OAK TREE RECORDS 対談ページ 6
T:五十嵐 正  A:荒田 光一(敬称略)
第1回:男性シンガー/ソングライターは何故売れない?

第2回:ポール・ブレイディとアイルランドの男性シンガー/ソングライター
第3回:パブ・ロックとは何か〜スクイーズ〜途中ロビン・ヒッチコック〜その他
第4回:ロビン・ヒッチコック
第5回:ロビン・ヒッチコック〜グレン・ティルブルック来日レビュー
第6回:ブー・ヒュワディーン「ハーモノグラフ」
第7回:ロビン・ヒッチコックの来日を振り返る
第8回:ロビン・ヒッチコック&ザ・ヴィーナス・3「オーレイ!タランチュラ」

さて、もうすぐロビンの次なる2006年のツアーの詳細を発表することになるのですが、
前回の来日の終了後12月に五十嵐さんと荒田さんにお話をしていただいた分をやっと掲載します。



第7回:ロビン・ヒッチコックの来日を振り返る

T:とりあえずロビンの来日をまとめようか。

MP:ロビンは、なんだかライヴ終わったその日の夜中に3人だけで遅くまで飲んだじゃないですか? あれでなんだか気分は打ち上がった感じですよねー。そういや、あの時すでにお二人はスコット(・マッコーイ)と呼ぼうとか話してましたよね。

T:でも、あのときの僕の進言はあくまでロビンとスコットのアクースティック・デュオで、マイナス5とのバンド公演なんて期待してなかったよ。まだ向こうでも一緒にツアーするなんて話は出てなかったしね。

今回はなんといっても荒田くんが東京4日間全部観たしね。ぜひ荒田くんの話から聞きたいよね。

A:大阪公演以外は全部見られたから大満足・・・東京はNHKの収録入れて4回かぁ。

T:僕も元々ファンではあったけど、今ではもう自分も腎臓売ってもいいかな、と思うほどになったよ(笑)(←このジョークについては対談4を参照)。荒田くんは腎臓から肝臓から全部売ってもいいよね(笑)。

A:いやいや、そこまでは(笑)

MP:でも、楽しかったよね。

A:初日がわりと小さめのライブハウスで、下北沢の440だったでしょ。あれだけ真ん前で見られたのがまず良かったね。ロビンって背が高いじゃない? 440のステージは天井が低いから、見た目以上に大男で迫力あった。ジャンプしたら絶対ぶつかるくらいだったからね。

MP:五郎さんも天井届きそうだったもんね。

T:和久井バンドと何やったんだっけ?

A:「So You think You Are In Love」とか。ある意味、一番ポップな選曲。

T:いいなぁ、聴きたかったな、それ!

MP:ロビン、最初に下北沢にいく車の中で、「和久井さんが一緒にやりたがっているんだけど」って言ったら。「かーーーっ、また、“I wanna distroy you”かぁ」なんて言ってたんだけど(つ まり各地のローカルバンドから、そのテのリクエストが多い)、会場についてみたら、和久井さんがあの曲を練習していたんで「おっ、いいじゃん」って事になった。

A:あと「Cold Turkey」(ジョン・レノン)と「Get It On」(T.REX)をやったんだよね。

MP:楽しかったみたいよ、バンドとやるの。

(五十嵐情報によると、フィラデルフィア出身のロック・バンド、Marah がロビンと共演したとき、「So You think You Are In Love」を一緒にやったそうだ。Marahはスプリン グスティーンやスティーヴ・アールが共演し、作家ニック・ホーンビーが最高と絶賛するバンド。今は Yep Rock 所属で、米国ではロビンとレーベル・メイトだ) 

T:僕とロビンはあの来日の後、ロンドンのロビンの地元カフェでまた会ったわけなんだけど、そこでいろいろ話してたことの一つ。ロビンはね、来日中にいろんな人にCDもらってたじゃない?
で、そのCDの感想なんだけど、「日本のバンドってのは、まったくサウンドがウエスタンなんだなぁ」と。「全然日本らしいところはないんだな」って言ってたよ。で、そこに日本語が乗っているから、おかしい、面白い、不思議だ、と言ってたよ(笑)。

で、もらったやつの中では「コージのやつが一番良かった」と。その理由が「歌にキャリアがあることがわかる」と。で、「コージはライターじゃないのか?」と言うんで、「コージは、ライターでもあるけど、80年代の東京のニューウェイヴの中心的なバンドにいて、その頃からやってんだよ」とか説明したら、「そうか」と。彼の歌にはキャリアがあることがよくわかる、って。(テレコに向かって)良かったな、和久井くん! ただサウンドには日本的なものが何もない、って言ってた。

A:まぁ、それは仕方ないんだよね。でも実際、和久井バンドが一緒にやったやつは良かったよね。もちろん和久井バンドがロビンの世界をわかって歩み寄ってやっているわけだけど。

T:五郎さんは一緒にはやらなかったの?

A:そういや、やってなかったね。

T:悪いことしちゃったなぁ。五郎さん、初日の下北沢で一緒だったから、そこでロビンとしゃべったとばっかり思ってたから、青山の日、終わった後の食事の席で僕がロビンとかなり話しててさ。あまり気を使わなかったんだけど、五郎さんはそれまでにロビンとあんまり話す機会がなかったそうなんだ。それを後で知って、申し訳なかったな、と思って。ここで謝っておきます、大先輩に。

A:ロビンは、五郎さんのリハを観たんだっけ?

MP:リハもそうだけど、本番の後半部分とかもけっこうロビン観てましたよ。でも、終わった後ウチら割と早く表参道の方に戻ってきちゃった。で、あの日は地下のお寿司屋にいったんですよね、荒田さんと4人で。

T:NHKはどうだった?

A:収録の順番としては、オブ・モントリオールが先にやったんだよね。

T:オブ・モンの連中は、やっぱりロビンに会えて感動したわけ?

A:実はあの下北沢440の当日に、ほんとに偶然にオブ・モントリオールの連中がお客で来たのね。彼らは滞在場所が下北沢だったのよ。で、ほんとにブラブラ下北沢を歩いてたら、あれ、ロビン・ヒッチコックって書いてある、本当かよ?って半信半疑で入って来たらしい。

MP:私も、あれ、なんか外人がいるなーくらいにしか思ってなかったんだけどね。

A:ギターのやつがものすごいファンで。ブライアンっていったかな。で、彼はたまたまロビン・ヒッチコックのTシャツを着ていた(笑)。

T:ほんとかよ、それ?

A:ほんと、ほんと。だって、彼らと一緒だったエレキベース(日本のバンド)のカメダ君とブライアンに確かめたもの。で、オブ・モンのメンバーの3、4人だったかな・・・ヴォーカルのやつはいなかったんだけど・・・もうかぶりつきでロビンを観てた。で、終わった後、初めてロビンのところにいって「ファンなんですけど」って話しかけてた。(で、その時ブライアンは、着ていたTシャツをぬいでいたらしい。すごい照れ屋さん?)

T:ロビンは、オブ・モンを知ってたのかね。

MP:一応、NHKで一緒になるとは伝えておいてCDも事前に送ったりしてましたけどね。 

A:ロビンも、エレファント6系のバンドは、いくつかはCDを持っているって言ってたよ。ニュートラル・ミルク・ホテルとかエルフ・パワーとか。名前は知っているし、いくつか聴いたことあるのもあるって言ってた。

T:でも、オブ・モンとは突然共演があったわけだよね? ドラマーだったっけ?

A:ドラマーなんだけど、彼はいちおうマルチ・インストゥルメンタリストで、たまたまドラムも叩くという人。

T:なんで共演したんだっけ?

MP:ロビンがお前やれ、って言ったから・・・(笑)。あれはまいったよなぁ! サウンドチェック終わったじゃない? で、私達スタッフ側は共演なんてひっとつも聞いてなかったわけよ。だからオブ・モンの本番が終わって、ぜーんぶ彼等のプラグはずしちゃったわけ。ミュージシャン側は公開録音でお客もいるから、気分はライヴになっちゃってる。で、プラグぬいた後に、一緒にやるから、だって(笑)。私達は録音してんだってーの(笑)。スタッフ全員、私たちそれ聞いてませーん!!って感じで大パニック。

T:あ、それ、本番中にいきなりやったの? それはリハーサルの時に決めたんじゃなくて?

MP:つーか、リハーサル終わってから、私たちに何も言わず、共演の話がミュージシャン同志で進んでいたんですよ。で、やる、やる、って言うから、やるのはいいけど、これは音を録らなくちゃいけないんだって、って。NHKのSさんとかと大パニック。あのドラマーの子、ジェイミーっていったっけ?

A:そうそう。で、彼はとくにロビン・ヒッチコックのファンとかではないわけ(笑)。 

T:じゃあ曲は知らないわけね。

MP:だから可哀想だったよー。もうテンパっててロビンから一瞬たりとも目が離せないの。でも、彼、ほんとによくやったよね。4曲くらいやった。ピアノの曲2曲と「You and Oblivion」もやった。で、それも 「わかった、ロビン、どの曲やるのーーーっ。調整卓に言わないといけないでしょーっ」って私が言ったら、「You and Oblivion」だけって言うから、NHKの人にそうつたえたら、本番始まってみたら何曲か勝手に呼び込んでやんの。ロビンにやられたーっって感じ(笑)。もう私は、卓の前で「すみません、すみません」って平謝り。

A:でも、彼はホントにうまく対応してたよね。結果オーライだった。

MP:「English Girl」とか良かったですよね。

T:「English Girl」といえば、ロビンのピアノってヘンだよね。なんかコードとベースで、コードをバラしてアルペジオっていうんじゃなく、左はベースを出して、右手はなんだかその曲のスケールで別のメロディを作っている、というか・・オブリガードというかフィルインというか、なんか別のものを作って、その上で歌う、っていう。歌っているメロディとは別のメロディを弾いているんだよね。あれはおもしろいよな。たぶん自分で自然にできたスタイルなんだろうけど。

A :正直言って、オブ・モン目当ての客が多かったと思うんだけど、あの日のロビンは本当に良かったよね。余裕があったというか。

MP:で、終わったあと、みんなで打ち上げに下北沢行ってね。楽しかったですよね。ロビン、なんだか若い子たちと仲良くなっちゃって、打ち上げ一緒に行くーとか言い出して。ほら、でも、ロビンって高いワインとか飲みたがるから(笑)他の人との打ち上げはどうかなぁって思ったんだけど。安い居酒屋で一人でシャブリ頼んでた(笑)。でも、ほんと若い子たちにロビン、ロビンって慕われて、すっごく楽しかったみたい。だからあの日はあれで正解だったみたい。

A:オブ・モンの連中は、もともとアセンズ出身でしょ。で、アセンズと言えばR.E.M.だから。

T:おぉ〜、「Robyn Hitchcock is god」だよ〜(笑)。R.E.M. のさらに主将格だからさ。アセンズではGodだよ、ロビンは。

A:オブ・モンのファンって20代後半〜30代くらいかなあ。

T:そういうファンの子たちで、ロビンが素敵だわ、っていう人は現れたのかな?

MP:オブ・モンのファンの人がホームページで、オブ・モン目当てでいったら、ロビンに感動したって人が現れて、けっこうこれが嬉しかったー!! やって良かったな、と思って。ほんと、あぁいうラジオもやってみるもんだな、と思って。NHKのSさん、感謝ですよ。

T:で、東京公演1日目。

MP:あぁ、失敗した、今日セットリスト持ってくれば良かった。

A:絲山秋子さんが来てくれたよね。絲山さんのために、ってシド・バレットやってたよね。

MP:「バルーン・マン」やったのは1日目だっけ? 「バルーン・マン」は岡村(詩野)さんがリクエストしたんだよなぁ。あの日、本番前に取材をやってて。で、ロビン、サウンドチェックの時、ずっと練習してた。

T:そういや僕は今年のSXSWでも観て、去年のSXSWでも観て、両方とも30分くらいのセットなんだけど、で、最近のロビンってさ、「フル・ムーン・イン・マイ・ソウル」って、必ずやっているね。今回も必ずやってない? 2日ともやったよね。

A:NHKでもやってた。

T:で、あの曲くらいで終わる感じじゃなかったっけ?

A:いや、そうでもなかったような気もする。でも思ったよりも「Spooked」からは少なかったような気もする。

MP:リリースからちょっと時間もたっちゃったしね。

T:あと日本は久しぶりにきたから、いろんな曲をやらなくちゃってのもあったんだろう。

A:それはありがたかったよねぇ。

T:2日目は、我々のリクエスト・リストからかなりやったじゃん? 前の晩にリクエストを書いて・・(笑)で、ロビン、これリクエストじゃなくて、セットリストだからね、としつこく言ったら、ずいぶんあの中からやってくれてたよね。

MP:あと「テレビジョン」がライヴで聞くとすごく良かった。涙出でちゃった。なんかギリアン・ウェルチの声が聞こえてくるような気がするのよね。

A:「テレビジョン」は良かった! 440でもやってたよね。

T:そういや、(1日目の)セットリストを書いたトラフィックコーンを(2日目に)買っていった人は、床の間か何かに飾っているのかなぁ。その飾ってあるところの写真をミュージック・プラントまで送ってほしいな。あれはいいアイディアだったよね。ステージで見ながら「昨日やったな、これやってないな」とか確認してたよね。まぁ、僕は「English Girl」が良かったなぁ。あの独特の ピアノで歌うのがまたね。(ディランの)「ヴィジョン・オブ・ジョアンナ」をやったのもうれしかった。我々のリクエスト・リストの筆頭だったんだよな、確か。

MP:そういや最初の夜、ロビンに私はボブ・ディランをよく知らんと言ったら、ほんとにマジで呆れられた。ちょっと人間性を疑われたかもしれない。「Robyn Sings」ばっかり聞いてるよーって言ったんだけ ど(笑)

A:7分くらいだっけ、あの曲は?

T:あの曲はフルコーラス歌うと6分40秒だからさ。

A:「〜Briggs」はやらなかったねぇ。

MP:でも、あれなんか理由があってやれないって聞いたような気がする。なんだったけ?

T:そうそう、なんか「やれない」とか言ってたよねぇ。でも、やってんだよ! 向こうのセットリストとかウェブで見るとさー、やっている時もあるよ。(1月のマイナス3とのロンドン公演では歌った)

A:「I Feel Beautiful」はミシェル(奥方)のために歌うって言ってやったよね。NHKの時だったっけ?

T:そういやさ、2日とも「Chines Bones」で始めた?

MP:そうそう。いつも「Chines Bones」だった。

T:これだけロビンの事をずっと話してて、僕は大事なことを忘れてた。スザンヌ・ヴェガがグレイトフル・デットとチャリティ・コンサートで共演したことがあって、その時に「Chinese Bones」を歌っているんだよ。しか もそれ、CD化されてるんだよ。スザンヌはロビン好きなんだよね。

A:へぇ〜。

T:あの世代のシンガーソングライターで、バンドで聞くっていえば、R.E.M.とかロビン・ヒッチコックだろ。あとナタリー・マチャントの10,000マニアックスとかね。まぁ「Chinese Bones」って、スザンヌの初期の曲の持 つイメージにも似たところがあるかも。Chineseって陶器の方の感じ。冷たく固くヒンヤリした感じ。スザンヌに「Small Blue Thing」という曲があって,陶器のChinaが比喩にうまく使われ ているんだ。

ところで、荒田くんのインタビューはどうだった? マーヴィン・ピークの話で盛り上がってたよね?

A:まぁ、マーヴィン・ピークは、英国ゴシック・ファンタジーのカルトということで、絶対聞こうと思っていた。数年前BBCが映画化した「ゴーメンガースト」もDVD化されてて、これが意外と面白かったんだけど、ロビンは観ていないかったなあ。インタビューの時、ロビンに最初聞いたのは映画の話だったよね。彼が出演した「クライシス・オブ・アメリカ」の撮影の裏話とか。「〜Briggs」は、映画「ダーティ・ハリー2」のセリフからの引用だったって初めて知った。

MP:そうそう。荒田さんは割と音楽以外のところを聞いてたよね。媒体がスタジオ・ボイス誌だったってのもあったからなんだけど。

T:そういや、ロンドンでロビンに電話した時さ、「何やってんだ」って言うから、「東京にいる時と同じですよ。コンサート観て、映画を観て、レコード屋をチェックして、友達に会って」って言ったら、ちょうどロンドン・フィルム・フェスティヴァルをやってたんだけど、「是非見るべき映画がある」って。ニューヨーク・ドールズのベースのやつ(アーサー・“キラー”・ケイン)のドキュメンタリー。「おもしろいから観たほうがいい」って言うから、行きましたよ。(MPに)ニューヨーク・ドールズって知ってる? 

MP:パンクのバンドですよね?

T:パンクに影響を与えたバンドだよ。ベースの奴がバンドの解散後、不遇の人生を送ったあげく、モルモン教徒になって実に地味な生活を送っていたんだけど、2年前にモリッシーがキューレイターをしたフェスティヴァル・・・なんだっけ?

A:メルトダウン?

T:そうそう、メルトダウン・フェスティヴァルでバンドが再結成して、再びスポットライトを浴びたんだけど、その後まもなく死んじゃったんだ。

MP:メルトダウンってモリッシーがやってるんですか?

T:毎年キューレイターは変るのよ。パティ・スミスがやったりとか。

MP:あぁ、それでロビンで出てたのか。ロビンも出てましたもんね。

T:で、映画はなかなか面白かったよ。この映画はいずれチャンスがあれば、どこかで紹介したいと思う・・・とまぁ、そういう映画をロビンが薦めてくれたのよ。

A:映画はあまり観ないらしいね。でも、最近は極力観に行くようにしているけど、って言っていた。

MP:そういや絲山さんとの対談の時に、二人の共通点として、ロビンは本や映画から、絲山さんは音楽や映画から影響があるって言ってた。たとえばロビンは音楽からインスパイアされないし、絲山さんも他の人の本はあまり読まないと言ってたような気がする。

T:僕の方の取材はThe DIGの依頼で、ロビンのキャリアを全部おっかけようと思ったら、ほとんどケンブリッジの話だけで終わっちゃったんだけどさ。

ケンブリッジって大学があるからさ、ロビンみたいなアートスクール的なものってありなんだろうな、と思ってたら、それだけじゃなくて近くに米軍基地があるんだって。だからケンブリッジには二つの音楽シーンがあって一つはロビンたちをはじめとする・・大学もあるわけだから、そういうアイディア先行のロック。テクニックよりも、アイディアやコンセプトがあるロック。で、片や米軍基地の近くでやっている連中たちは、ブルーグラスやイーグルスみたいなのをやっていて、で、そういう連中は恐ろしく楽器がうまい!(笑)ギターがうまい。テクニックがある。ハーモニーがうまい。で、ソフトボーイズでは、キンバリー・ルーはそういう連中の方から来たみたいね。ソフトボーイズの強味はその2つが合わさったところだった、と。

それでもギターのサウンドは・・・ロビンはキャプテン・ビーフハートのマジック・バンドが好きだったのね。で、キャプテン・ビーフハートの、微妙なバランスでギターが2台あるってのが好きで、それを目指してたみたいなんだけど、キンバリーが入ることによって・・・キンバリーがロビンよりもずっとギターがうまいから・・・バランスが崩れた。ストーンズにヘンドリックスが入ったようなもんだ、ってロビンは説明してた。そこが残念だったみたいね。キンバリーみたいな上手いミュージシャンとやることはプラスだったんだけど、最初の考えからずれていってしまった、と。

で、元々ロビンの曲をやるバンドであったわけだから、キンバリーが自分の曲をやりたいってことで、ソフトボーイズはやがて解散するわけだ。よくある話だよね。ゲイリー・クラークが言ってたけど、ダニー・ウィルソンも「セカンド・アルバムでは急にソングライターが3人になってた」って(笑)。 

A:ダニー・ウイルソンは、急激に売れちゃったからなぁ。

T:そうそう、ロンドンでコーヒー飲んだ時に、僕がリチャード・トンプソンが好きで、バーズのジャングリーなサウンドが好きだってことが分かったら、新しいバンドを薦められたんだよ。ハンニバルから出たジ・エイティーンス・デイ・オヴ・メイ。これがフェアポート(・コンヴェンション)みたいなバンドなんだけど、全然日本のレコード屋で売ってなくってさー。ハンニバル/ライコなのに。日本のタワーにもHMVにも入っていてない。結局アマゾンUKで買ったんだけど、悪くなかったよ。まだまだ若いバンドだけどね。トラッド・ロックだよ。(彼らは1月のロビン+マイナス3の全英ツアーの前座を務めた)

MP:五十嵐さんのインタビューの時に面白かったのは、例の「リチャード・トンプソン is a musician」ですよね(笑)

T:あったねーー!(笑)そうそう。ロビンと60年代の話をしてたんだよ。シド・バレットは、フリークだった。ジョン・レノンはフリークだったけど、ポール(・マッカトニー)はフリークじゃなかった。で、僕のTシャツを観て、リチャード・トンプソンは…(絶妙の間を置いて)ミュージシャンだった、と。

MP:あれは受けましたよね。ほんとロビンって!(笑)

T:とはいえ、リチャードもかなりフリークだったんだけどね。イスラムに改宗してからの数年間はコミューン生活してたしね。テディは幼い頃コミューンで育ったんだよ。それが(当時の妻でデュオ相手の)リンダは耐えられなかったみたい。それにイスラムだからさ、男の前で目線をあげてはいけない、とかね。

MP:そうなんだー。私もリチャード・トンプソンのこと全然分かってないなぁ。

T:あと、ロビンは絵本の話してなかった? 自分の代表曲を基にしたショート・ストーリーを書いているって言ってたよ。で、絵をつけたり、アニメにしたりという企画なんで、これをお読みの皆さんで日本のアニメ作家や漫画家でロビンの歌の世界のイメージに合うという人がいると思ったら、ぜひ御推薦ください。ミュージックプラントまでご連絡を。ロビン本人も日本のアニメ作家とかに興味があるって言ってた。短編小説集で、それにCDをつける。それに動画をいれてもいいし。
 

2005年12月 新宿ルノアールにて


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