第1回:和久井光司さん
第2回:Liquid Screenの皆さん
第3回:森田義信さん
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第1回:和久井光司さん 記念すべき第1回は、ミュージシャンで、音楽評論も書いている和久井光司さんです。 和久井さんはグレッグソン&コリスターの来日公演以来、私が絶対に頭のあがらない批評家のひとり。今も妥協なき音楽活動をされているミュージシャンでもあります。今回は和久井さんの事務所、エスオーエス近所の商店街にあるケーキのおいしい喫茶店にて、お話をうかがいました。和久井さんはわざわざロビンのアナログ盤を沢山持ってきてくださいました。
和久井さん(以下W):どうなんだろーなー。タッチが違うよね。こっちの方が普段の本人の作品に近い。 MP:あ、でもやっぱり本人ですねー、クレジットを見ると。しかし、和久井さん、ほんとうに沢山お持ちですねー。 W:こういう4曲入り12インチとかがいっぱい出てんだよねー。で、カップリング曲がことごとくアルバム未収録だったりする。これなんかPromo Onlyなんだけど、ロキシー・ミュージックの「More Than This」をガヴァーしてたり。
MP:いやぁ〜、実は、今回は私が1月の3x3がキャンセルになってすごく落ち込んでいる時に、和久井さんにお電話もらって。「ロビンは俺がいちばん好きなアーティストの一人でもあるから、絶対にがんばるよーに」って言ってくださって。それで私もここまで来れたっていう・・(笑)。じゃなかったら、途中で挫折してましたよ。本当にありがとうございました。 W:いやいや、俺も嬉しいよ。 MP:あの時、ロビンは「いちばん好きなアーティストかも」っておっしゃってましたよね?あれって本当ですか? W:“ニュー・ウェイブ以降”では、ね(笑)。ロビンの魅力は、やっぱりポップなところとアヴァンギャルドなところの共存だね。両極を持っているじゃない? そのブレンド具合がすごく好きなんだよね。例えばアヴァンギャルドと言っても、ノイズとか難しいインストとか・・・そういうのはやらない、みたいなさ。あくまで詩があって、歌メロがあって・・でも、ネジが2、3本はずれちゃってる。なのにポップ・ソングを書いても極上なんだから、すごいと思うよ。本当にジョン・レノンとシド・バレットの間だと思う。 MP:実は和久井さんに前回お会いして私が全然ロビンのこと分かってない時にそれ言われて、すっごく分かりやすかったです。声とかも似てますよね。 W:ジョンが歌っている時と、シドが歌っている時とあるよね(笑) MP:今回、荒田さんのライナーにも書いてあるんですが、本人のインタビューで「いまだにロビン・ヒッチコックの声を捜している」という発言があるんですが。 W:俺、最近すごく思ったのは、昔はそういう、ジョンだったり、シドだったりとかってところに惹かれてたのかもしれない。けど、近年の、ディランをカヴァーしたアルバムとか聴いて思ったんだけど、 声もだいぶ変ってきて・・・いい意味で枯れてきて、すごく太くなったっていうか・・・オヤジ臭くはなったんだけど、すごく深みが出た感じがして、声自体やヴォーカルは最近の方が好きかもしれないんだよね。 MP:最新作もいいですもんね。 W:うん。もっと上手いシンガーだとさ、レコーディングでは「決まり!」っていうヴォーカルを録ろうとするものなんだよ。けど、ロビンっていつもそうじゃなくってさ、過程、途中・・・なの(笑)。 完成しない感じ。だからこそ「次」がある感じがして好きなんだ。完成されちゃうともうイヤなんだよね。「はい、分りました」ってなっちゃうから(笑)。この歳で次に何やるのか判らないんだから、マジですごいよ。若いミュージシャンみたいなんだもん。しかもすごく音楽を知ってるし。音楽以外のこともよく知ってる(笑)。詩とかも、俺、英語で読んでも解らないし、訳詞読んでもよく解らない(笑)。そこもやっぱり、解っちゃうと飽きちゃうんだよな、きっと。 たぶん俺ら・・・ミュージシャンの立場だと、「あの人はこういう人」って整理できちゃうとダメなんだよ。頭の中の引き出しに「あの人はここ」って感じで入っちゃうと、それを再び出して聴こうとはしなくなっちゃう。だけど、ロビンの場合は永久に解らない感じがするから、思い出したように聴いたりする。それがいいんだよね。ほら、例えばアルバムの中で、ポップな曲はどうしても印象に残るから、それは覚えてるんだけど、へんな曲はけっこう忘れてたりするじゃない? で、久しぶりに古いアルバム聴いたりすると、「あ、こんないい曲もあったんだ!」みたいな・・・。そういうことがすごく多いんだよ。ずっと発見がある。 MP:歌詞とかも読むたびに違うこと言っているように感じますもんね。すごく、なんというか、ロビンは、こっちの想像力にまかせてくれている部分がありますよね。 W:詩も音もそうだね。久しぶりに聴くと「あれ? こんな綺麗なこと演ってたんだっけ?」と思ったり・・・。ヨジれた歌い方が耳につくから、歌とリズムで聴いちゃって、オケの印象が残らないっていうことが、ロビンの場合はよくあるんだけどさ、A&M時代とかの音源は、オケの方をよく聴くとすごく豊かなことを演ってたりするんだ。カッコいい弦が入ってたりね。 こないだその辺のアルバムを改めて聴いてみて、「ロビンはこんな凝ったレコーディングをやってたんだ!」って改めて感心させられたよ。だいたい80年代のロックはさ、自分の録音とかも含めて恥ずかしい。80年代の音って、みんな今聴くとパシャパシャしててさ、すごくイヤな音なんだけど、ロビンの場合は、そういう、時代によってどうのというのがない。まぁ、多少はあるんだけど、アルバム毎に変化していってるわりには、しっかり貫かれているものがあるよね。軸は変らず、まわりだけが変ってる感じがする。 MP:実際、ロビンは、かなりキャリアの先になるまで、メジャーってのすら、なかったんですよね。 W:ない、ない、ない(笑)。全然、インディー。 MP:「Globe of Frongs」以前は全部インディーですよね? なんでロビンって、有名なんだろ(笑) W:実際は「Globe of Frongs」が出た時に、みんな焦ったの(笑)。「Feg Mania」ぐらいまではそれでも間に合ったんだよ、まだ売ってたから。すぐ買ったね(笑)、俺も。それ以前からロビンの名前は知ってたし、ソフト・ボーイズも知ってたんだけど、「Globe of Frogs」が出た時に、「こんなに良いものか!」と思って、あわてて買いまくったんだ。古いレコードに遡るのはけっこう大変だったなー(笑) MP:やっぱりR.E.M.とかが出てきた時の再評価って事なんですかね。 W:そうだね。だって、ピーター・バックとかが参加してて、すごく好きだと言われれば、やっぱり聴きたくなるじゃない? そうなるとディスコグラフィーとかをチェックしたくなるんだけど、今みたいにネットがあるわけじゃないから、ソフトボーイズが何枚出してるのかさえ、当時はよく判らなかったんだよ。だからもう、見つければ買う、みたいな買い方なの。ジャケが違えば、買う(笑)。そういう風に集めていったわけさ。 MP:私もオリジナル・アルバムだけは大分そろえましたよ。和久井さんはどのヘンが 好きですか? W:俺はやっぱりね・・・・A&M時代の「Queen Elvis」とか「Prospex Island」の辺りかなぁ。あとアコースティックなやつで言えば、「Storefront Hitchcock」もすごく好きだね。前の来日の時のライヴの感じがこれに近かったから、すごくいい印象がある。あの来日は「Respect」発売のタイミングだったんだよな。でもロビンのディスコグラフィーを見てみると・・・「Globe of Frongs」「Queen Elvis」ときて、「Eye」が入ったりするじゃない? MP:「Eye」は、アコースティックですもんね。 W:そうそう。で、「あれ?」と思ったら、「Prespex Island」でまた戻ったじゃん? そういう揺れがヘンだなと思って、よけいハマっちゃったの。そしたらロビンは常にそうなんだよね。常に揺れがある。「Queen Elvis」を経過したからこそから、「Feg Mania」の面白さが解ったような気がしたし、そうやって繰り返し聴いていくと、もうこれは、出た時には評価しない方がいいかな(笑)、と思ったりしてね。 MP:あぁ、なるほど! 10年くらいたって全体を見ないとよく理解できないってことですね。 W:俺は基本的には「ロビン・ヒッチコックという物語」だと思っているからね。1枚1枚のアルバムでどうのっていうのは、ないわけさ。近年ではソフト・ボーイズの再結成っていうのも刺激的だったよね! ソフト・ボーイズ再結成だなんて、 予想もしなかったもん。僕ら日本人は、ソフト・ボーイズの最初の時代を経験してないわけじゃん? だから、リアルタイムでソフト・ボーイズの新作を聴けるってことが、ものすごく嬉しかった。 MP:で、ほんとにクオリティの高いアルバムですよね。まだまだ全然いける、っていうか。 W:うん、全然オッケー。むかしと何にも違わないよね。 MP:20年空いてたのなんか、判らないですよね。 W:ほんと、誰もそう思わないよ。で、ほら、アナログ盤にはライヴがついてたでしょ?
MP:えっ、そうなんだ!(私が持っているのにはついてなーい/涙) W:オマケでついてたんだけどさ、それとかもバリバリだし、なんか全然問題ないっていうかね。若いバンドみたいなんだよ。 MP:しかしロビン・ヒッチコックってまだちゃんと知られていないような気がして。 W:いや〜、まだまだ知られていないでしょう。 MP:なんかグレンに関しては、今まで聞いてた人を呼び戻すみたいな作業だと思うんですけど、ロビンについては、イチから知ってもらわないといけないっていうか(笑)。 W:だって、日本で出たのって、何枚? MP:そー、そうなんですよね! W:こっから、イチ、ニー・・、これは出てないもんね。サン・・シ・・、これ出なかったんじゃないかな・・・。 MP:そっかー。日本盤が出てないのも原因のひとつかー。でもそのわりによく2回も来日しましたよね。 W:ほら、キャニオンにA&Mがあった時代ってバブルだったんだよ。 あの時のキャニオンっておかしくてさ・・・もともと洋楽のレコード会社じゃなかったところに、A&M が取れたから頑張った、みたいな(笑)。初来日は「Globe of Frogs」の時だよね。これがカレッジ・チャートでヒットして、日本でも話題になった時に来たみたい。実は俺、初来日公演は知らなくて、「来るの?」って思った時は終わってたんだ(笑)。「俺に知らせずに何しに来てんだよー」って怒ったもんなー(笑)。 MP:ハハハ。そういえば「Globe of Frogs」にはグレンも参加してますよね? 88年だからグレンもA&Mにいたわけだけど・・・。元から二人は知り合いだったのかしら。なんとなくレコード会社がくっつけた感じがしないでもないけど。 W:お互い知ってたんじゃないかな。でも、ロビンって詩の世界とかもそうとう変ってるから、グレンから見たら「変なヤツ」だよね(笑)。 MP:ロビンって一匹狼っぽいところもありますもんね。でも「Globe of Frogs」は、私が思うにやっぱりメジャー第一弾だから、がんばってポップに作ったってのはあるような気もする。 グレンも入れて(笑)。当時は、今をときめくR.E.M.も来てくれた、みたいなのもあったはずだし。で、 「Queen Elvis」で落ちついて、みたいな? W:俺も「Globe of Frogs」よりは「Queen Elvis」の方が好き。でもこんなにアナログ盤出してるのに、「Queen Elvis」のLPはイギリス未発売なんだよ。それで、「ちょっとアメリカ行き過ぎたのかな」ってのはあったのかもね。「カレッジ・チャート方に向きすぎたかな」って反省みたいなのが。で、「Eye」を出す。それでまたイギリスの方に向いたのかな、とかね。そういうことを想像させてくれるのが、また面白いよね。 これがXTCとかだとさ、アンディ・パートリッジが説明モードに入り過ぎちゃう時がある(笑)。80年代末期こは、俺、そういうのがイヤになってさ。難しい音楽をやってるのは、ある種カッコいいところではあるんだけど、アンディが説明モー ドに入りすぎちゃうから、聴いて想像するってのが、XTCに対してはなくなっちゃったんだよ。本来、人に言わせておくべきものを、本人がすべて解説しちゃうとさ、先入観ができちゃって、面白くない。で、その頃にロビンの面白さに気づいた。ロビンは永久に、「なんだかな」でしょ? 日本盤出たから、訳詞読んだからって、ちっとも解らない(笑)。で、またアルバムにヘンな詩とか載せてたりするじゃん? それも面白いんだけど、「なんでそーなるの?」って世界だもん(笑)。 MP:まったく理解不能ですよね!(笑) W:ライヴがまた最高でさ、ヘンなジョーク言ってすべったりするのもめっちゃくちゃおかしいし、アコギでもエレキでも歌の世界は揺らがない。ホント、ひとりでも多くの人に見てほしいよ。あのジョナサン・デミが映画撮りたくなっちゃうようなソロ・パフォーマンスするのは、間違いなくロビンだけなんだからさッ! MP:和久井さん、お忙しいところありがとうございました。 和久井光司オフィシャルページはこちら。
第2回 Liquid Screenの皆さん 第2回は、大阪でオープニング・アクトをつとめてくださるLiquid Screenの皆さんです。メールでのインタビューに答えてくださりました。
(1)自己紹介
(2)ロビンを好きになったきっかけ
(3)ロビン、ソフトボーイズで、好きなアルバムとその理由
(4)いちばん好きな曲を1曲!と言われたら? またその理由。
(5)あなたにとってロビン・ヒッチコックとは
(6)まだ聞いたことのない人にすすめるとしたらどんな風にロビンの音楽を説明し
ますか?
(7)ロビン以外で好きで普段聞いている音楽があれば教えてください。
(8)その他、言い足りないことがあれば、なんでも!
Liquid Screenさんのオフィシャルページは、こちら。
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