)にも掲載予定。

インタビューの間にランチを食べながら、いろいろ話をしましたが、二人とも大統領選の話が大好きで、特にデニスは、なにかというと大統領選の話ばかりしていました。どちらを二人が指示しているかはここでは内緒にしておきますが、デニスによるとデニスが指示していない方の候補者は「ユースレス」だそうです。そして、みんな彼の笑顔に騙されているのだそうです。デニスは、彼の発言をテレビで聞きながら「あ、そう、わかった、だから何? だから何?」とさわいでしまうのだそうです。そのくらい彼の発言は意味がない、と言ってました。そういえばアイルランドで彼等のアイルランドのマネージャーのエイミーとデニスとドライブしていたときも、二人で政治家のディベートのラジオを大音量で聞きながら、アイルランドの政治話についてあれやこれやと批判してましたっけ。

取材が終わるとさっそくイベントのあるタワーレコード新宿店さんへ。機材をセッティングしたところ、機材にトラブルがあり、スタート時間が押してしまいましたが、それでも無事に演奏をはじめることができました。なんだかんだで40分くらいは演奏したと思います。イベント担当の鈴木さん、お忙しい中、本当にありがとうございました。イベントが終わるとCDを買ってくれた皆さんにサインをしたりして、CDも沢山売れたし二人とも楽しく演奏できてとてもよろこんでました。(左はステージの様子。右2枚は控え室での様子です)まぁ、でも本当にこの日の演奏も気合い十分ですばらしかったですね。そうだ、ハードロックギタリストの大谷令文さんが「ケンソーの清水さんにきいたよー」といいながら観にきてくれて、すっかり感動されてました。イベントはJポップのフロアで行われたんですが、本当にフロア中が彼等の音楽に吸い込まれるように聴いていましたね。本当に彼等の音楽は周りの空気をすべてすいこんでしまうようです。実際、ちょっとスピリチュアルな感じなので、なんというか、インストアというシチュエーションで、音楽の神様がちゃんと降りてくれるか(笑)心配な部分がなきにしもあらず、だったのですが、でもスゴかった。マーティンさすが! デニスすごい! 


INSTORE ON 25TH.  L>R  INSTORE STAGE SHOT,  MARTIN AT BACKSTAGE, DENNIS AT BACKSTAGE

インストアイベントが終わるとホテルの近くのタイ料理屋さんへ移動して食事をしました。マーティンの好きな食べ物は「日本食(これはお世辞だと思うけど)、イタリアン、タイ、インディアン」の4つだそうです。二人とも飲まないので、私だけワインで酔っぱらいながら、思わず自分の仕事上の悩みをクドクドと二人に訴えましたが、マーティンはすごく適切な、人生経験豊かなアドバイスをたくさんしてくれて、なんというか人間ができている、というか、落ち着いた、ほんとうに素晴らしい人だなぁ、と感激しちゃいました。本当にますますファンになっちゃった。

さて、そんなこんなで、食事の後、音楽之友社の鈴木さんがくれた日本のCDをちょっと聴いてみたマーティンは、それがあまりに素晴らしい、というので、日本の伝統的なCDを買いたい、と言い出しました。そこで二人をつれて、10時くらいだったのですが、まだオープンしているTOWER RECORDSさんへお邪魔しました。結局日本の伝統音楽で、よいものがみつからなかったんですが、マーティンとデニスは親切にも私と井内くんに「これ持っている? どんなのが好き?」とか聞きながら、1枚ずつ自分のお気に入りのCDを買ってプレゼントしてくれました。私がもらったのはキース・ジャレットの「ラ・スカラ」というスカラ座でのまったくのインプロビゼーションのライブ盤。実はこのレポートを書いている時点ではそのCDをまだ聞いてないんですけど、後でゆっくり聴こうと思ってます。

二人のジャズ好きは大変なもので、一応二人のCDや散らしをおいたり、面だし(CDの表面を出しておくこと)をしてあったりするので、それをみせるために二人をワールドのコーナーにつれていくのですが、そこでは仲間の新譜がでているのを試聴機でちょこっと聴くだけで(ソーラスの新譜など聴いてよろこんでいました)本当にワールドのコーナーには1分くらいしかいません。好きなのはジャズのコーナーで、この日はおそらく40分くらいはいたんじゃないでしょうか。夜遅いにもかかわらずかなりねばってました。マーティンは「明日もまた来よう」と言っていました。(私が知っているだけでマーティンは少なくともこの他に二回はTOWER RECORDSヘ行っていました)そうそうデニスはエミルー・ハリスの新譜を購入してました。私も思わず同じものを買いました。あとマーティンがあまりにすするのでブエナビスタ・ソシアル・クラブのDVDを買ってしまいました。
 

10月26日(木)

この日はかつしかシンフォニーヒルズでのコンサートです。彼等を1時すぎにピックアップし、会場へ。車で1時間半くらいかかったでしょうか。車の中でジャズのCDをずっと聴いてきたので、デニスはギターケースをあけるなり、ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビー」を弾いてました。うーん、素敵だ! そして早々に楽屋から飛び出し会場のステージを確認しにいったマーティンとデニスは、この会場の素晴らしさに感激しまくってました。本当に素敵なホールです。PAも、もちろん準備してあったのですが、自分で手をたたきながらホールの残響を調べてマーティンは「これはPAなしでいけるかもしれない」といって、サウンドチェックをはじめました。あ、PA通してないから、サウンドチェックって言わないのかな? ま、なにはともあれ、お互いにフィドルの音をデニスが、ギターの音、マンドリンの音をマーティンがそれぞれチェックしあい、二人で「これは素晴らしいからPAなしでやろう」ということになりました。

しばらくすると、司会のピーター・バラカンさんが到着し、二人は、ピーターさんと話すのが本当に楽しかったらしく、打ち合わせもそうそうに、ピーターさんと何やらマニアックな音楽の話で超盛り上がっていました。

そうそう、二人の甘いもの好きを知った私がユーハイムのバームクーヘンを差し入れると、二人とも本当においしそうに食べてました(やっぱり甘いもの好き!)。

というわけではじまったライブ。1部、そしてピーターさんのインタビューを15分くらいはさんで2部、という構成です。いや〜。本当にすばらしかった。そのライブの素晴らしさたるや、アイルランドで聴いた時と同様、そして、それ以上にまたもやブッ飛んでしまいました。なんていうか、いいんですよね。ほんと。これが音楽と思うと、他のものが音楽に聞こえなくなるので困ります。しかもPAなしの生音でしたからね、本当にスペシャルな、ちょっと体験できないようなコンサートでした。

ライブが終了後は、CDを買ってくれたお客さまにサインをしたりと大サービスの二人でした。お客さんに「よかった」「素晴らしかった」とか声をかけてもらって、二人もとてもうれしそうでした。

ピーター・バラカンさん、そしてかつしかシンフォニーヒルズの皆さん、本当にありがとうございました。

さて帰りはプランクトンのヴァンに乗り浅草を経由しつつ、渋谷へ戻ってきました。デニスは「くたびれたので寝る〜」といいながら早々に部屋に戻りましたが、マーティンはお腹がすいた、というので、プランクトンのスタッフの皆さんと4人でインド料理を食べにいきました。

そこでもなんだか自然と「マーティンの人生相談」的話題になり、その場にいた全員の年令を聞いて全員が自分より若いと知ったマーティンは「30代はいいぞ。30代が一番楽しい」などと言っていました。マーティンと話をしていると、なんかこう自然体で、ガシガシと仕事ばかりして生きている自分がどこか間違っているような気分にさせられます。マーティンは「まさか自分が音楽で食べていけるとは思ってなかった」と言っていました。なんて謙虚なんだろ! 最初のアルバムを作った時は、自分の家族と友人以外の誰が買うんだろうか、と真剣に思っていたそうです。あんな素晴らしいアルバム、滅多にないのに、ねぇ!
 

10月27日(金)

この日は12時に待ち合わせして渋谷の町を案内してあげました。やはり細かい買い物をしようとすると英語が通じないと厳しいものがあるらしいです。

そうだ、マーティンのあのトレードマークの髪の毛はナチュラルなんだそうです。だから朝とか早くホテルに迎えにいくと、髪の毛がぬれたままになっていて、その時は、ほとんどまっすぐになっています。これが乾くとともにだんだんとクリンクリンになってくるんですね。家族の中でクリンクリンにしているのは、マーティンだけだそうですが「こうやってとかすと〜」とやってみせてくれましたが、そうすると、アイルランドで私が会った、妹のヘレンや、お母さんと同じ髪質っぽくなります。なるほど。マーティンは「髪の毛というのは、母方の父親に似るんだよ」とウンチクを並べてました。一方のデニスのスキンヘッドはどのくらい頻繁に手入れをしているのか聞いておけばよかったんですが、聞くのを忘れました。

しかしこの二人は本当にオーディオとCD好きですね。まずはビックカメラで何やら細々とヘッドフォーンやシールド類をしこたま買い込んでいました。その後クロサワ楽器のヴァイオリンショップへいき、そこで、まず7万くらいのヴァイオリンから試演奏をはじめたマーティンでしたが、だんだんもりあがってきて、最後には500万も600万もするようなすごいヴァイオリンを店の人に出してきてもらって店頭でガンガン弾きまくってました。かっこよかったです。その後HMVさんへ。またもやワールドのコーナーは早々に、ジャズコーナーへ直行。そこで1時間くらいCDをみていました。マーティンはここで昔からさがしていたというステファノ・グラッペリが演奏するダニー・ボーイがはいったCDをみつけてすごく喜んでました。(というか、正確には、デニスがみつけて、マーティンに教えたんですが)マーティンがポストカードがほしいというので、そのまま東急ハンズに二人をつれていきました。普通東急ハンズに海外からのアーティストをつれていくと皆、けっこう興奮してよろこぶものですが、二人は他のものには全く興味がないらしく、淡白にポストカードだけを買って、ホテルに戻って来たので、ちょっと私は拍子抜けしちゃいました。本当にこの二人ってCDとオーディオにしか興味がないみたい。

買い物が終わった二人をつれて会場へ。会場へ到着するとサウンドチェックを念入りにした後、オリエンタルバザールへ出かけましたが、すでに閉店時間直前で10分くらいしか買い物ができませんでした。マーティンはプランクトンの川島さんに剣玉を教えてもらい、必死になってトライしてました。なんか運動神経がない感じで可愛かったです。30回くらいやってみて、最後には成功させて自慢げにしていました。うーん、努力家タイプなのね。(この剣玉には後日談があって、デニスがトライしたのですが、彼はなんと3回くらいで成功させてました! すごい!)

この日のライブは彼等が普段やっているセットとほとんど感じで、2部構成。以前の私の出張レポートでは書かなかったのですが(だって前もって知っちゃうとつまらないでしょ)、そうなんです。普段の彼等のコンサート、2部は2曲とういうか、2セットしかないんです。ほんとにすごかった!

 
 

 

ON STAGE AT ASTRO HALL on 27 Oct 2000

ライブの後は、イタリアンレストランで、今回の来日に御助力いただいたライターの皆さんや関係者の皆さんと打ち上げを行いました。本当に皆さん、お世話になりました。

前日のかつしかのホールでは、忙しくてほとんど聴けなかった私ですが、この日はステージのそでで、ラッキーにもこの日のほとんどの演奏を聴くことができました。彼等の演奏は危険ですね! なんか真剣にきいちゃったら、興奮しちゃって夜、寝る時に、全然眠れなくなっちゃう。寝ようとするとマーティンのフィドルが頭の中で暴れ出す、そんな感じなんです。うーん、あまりに危険!!

本当にマーティンのフィドルは世界一官能的で、美しく、情熱的で、もう説明のしようがありません。私はメロメロです。デニスのユニークなスタイル、そして二人の間を流れる異様な緊張感、というか、精神世界ですよね。いやーほんと、自分のところのアーティストをここまでベタベタほめると、何か言われそうですけど、私は本当に彼等の音楽はスペシャルなものだと思っています。できればアイリッシュミュージックのファンだけじゃなくて、もっともっと多くの人に聴いてほしいなぁ。

STAGE PHTO BY TAKAO TATAKEYAMA
 

10月28日(土)

 Martin & Dennis infront of Big Buddha

予算もそれほどゆとりがない事が多い日本ツアーのこと、普段は公演が終わるとさっそく帰国、ということになるのですが、アイルランドで二人にあったとき、マーティンがお寺や古い建物に興味がある、と言っていたので、今回は特別に滞在を延長し、二人をつれて鎌倉へ行くことになりました。また急きょライターの松山晋也さんがお家に招いてくださり、都合のついた親しいライターさんやツアーの関係者で鎌倉に大集合することになりました。土日は車が大変混む、ということで、車だけ早朝、都内を出発。二人は宿泊している渋谷から東横線にのって横浜へ。横浜から横須賀線で鎌倉へ、約1時間の電車の旅。電車の中でキョロキョロしている二人をみるのはおかしかったです。二人とも電車の中が広告だらけなのでびっくりしていました。マーティンは大船観音を電車の中からみつけて写真をとりまくってました。

鎌倉に到着すると、まずは松山さんの家に荷物を置きにいき、そのまま大仏へ。大仏は観光客であふれかえってましたが、二人とも非常に気に入った様子。マーティンは大仏自体もそうですけれど、植木の渋い雰囲気が気に入ったらしく「これは素敵だ」といって、写真をバチバチとりまくっていました。さて大仏から長谷観音へ向かう道すがら私がポッキーを買って歩きながらボリボリ食べてたんですが、それが気に入った二人は、私の袋からボリボリ食べまくってました。デニスなどはお土産にひと箱ポッキーを買ってかえるほどでした。長谷観音に到着すると、日本庭園などのディープな雰囲気に感激。大仏はフレンドリーな感じですが、長谷観音は暗いお堂の奥に金の像がある、という感じなので、その荘厳な雰囲気に二人ともすっかりのまれちゃっているのが、かわいかったです。 

二人ともすごくマイペースで、騒ぎまくる他のアイリッシュの人たちと違って、落ちついているというか、その場の雰囲気や空気を読むのがうまいですね。まぁ、あぁいう音楽をやっていれば当然なんでしょうけど、何をやるにも、周りの空気をよみとって、遠慮がちに、粗相のないように気を使っているのがわかります。特にお寺のような伝統的な場所ではとくにそうでした。

 


BEING TOURIST IN KAMAKURA

さて観光名所とともにお土産もの屋も沢山ある鎌倉ですが、二人の買い物の仕方がすごい対称的! マーティンは結構こまごまとお土産を、女の子のように沢山買っていましたが、デニスの買い物は男らしくてカッコよい!「俺は余計なものは絶対に買わない」みたいな姿勢。そのかわりアンティーク屋に入り、すっごい高いお酒をそそぐ、あれはなんて言うんでしょうかねぇ、中国風のアンティークを買ってました。値段はここに書きませんが、とにかく高かったです。本当はそれより高い仏様の頭をディスプレイしたようなものを買おうとしてたんですが、私が「これって大英博物館、って感じじゃない?」とか言ったのがよくなかったのか、余計だったのか、そっちは買うのをやめちゃいました。しかしデニスの買い物は、都内のオリエンタルバザールのようなお土産もの屋でもそうなんですけど、私に必ず「これはどう思う?」「おかしくないかな?」とか確認するんです。いわゆる本物じゃない、お土産ものぜんとしたものは嫌いらしく、その微妙なセンスを間違えないように気をつけている感じでした。うーん、さすが! 

反対にマーティンは、すぐお土産もの屋のおばちゃんたちの餌食になってしまうんです。気がつくとお店の人に囲まれて、いろいろと高いお土産をプレゼンされているので、脇から「これは高いよ」「カッコ悪いよ」とか言ってあげないと、買いたくないものまで買わされちゃいそうな感じなんで心配になります。また私が自分用にと思ってマグカップを買おうとしたら、マーティンは「僕が買ってあげる!」とか言って、買ってプレゼントしてくれたりして、本当に優しい人でした。

MATIN IN SHINYA'S HOUSE

デニスは現在お家を改築中なのだそうですが、なんと9ケ月前に購入したお家にまだ2ケ月しか住んでいないのだそうです(二人ともツアーが多いからなぁ)。現在台所を大改築中で、壁から床から全部取り替えるっていってました。で、その台所に置くステキなマットレスがあったらなぁ、と言いながらお土産もの屋をさがしていましたが、適当なものがみつからなかったようですね。

長谷観音を出て八幡宮(普通は順序が逆なんだけど)にいくと、すでに雨がバラバラとかなり強く降り出してきちゃいました。お土産もの屋をみながら八幡宮に到着するとまだ4時半だというのに宝物殿はしまっているし、雨が強くなってきたので、松山さんの家に電話すると、親切にも松山さんは車で私たちを迎えにきてくれました。ありがとう松山さん。あの時雨にぬれた私たちは結構ミジメな感じでした! 気分はWELCOME HERE KIND STRANGERって感じですかねぇ?!

そんなわけで、松山さんの家に到着すると、日本の家ははじめての二人、とくにマーティンは感激して写真をバチバチとりまくっていました。そしてプランクトンの井内くんがたくさんの料理をしてくれて、二人ともあつまった音楽ライターの皆さんと、ツアー関係者の皆さんと一緒に楽しくすごしました。松山さんは沢山のCDとアナログのコレクションをみて二人とも「ここならなんでもあるぞ!」とばかり、松山さんにリクエストしまくっていましたが、松山さん、本当になんでも出してくるところが、すごい! 最後には「これは誰の曲か」というアイリッシュ・トラッドのブライド・テストにまで発展しましたが、さすがマーティンで、ほとんどなんでも当ててましたね。

あまりに二人がレコード屋でジャズにしか興味をしめさないので、ちょっと心配になりましたが、やはりマーティンのオールタイムフェイバリットは、ポール・ブレイディのWELCOME HERE KIND STRANGERとか(あの、眼鏡のジャケットのやつ、とかしきりに言ってました。タイトルとか覚えたりしないたちらしい)そういうのが一番すきみたいで、なんか安心しました。ポールが最近のベスト盤のために録音した「LAKE OF PONTCHARTRAIN」の新しいヴァージョンとか、イシュトに入っている「PADDYS GREEN SHAMROCK SHORE」のゲール語版とか、聞いていなかったみたいで、特にイシュトのゲール語版を聞いて「うーん、英語でききなれているからへんな感じだ」と言ってました。

 DENNIS IN SHINYA'S HOUSE

デニスは昨晩のイタリアンレストランからワインをのみはじめ、「もう飲まない」とか言いつつ、結構赤ワインをのんでました。やっぱりコンサートがすべて終わって安心したんでしょうか。そんなわけで最後には買ってあったワインをすべてのんでしまい、私が松山邸の台所にあった料理用のワインを飲もうとしていたら「フライトの中でもらったワインをもっているよ」と2本インフライト用のワインを取り出し(なんでこんなものを鎌倉に持って来ているんだ!?)それも飲んだりしました。この日は週末ということで宿泊がこんでいて、鎌倉の中心部に宿泊がとれなかったので、大船のホテルを予約したのですが、そこに一泊し、翌日再び観光を続けることになりました。
 

10月29日(日)


MARTIN & DENNIS AT ENKAKUJI , KITAKAMAKURA

朝からせっせと観光です。まずは円覚寺。そして健長寺。雨がふっていたし、かなり寒かったので、観光客も少なく、閑散としていたので、二人はかえって大喜び。「東京との対比がすごい!」と言って感激してました。日本の「ワビ/サビ」がわかるマーティンは、こういう方が好きみたいです。また昨日の大仏〜長谷観音コースよりも北鎌倉の渋いお寺の方が二人の好みにはあったようで(まぁ音楽聴いていてもそんな感じですもんね)感激し写真をとりまくりすぎて、マーティンは健長寺の一番綺麗なところで、とうとう39枚入りのカメラを終わらせてしまって、超残念がっていました。デニスは「まだフィルムがあるよ!」といって、ひきつづきバチバチ撮影をしてましたが。

雨がふったのが残念でしたが、二人とも全然気にしていない様子でした。そういえば滞在中、天気は軒並みよくなかったですね。二人とも雨男なんでしょうか。デニスによるとシカゴの天候は本当にひどいのだそうです。すごく暑かったり、すごく寒かったりするのだそうで、シカゴでは「この天気がきらい? だったら一分間我慢しろ(そしたら変わるから)」って言うことわざがあるのだそうです。そのくらいコロコロ変わるらしいです。


DENNIS TAKING PICTURE AT THE GATE OF ENKAKUJI, KITAKAMAKURA

円覚寺の国宝の鐘のある高台の休憩する場所で抹茶に挑戦したのですが、やっぱり抹茶はちょっと難しかったみたいですね。そしてなんとそこにリスがあわわれ、観光客からお菓子やら食べ物をもらったりしているのをみていた二人の会話が楽しい。「さっきからあんなに人から貰って、あんなに食べているのに、なんでまたもらいに来るんだろ?」というデニスにマーティンは「友達にあげるんじゃないの?」、デニス「いや違う、売るんだ。で、すごいコミッションをとって、あいつはきっとすごいエンタープライズを作っているに違いない」みたいなジョークを結構真剣に二人で言いあっているんです。さらに八幡宮でリスをみたデニスは「またリスのエンタープライズだ! さっきの寺にいたリスが携帯電話で、あのリスに“観光客がたくさんいる”って知らせたに違いない」と下らないギャグを連発していました。うーん、ちょっとオヤジギャグかもしれない!


MARTIN & DENNIS WITH JAPANESE FAMILY IN KIMONO

その後、昨日みることができなかった八幡宮の宝物殿を訪ねて、しばらく八幡宮のエリアをブラブラしたあと、精進懐石のランチを食べました。マーティンはお豆腐が大好きです。デニスははじめてここで日本酒に挑戦。熱燗を飲んで感激したらしく、音楽之友社の鈴木さんにいただいた日本酒を熱燗にしよう、と、どうやって熱燗にするのか詳しくきかれました。(鈴木さん、あとで、デニスに熱燗の作り方をちゃんと教えてあげてください)そんなこんなでコースのランチが終わるとすでに4時くらいになっていたので、そのまま車で都内に戻ることにしました。


MEAL IN KITAKAMAKURA

この日はインターFMでピーター・バラカンさんのラジオに生出演する日です。もちろん楽器ももちこみ、二人に影響をあたえたアーティストなど沢山のCDをかけながら、生演奏も2曲披露し、約1時間くらいの出演になりました。二人もとっても楽しかったみたいです。ピーターさん、本当にありがとうございました。


MARTIN & DENNIS ON INTER-FM

ラジオの収録が終わり渋谷に戻るとすでに10時くらいになっていたのですが、「最後の夜だし食事にいこう」といって、二人と一緒に町にくり出しました。食事をしながら、次の来日はいつごろになるだろうね、と話しましたが、この12月くらいから少しずつレコーディングをはじめるのだそうです。そして来年の後半くらいには、ニューアルバムをリリースできたらなぁ、と言ってました。

食事はなぜかふたたびインド料理屋だったのですが、マーティンいわく、マーティンはおなじレストランに行くと、いつも同じものを頼んじゃうんだそうです。なんか、らしい、というか、かわいくていいですよねぇ。で、本当におなじものを頼んでいました。また二人ともそこでかかっているニセモノのインドの音楽にヘキエキしてました。「これは本当のインドの音楽じゃない」「どうして世界中、インド料理屋はこんな音楽なんだろう」「誰かが多大なお金をもうけて、このテープを世界中のインド料理屋に売り付けているに違いない」「このテープはコンピレーションみたいになっているけど、おそらく3人くらいですべての音を作っているに違いない」「このベースはひどい」「このストリングスは聴くにたえない」など、言い合ってたので、私はお腹の皮がよじれるかと思うくらい笑ってしまいました。

ルナサのドナとかもそうなんですけど、もう「ひどい音楽」っていうのが許せないらしい。いや〜本当にルナサの連中同様、二人とも音楽大ファンというか、演奏するのはもちろんだけど、聴くのも大好きなんですねぇ。
 

10月30日(月)

さて空港へ向かうため、11時くらいには都内をでる予定だったのですが、滞在していたホテルの浴衣がいたく気に入った二人は、浴衣が買いたいというので、空港よりはオリエンタルバザールの方が種類もあるだろう、ということで、空港に向かう前に急きょ10時からオリエンタルバザールへいきました。マーティンは浴衣を2着、デニスは浴衣よりも作業衣が気に入ったらしく、結局作業衣(似合いそう!)と、熱燗をするためのおちょこと御銚子のセットをオリエンタルバザールで買いながら「だから一つを手に入れるとまた一つ買わないといけないんだよ。車を買うと、パーキングを買って、パーキングを買うと家を買うのと一緒だ、で、家を買うと家具を買わなくちゃいけないんだ」とかなんとかブツブツ理屈言いながらも楽しそうでした。

そして11時くらいに渋谷を出発、一路成田へ。帰りの車の中では、ポール・ブレイディの「LAKE OF〜」の新しいヴァージョンや「ARTHUR MCGRIDGE」(もう超名曲!)や、アンディ・アーヴァインの「RAINY SUNDAYS...WINDY DREAMS」をききながら空港へ向かいました。最初「RAINY SUNDAYS」の頭をかけたら「うわ〜これは素晴らしい(beautiful!)な。これって誰だったっけ?」というから、「当ててみて」とブライド・テストをしかけると「えーと、これは、絶対知っている。プランクシティだったっけ?」と言ってました。残念、アンディだよ、と言ったら「絶対にこれは知ってた。自分も持っているアルバムだ!」と主張しておりました。もちろん歌の部分が始まればわかっただろうけど。イントロだけじゃ難しいですよね。 またフランキーのフィドルの部分では、「あ、フランキーだ! 彼はやっぱりいいなぁ」とマーティンはしみじみと言っていました。でも、マーティンってボシーバンドよりはプランクシティ派って感じでしたね。まぁ、やっている音楽をきくかぎり、そういう感じですが。

こうして二人はお世話になった人たちにくれぐれもよろしく言ってくれ、と言いながらそれぞれマーティンはシアトルへ、デニスはシカゴへ帰っていきました。マーティン&デニス、素晴らしい音楽をありがとう! また来てね!

茂木健氏と畠山隆夫氏による公演レビュー対談はこちら:2000年10月来日公演レビュー

Thanks to Helen Bommarito, Amy Garvey,  Keiko Kawashima and everyone at Plankton
Extra special thanks to Martin Hayes and Dennis Cahill  -  you are brilliant!  See you soon.

Photo by Plankton / The Music Plant unless stated.


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