応援団さん、いらっしゃい  2

このページは、ロビンの応援団の方にお集りいただき、語っていただくコーナーです。
第1回:和久井光司さん
第2回:Liquid Screenの皆さん
第3回:森田義信さん
 

第3回:森田義信さん

MP:まずは森田さんの事を、このクロスビート掲載のロビンのインタビュー記事で知 って、思わずご連絡してしまったわけですが、今日はお忙しい中、ありがとうございます。ところでこの記事にある水族館インタビューって実現したんでしょうか?

森:イヤ〜、出来ませんでしたね。あのボンヤリした水族館の光のところで、半分顔に光があたったロビン・ヒッチコックの写真が撮れれば、取材できなくっても、それだけでいいって思ったんですけどねぇ。

MP:いや〜、でも、ほんとに、知られてないなーって思って。

森:ロビン・ヒッチコックでしょ? そうなんですよね。

MP:ライターさんとかでも、分かってくれている人、ほんと少なくって。やっぱり日 本発売されてないのがガンなのかなぁ、と。

森:でもポニー・キャニオンから4枚か5枚くらい出てたんじゃない?

MP:A&M時代ですよね。森田さんの記事が掲載されたクロスビートにも、こうやって後にポニー・キャニオンさんの広告が載っている。

森:あーはい、はい、はい、はい。

MP:で、2回来日しているんですよね?

森:行きましたねーーーっ!(笑)あと僕はニューヨークでも見ているんですよ。リッツで。リッツがまだダウンタウンにあった時かなぁ・・・いや、もうなかったかな ぁ。

MP:このインタビューの時って、レコード会社押してました?

森:押してたとは言えないですね。まぁ、その月6枚リリースがあれば、4番目か5番目かっていう。一番下とは言わないけど・・そんな感じかなぁ。この時は、担当、 誰だったんだろ。たしか敏文さんが(森田敏文編集長)が俺がロビン・ヒッチコック とソフトボーイズが好きだってのを知っててくれて、実現したんじゃなかったかなぁ。相当前ですもんね。これ、電話でやったんですよ。

MP:えっ! そうなんですか。電話とは思えないくらい、魚の話とか(笑)盛り上が ってますよね。

森:これって何年の何月号とかわかりま す? 相当、前ですよね?
(ポニー・キャニオンの広告をみて)あぁ、マーティ・ジョーンズとか出てんだもんなぁ!

MP:たぶん88年ですよ。

森:17年前ですねー。あぁ、これメジャー第一弾だよね。だからちょっとは力入れて たんだね・・・・タバコ吸って大丈夫ですか?

MP:あ、大丈夫ですよ。グレンも吸うし。

森:あ、吸うんだ! 

MP:グレンは、止めようと相当努力してますけど、駄目ですね。

森:話がグレンに戻っちゃいますけど、ライヴよかったですねぇ。スクイーズの初期 から実はこの人、何にも変ってないんだろうなぁ、っていう感じでしたよね。あぁや ってギター弾きながら歌っていくのが、俺は大好き!っていう。でも、(彼のキャリ アを通じて)ずっとそうではなかったかもしれませんけどね。

でもね、今回ライヴを見て思ったんだけど、ヒット曲やるたびにね、「あ、これもや ってなかった、あ、それもやってなかった」って次々でてきて、最後の最後に 「Pulling Mussels」をやって、あ、これもやってなかったか!って。あの(客席か ら登場する)お馬鹿なセカンド・ステージの登場で、「Black Coffee in Bed」と 「Good Bye Girl」をやっちゃって、あなた、あの名曲をそうやる?!みたいな。あれは毎回やってたんですか?

MP:ほとんど毎晩やってましたね。あとは会場の外に出ちゃうとか、大好きなんですよ。お客さんつれて(笑)

森:ハーメルンの笛吹男状態ですね。

MP:でも今回、あまりにも外が暑かったから、外に出るのはやらなかったですけどね。

森:で、6ケ所?

MP:5ケ所8日間でしたね。よくやりましたわ。

森:あぁいうコンサートの作り方は、僕らみている方からするとすっごい嬉しいんで すけど、儲かんないでしょ?

MP:ははははは。よくご存じで(笑)。そうなんですよ。ほんとー。まぁ、ウチはコ ンサートプロモーターじゃないんで、CD売るための投資と思って。でも、CDがこれまた売れないんだ。もっともウチは私が一人だから経費かかんないんですよ。頑張って アーティスト呼べば、アーティストとも人間関係できるし、お客さんとも人間関係できるし、応援してくれるライターさんとかも出てくるわけだし。

森:野崎さんって、この仕事の前は何やってたんでしたっけ?

MP:この仕事やる直前はPRの会社にいて、そのもっと前はキングレコードにいましたねー。そこでメアリー・ブラックに出会って、今こうしてやっているんですが。今で もメインはアイリッシュですよ。最近は北欧に傾倒してますけど。でもこうしてグレンやロビンをやるのも・・・・もともとはTOP40愛好会でしたし(笑)

森:でも、グレンにしても、そっち(TOP40)とはだいぶ違うよねぇ! そういやクリス・ディフォードと話したなぁ! 僕らはポップをやってきたんであって、ポップ “ス”つまりコマーシャルミュージックをやってきたわけじゃない、と。いい曲を作 ろうとして、それが売れてくれたら嬉しいけれども、でもこうしてこうやってこうしたら売れる、っていう公式に頼ろうとしたことは一度もないって言ってた。もちろん 公式にのっとって作るというのも大変なことなんだけど。のっとらないでやりたいん だよね、という話をしてて・・・で、俺がサインしてくださいって持ってたのが・・ ・実は皮肉でもなんでもなく俺の好きなスクイーズ関係のアルバム3本の指の中に入 る「ディフォード&ティルブルック」。本(SONG BY SONG)読んでも、本人たち全然 どーでもいいや、ってすごい冷たい扱いをうけてますよね、あれは(笑)。 でも、 その「ディフォード&ティルブルック」にサインしてもらったんだよなぁ。

MP:そういやグレン、2日目に「Love's Crashing Waves」やってくれましたよ。

森:うっ!! それはすごい! 聞きたかったなぁ。

MP:うふふ。あれスタッフ特権で私がリクエストしたんだよなぁ。良かったですよ。 ギターがソリッドな感じでかっこよかった。歌詞も全部ちゃんと覚えてたし。実はリクエストして歌詞おぼてなかったのは「She doesn't have to shave」。あれだけは歌 詞をプリントアウトしてあげた。でも「Love's Crashing Waves」は歌詞は完璧に覚 えてたみたい。あの曲、歌詞もいいですもんねぇ〜。

森:あのデカいファイルは、全部歌詞が入ってたんですか? ドシッってテーブルの 上に置いたでしょ? 一度も開けて見てなかったけど。

MP:いや、あれはファイルじゃないですよ。あれはタオル。

森:そうなんだー!

MP:すっごい汗っかきで、タオルが1ステージ、5〜6枚いるんですよ。で、紙は4 枚くらいですよ。それに「私の名前はグレン・ティルブルックです」とか「日本語が下手です」とか「32回」とかローマ字で書いてある。でも「ディフォード・アンド・ ティルブルック」はいいですよね。

森:でも本人たち嫌いだってのは分る気がする。なんだかオーヴァー・プロデュース だし。なんか「ポップ“ス”」へのアプローチが見えるでしょ? クリス・ディフォ ードはね・・・、このジャケットの写真、イギリスの行楽地でもあるブライトン・ロ ックで撮ったんですって。 だからね、クリスは「ブライトン・ポップ」ってサイン書 いてくれたの(笑)

MP:はははははははは。クリスいいですねぇ! クリスも一度会ってみたいですけど ね。

森:クリスはねー。確かにその時もずっとお酒飲んでましたけどね。ニコニコ、エヘ ヘって感じで。そんな伸び上がった発言するわけでなく・・・。素直だとは言わない ですけど、でもあの人もいい人・・・・落ち着いた感じ。ぜんぜんむくれている様子もなかったし。とっくりで熱燗をチビチビ飲みながら、ソバ食べながら、みたいな感じだったんじゃなかったかなぁ。

MP:へぇーーー。かっこいい!

森:なんか日本人のイキなおじさんの昼食のような感じでしたね。

MP:でも飲んでたんだ。インタビュー中も・・・・。

森:でも、スクイーズのメンバーがアル中になったって聞いた時、グレン・ティルブ ルックじゃ なくってクリス・ディフォードなの?って思った。紳士っぽく見える人 で、お酒でダメになる人多いですよね。ほら、ロバート・パーマーもそうだったよなぁ。ちょっと ネジれたような、ユーモラスな、でもすごく音楽が好きで大人っていう感じの人が・ ・。でも彼もたしかインタビュー中ウォッカ飲んでたよな、みたいな。

MP:クリスのソロ聞かれました?

森:聞きました! すごくいいレコード!

MP:あっちの方が、どっちかというと本来の私というか(笑)、アイリッシュやっている私に近いものがあります。

森:あれも出したら、どうでしょうか?

MP:どうでしょうかねぇー。

森:いつかまた再結成とかあればいいですよね。ソフト・ボーイズも再結成しました しね! そうそう、ホームページ拝見して、いろいろ持ってきてる方がいらっしゃっ たんで、今日は別にめずらしくもないアナログ盤を持ってきたんですけど・・・・

MP:きゃーーー。デジカメ忘れた!!!

森:いや、盤、すべてお貸ししても別にいいですよ。

MP:うわ〜、それは怖れ多い!

森:実は「CAN OF BEES」っていろいろあるんですよ。

MP:えっ、なぜ3枚あるんですか? 

森:ほら、裏が全部違うんですよ。

MP:ほ、ほんとだ!!

森:これね、収録曲も違うんですよ。

MP:えっ? あれ、ほんとだ。

森:で、ロビンに「俺、3ヴァージョン持ってんだよ」って言ったら、「俺もそんな に持ってないよ」だって。ほら、B面の収録曲が微妙に違うんです。で、偶然見つけたんです、どれも。とはいえ、音源的には、今は未発表な曲はないと思います。CD化された時に、すでにいろんな所に入ったりしているだろうし、Invisibleとか出た し、そういうので全部拾われてはいるんだろうけど。(野崎が盤を手に取っているのを見て)あ、そのヴァージョンは普通に買ったんですよ。なんと西荻で!(笑)

MP:すごい。西荻。あなどれない!

森:実はロビン・ヒッチコックを教えてくれた人が、今はレゲエ関係のお仕事をなさ ってる工藤 晴康さんっていう方で、西荻の人なんですよ。僕は九州の出身なんです が、大学でこっちに出てきて、このヘンに 引越してきた時に、工藤さんが西荻でギャバンっていう喫茶店兼レコード屋みたいなのをやってらし た。そこでニュー・ウエイ ブとかレゲエがばんばんかかってたんです。で、そこに友 達と一緒に行くようになっ て、その工藤さんが「実はこういうのあるんだよ」って言 って(ソフト・ボーイズ を)教えてくれたんですよ。でも、その時、ニューウエイ ブ、レゲエ好きだった友達 は、ひと言「ゲテモンだ!」(笑)で、俺は「うわ〜、こ れはたまらんわ!」って事 になった。で、「Underwater Moonlight」をすぐ買って、 で、他にソフトボーイズな いの?って言った時に「実は1枚だけこれがあるんだよ」 っていって「CAN OF BEES」。

MP:これって当時話題になったりしたんですか?

森:いやーぜんぜん!(笑)

MP:はははは。

森:だからあとでR.E.M.とかがソフトボーイズ好きだって言って出てきて、あぁ、や っぱり聞いてたやつがいたんだなぁ!って。

MP:まぁ、でもロビンのキャリアって、通して全部そうですよね。ちゃんと聞いてい る人には聞かれているんだ、って。

森:本当にMusician's Musicianかもね。当時パンクについては、俺はなんというか反発 とシンパシーと両方いだいてたんですけど、(曲のタイトルで)「Rock'n Roll Toilet」とか言われると、そりゃー聞きたいだろ、って(笑)

MP:へぇーーー(笑)

森:また話が変りますけど、以前、ラフィン・ノーズっていう日本のバンドと親しく なった時に、ベースのポンとかはロビンのことも、よく知ってたもんね。シングル盤 とかちゃんと持ってるって言ってたもん。45回転のシングルとかも「あぁ、買った、 買った。あれ、カッコよかったもんなー。スペイシーで」とか言って。

MP:いや〜、聞いている人は聞いてますね。でも、今、CDもチケットも売れなくっ て、大変ですよ。グレンの時、ずっとロビンのCDを客入れ客出しBGMにしてたんです けどね、多少それでロビンの事、知ってくれる人がいればな、って(笑)。コレクターズにも特集で載るし。コレクターズはなんて言っても、前パブでやってもらえるの がねー、ほっんとに素晴しいですよね。普通は後パブですよね。(前パブ=イベント の事前に記事が出ること。後パブ=イベント後に記事が出る事)ほんとに和久井さんと編集部さんに大感謝。

森:(コレクターズの記事を見て)あれ、ソフトボーイズ2枚だけ?

MP:いや〜、これ編集部で、和久井さんと編集の方とあーだこーだ整理したんですけ ど、難しいんですよね。

森:あぁ、確かにそのヘンは後から出たやつだもんね。

MP:で、ライヴ盤は、ここ。ここに載せてます。(「Gotta Let This hen out」)

森:あ、それそれ、俺もそれが一番好きかも!

MP:私も、これ大好き! もーカッコ良いから、エジプシャンズで次は呼んじゃう か!って(笑)

森:モーリス・ウインザー、アンディ・メトカーフ、そしてロビンと。最初の来日の 時、その3人だったんじゃなかったかな。そのコンサート、なぜかラフィン・ノーズ のチャーミーと見に行った覚えがある。すぐ近くに鳥井賀句さんもいた(笑)。

MP:あぁ、そうなんだ。トリオだったんだ! それナイスだなぁ。それで呼ぼうかな ぁ。

森:ロビンがとにかくがんがんギター弾いて、すごく良かったよなぁ。まぁ、でもいい加 減なこと言えないけど、僕の記憶だと、ロビン一人でギター弾いて、歌って、そ れだ けで全然オッケーなんだけどね。

MP:実はひとりで来日した時の音源は、ラジオの関係でライヴの音をそのまま聞かせ てもらうことができたんですよ。すっごいかっこよかった!!! ただしジョークは すべりまくってましたけどねー、ホラ、ロビン、へんな事言うから。

森:あれね、ジョークじゃないでしょ? それこそ夢の中に出てくることをそのまましゃべっているんだよな。俺ね、日本でやったときはMC押さえてんな、って思もったの。リッツでやったときは延々3分とか5分とか話すんだよね。たまねぎが向こうか ら転がってきたかと思うと、それがハジけてそこから虫がでてきた、とかそういう話を延々するんですよ。その間、バンドのやつはヒマそーにしてるんだけど(笑)。もう全然おかまいなく、次から次から、まるで台詞を覚えているかのようにしゃべるん ですけど・・・あれ、絶対に準備とかしてないと思うんですけど、頭に浮かんだことを自動筆記みたいにポンポンしゃべっているだけで・・。あれ日本語でやろうとしても無理でしょうしねー。

MP:そうなんですよねー。日本だと英語がわからないから、ますますついていけない し、英語が分かったとしても、笑っていいのか、どうしていいのか、ってあると思 う。

森:けっこうアメリカ人のお客もポカーンと聞いてますけどねぇ(笑) 時々クスク ス笑ったりしてるけど。でも基本的には「何言ってんだ、こいつ?」みたいな。しか しあの人は本当に天才だと思うなぁ。絵を見てもそうだし、言葉に対する感覚とか。 もちろん音楽もそうですし。なんか沸き上がってきて沸き上がってきて仕方がない、 みたいな。

MP:そうですね! キャリア全般みてても、出てこなくて困るって事がまったくない みたい。

森:あとね、このインタビュー記事にも書いたと思うんですけど、「うわ〜ロビン・ ヒッチコックらしいな」って思った言葉があって、生物学的にみても、人間の脳を夢 を みないように機能ストップさせてしまうと、その人は狂ってしまうってい う。

MP:なるほど。

森:だからあの人は頭の中に何かを常に見ていて、イメージがいろいろ浮かんできて、幻視者で、ヴィジョンがあって、しかもそれを外に出してやらないと爆発しちゃうんだな、と。

MP:お父さんの影響が強いみたいですよ。お父さんは戦争に行って、そこでのダメージから生涯立ち直れなかった みたい。戦争から帰ってきてまともな精神状態に戻れなかったってのはロビンから聞 いたことがある。そのお父さんの影響が強い、と自分で言ってたけど。

森:実際彼の長いキャリアをみていると、こんな長い間、こんなイメージで、ずっと続けてこられるってのは、もうこれが彼の持って産まれた本質なんだと思う。

MP:ロビンもロビンで、想像の世界を超えて、昔のインタビューでは、相当ホラ吹いているみたいですしね。 名前が本当はなんとかって言うんだよ、とか。

森:えっ。ロビン・ヒッチコックって芸名じゃないの? 何かから取ったって記事見た事あるぞ。

MP:そうそう、そういう記事多いんですよね。でも、ロビン・ヒッチコックは本名ですよ。だってパスポート、それだもん。

森:それじゃー、そうだね。ところでこういうのあるんですよ。(と、レコード盤を 取り出す)

MP:あ! キンバリー・リュ〜!

森:With Soft Boysとか、dB'sとか。

MP:あ、ほんとだー、すごい。

森:おそらく、それまでにキンバリーがセッションみたいにしてやった曲を集めて出 したんだと思いますよ。

MP:キンバリーさんも友達多いみたいですよね。ウチの他のアーティスト(ブーやクライヴ)ともすごく仲が良いみたい。

森:あぁ、いい人ですもんね。

MP:そうなんだ。

森:普通のギター小僧が、そのまま大きくなった、って感じで。寡黙ですけどね。あんまりペラペラしゃべる感じじゃない。カトリーナ&ザ・ウェイブスで3回くらい実 はインタビューしたことがあるんですけど、だいたい他の連中がしゃべってて、キン バリーにはこちらからわざわざ「キンバリーに聞きたいんだけど」って使命してあげ ないとしゃべらない、っていう感じだった。

MP:へぇー。一度会ってみたいなぁ。

森:でもあの時は、どっちかっていうと、ほかのメンバーをたてようって感じだった かもしれない・・・いや、わからないですけどね。だから一歩ひいたところにいようとし たのかもしれない。

MP:なるほど。キンバリーはウチのブー・ヒュワディーンとも仲良しなんですよ。ブ ーからキンバリーのCD売り込まれたことがある。

森:あれ、ブーと、クライヴとロビンで呼ぼうとしてたんじゃなかったっけ?

MP:いや。イアン・ゴム、クライヴ、そしてロビンでしたね。

森:イアン・ゴムとか仲いいんですか?

MP:ウチのクライヴとイアンがものすごい仲良しですね。もうベッタリって感じで。

森:流れとしてはだいぶ違いますよね。

MP:イアンの最近のアルバムをクライヴがプロデュースしたりとか。音楽的にも精神 的にも仲良しって感じですよ。お家も近いし。で、前回の3x3はクライヴとイアン が先に決って、ほんとはパブロック系でまとめるつもりだったんですよ。ところがいろんな人に断られ続けて、最後にクライヴのマネージャーのアンディがロビン・ヒッ チコックはどうだ、って。で、ロビンいいかもね、って日本側もなったので、まずは アンディがキンバリーに連絡をとってくれた。で、キンバリーがアンディにロビンの エージェントさんを紹介してくれて・・・本人と私が直接やれるまで相当時間かかりましたけど。直接話すようになってからは、早かったですね。で、もうロビンは頭の 回転は早いわ、ほんと最高で、もう大好きになっちゃった。頭もいいし、可愛いところはあるし、もう一緒に仕事をするアーティストとしては最高ですね。

森:へぇー意外だなぁ。俺はこのインタビューは電話だったし、来日した時も、じゃ あSay Helloでもしますかって言われて、楽屋にいったけど、10分くらいであんまり ゆっくり話せなかったし。

MP:でも格好いいですよねー、背もすっごく高いし。

森:背は高いですよねー。今でもノソーーーっと背の高いのがくるって感じですか?

MP:そうですねー。ノソーっと(笑)

森:すっかり白髪になっちゃいましたもんね。

MP:でもそれがまた格好いい!!(笑) で、シャツとかもサイケなの着ているし。 いや〜水族館つれてってあげたいんですよー、ロビン。

森:いや〜いいですね。水族館! 喜ぶと思いますよ。一番手近なのは、サンシャイ ンだな。

MP:ウチにも近いし!(笑)マンボウもいるし。マンボウ見にいこうよ、って誘おう。

森:グラスフィッシュもあそこにいるんだよなぁ。もっとも10年くらい行ったことな いから、今もいるか分らないけど。グラスフィッシュ、彼のレーベル名でもありまし たもんね。その水槽の前で、写真、撮りたかった。

MP:あと電車が好きで。

森:あぁ「I often dream of trains」ね! これもいいレコードだよねぇー。

MP:私も大好き! 私はこういうのがホント好きなんですよー。

森:そういや「I often dream of trains」収録の「Uncorrected Personality Traits」とかも、グレンの時にBGMに流れてましたね(笑) あの歌、ロビンはちゃんとライ ブでもやるんだよな。あれ、3人で来た時にちゃんとアカペラでやりましたもん。

MP:そうなんだー。いや〜、聞きたい。今度トリオで呼ぼうかなぁ。

森:今でも3人仲が良いのであれば、ありですよね。いいと思いますよ。

MP:そういやソフト・ボーイズのベーシストの人が仙台に住んでいるって言ってまし たけどね。

森:マシュー・セリグマンですかね。2枚目からはもうベーシスト、アンディですも んね。ほら、こんな人。
(とピクチャーレコードを見せる)

MP:うわーーーーっ、すごい。うわ〜、これ誰が誰だかさっぱり分らない!

森:その毛むくじゃらがロビンですよ。

MP:ですよねー? わかんない! しかし痩せてる。でも今の方がやっぱりかっこい いや。

森:で、これが俺が発見したころのロビン・ヒッチコック。

MP:いやーーん、可愛い!! Invisible Hitchcockの時の写真だ。

森:あとこれはね、雑誌にくっついてて、その雑誌の方をどっかにやっちゃってて、 痛恨なんですけど。

MP:うわーーー。貴重!

森:でも音的には、Invisibleに入ってました。でも世に出たのは、これが最初だと 思う。

MP:いや〜すごすぎるー。

森:雑誌のね、付録かなんかなんですよね。

MP:いやー、デジカメ持ってくればよかった!

森:大丈夫、お貸ししますよ。

MP:いや、こんな貴重な・・途中でころんだら、大変なことになる!

森:いや、ウチにあってもウチが火事になったらおしまいなんで(笑)

MP:本当にありがとうございます。(といって丁重にお借りすることにする)

森:でも、このヘンは、持っている人は持っているもんですよ。俺は見たら買うっていう程度にしてたんで、見つければ買ってましたけど。

MP:本当にすみません。うわ〜、すごいよ、これ。ピクチャーレコード、いいなぁ、 これ。

森:いや〜音は悪いですよ。鑑賞用にはいいですけどね。

MP:そのうち、ウチもなんかで作ってみようかなぁ。

森:ピクチャーレコード可愛いよねぇ。今、でもプレスは韓国まで行かないと駄目な んでしょ? 俺なんてアナログ派ですから。普段聞いているのは扱いが楽だからCDですけ ど。でも全然CDじゃなくてもいいって思っている人間ですから(笑)。世にいう CCCD問題とか、「なんだ、アナログに戻せばいいじゃん」って(笑)

MP:はははははははは。

森:だってCDになった時から、あんな不完全なメディア出したらどうなるかわかんな いぞ、って、言ってたんですから。マスターテープを外に出しているようなもんだか ら、どんどんコピーされ るよ、って。そんなのは20年前から分かってた話で、何を今さらっていう。

MP:ほんとそうですよねー。ところで、五十嵐さんや荒田さんと話をしていて、ロビ ン・カフェみたいなものをね、来日する前後にできないかな、って言ってたんです よ。来る2週間くらい前から、ロビンの絵を展示したりとか、そういうの、やりたー い、って。

森:ちょっとお金かかってもいいから、ロビン・ヒッチコックの絵は一点ほしいなぁ!! 本当にほしい。画廊とかで展覧会とかやっているはずですよ。けっこうな値 段ついていると思うんだけど、いいんだもん。何十万とかするんでしょうけど、ぜひほしいなぁ。ちょっと大きめの油絵とかほしいなぁ。

MP:作品小さいのが多かったですけどね。

森:けっこう取材中に落書きしてもらっている人、多いみたいですけどね。

MP:ペンと紙わたしておけば、取材中に書いてくれますよ。

森:そうだね。目がグリグリ、ネジになった人の絵、とか(笑)。

MP:ロビンは、でも本当にいいわー。知れば知る程おもしろいんで。いや、グレンも 大変だったけど・・スクイーズの事、全然知らなかったから全部アルバム買ってそろ えて(笑)。勉強するのが大変で(笑)。

森:そりゃー大変だ。

MP:で、ロビンも大変だけど、ロビンの勉強は、すごい楽しい! 

森:多いですもんねー、作品が。でも僕なんて出会った時の衝撃がすごかったら、初期の方が思い入れが強いですけどね。最近のでも「Eye」とかはすごい好きですが。

MP:「Eye」いいですよねー。

森:でも1曲1曲覚えて歌ったりするのって初期の曲かなぁ。

MP:これを(「Robyn Sings」)を、実は来日直前にサクっと輸入盤で出してみよう かな、と思って。インディー流通で。

森:それってディランばっかりやったやつでしたっけ?

MP:まぁ、あんま売れないだろうけど(笑)

森:ディランがそんなに好きだってのは・・まぁ、ディランが好きだってのは知って ましたけど、そこまで好きだってのは知らなかったなぁ。

MP:ロビンが来たら、そのヘンの話、したいですねー。

森:これが出た時はびっくりしましたね。全部ディランじゃんよーって(笑)

MP:必ずカバーもやりますしね。

森:もうあからさまに最初聞いた時から、「あ、ジョン・レノンとシド・バレット だ」ってのは分かったんだけどね・・・・「Cold Turkey」やってましたしねー、いきなりねー(笑)。で、シド・バレット時代のピンク・フロイドの曲とかもやってま したしね。でも政治的なところに無理に近づかずに、ずっと幻視してるっていうか、 自分の位置を守りながら独特の視点で世界を眺めてるっていうか、そういう部分で は、ロビン・ヒッチコックはボブ・ディランに肩を並べる人なんじゃないか、っていう気もする。

MP:しかし、まぁ、ホントすごい人がウチのレーベル来てくれたなー。がんばらなく ちゃ!

森:あんまり頑張りすぎて倒れないようにしないと(笑)

MP:ありがとうございます。でもグレンのツアーと違って、ロビンはすごく自分も楽 しめるツアーになると思うんだよなぁ。すっごく楽しみなんです。

森:一人だし、そのへんは楽ですよね。

MP:グレンは、なんだか嵐のようでしたけど(笑)。これはほんと落ち着いて楽しめ そう。

森:なんか一人でも頭の中にポンポンいろいろ浮かんで大丈夫な人っぽいですよね。

MP:で、ゆっくりおいしいものとか、食べに行ったりとかできるかな、って(笑)。 一緒に道頓堀に行って蟹の前で写真をとるんだ!・・・って、計画して楽しんでます けどね。

森:そうですねー。最初からレーベル名、TWO CRABSですもんね。

MP:蟹、好きなんですよねー。お家にも、お台所行ったら、すごい立派な蟹が飾って あった。

森:どのヘンに住んでいるんですか?

MP:ロンドンの西の方のお上品なエリアでしたよー。

森:でも、まぁ、ねー、カルト・ヒーローですもんねー。ロビンは。ピーター・バッ クとか入ってたレコードありましたよね。

MP:「Globe of Frogs」ですかね。これはメジャー第一弾だから分りやすくつくった んでしょうかね。グレンも入っているし。

森:ソフト・ボーイズの事をR.E.M.の連中が一生懸命聞いてたって、本人たちが言って回ってましたもんね。R.E.M.で俺が一番好きなのは2枚目なんですよ。一番、ソフ ト・ボーイズっぽい(笑)

MP:そうなんだ! 私、R.E.M.ですら、まともに聞いてない。ほんとダメだな。

森:R.E.M.のね、「Reckoning」っていって、日本で一番最初に出た「夢の肖像」っていうのがね、とってもロビンっぽいですよ。

MP:それを聞いて、ちょっと興味が出た(笑)。チェックしてみよう。

森:けっこうサイケっぽい感じで。でも、この記事に書いたのかな・・よく覚えてい ないんだけど・・・・昔Pヴァインからソフト・ボーイズ関係のレコードが出た時 に、ライナーと訳詞をやったんですよ。

MP:あ、私が持っているやつ、それだ!

森:(ソフト・ボーイズは)まったくネガティブでしたから。サイケデリアっていうのが、それまではポジティブに語られてきてたんですよ。愛と平和とヒッピーと、っ ていうイメージだったわけですよ。今となっては、それだけではなかったというのは 充分伝わっていると思うんですけど、でも、80年くらいでしょ、当時。で、なんでこ んな時代にサイケデリアなの?って・・・だって誰もラッパズボンなんて帰ってくる とは思ってなか ったし、あんなものダサさの極みだと思ってたし・・。で、ペイズリーなんか、何それ?っていう感じだったし。時代がパンク、ニュー・ウエイブの流 れ のなかにあって、すべてブッ壊してしまえっていう時に、サイケの連中は何をのほほんと寝言言ってたんだよ、って感じだったわけですよ。

だけど、今考えてみれば、 サイケとパンクなんて時期的には本当に10年ちょっと しか違わないわけで、今、 2005年から振り返ってみると、ほぼもう同じ頃にいるじゃ んって事だったんだけど、 当時の彼等が・・ソフト・ボーイズが1枚目、2枚目だし たころのサイケデリアのイ メージって、ものすごい遠かったんですよ。とんでもなく。サイケなんて死んじまっ たもんなんだから、もう二度と帰ってくんな、くらいにね。

・・・・ネガティブってのとも、違うかなぁ。「光」と「闇」だとしたら、「闇」だ ったんですよね、ロビンは。「闇」のサイケデリアだったんですよね。今考えてみれ ば、シド・バレットとかもそうだったわけで、あれは別にラブ&ピースでニコッとし てたわけじゃなくって、LSDがんがんやっちゃって戻れなくなっちゃったやつが、幻 想に埋まりつつブツブツ言ってたのがレコードになった、っていう事ですから。そういうサイケデリアだってあったんだよね、っていう。薬を使った、使わなかったって どっちでもいいことなんだけど、そういう世界をやってきた人がいる、って事だと思 うんですよね。本人にとっては、偶然カテゴライズしてきたら、そうなったって事なんでしょうけど。でも、当時は「何、これ?」って感じですよ。だって当時パン ク・・ ・パンクはもう終わってましたけど、ニュー・ウエイブが始まった所でしたか ら、だ からみんなPILのP缶がすごいとか言ってたときに、テテテテ〜って、リッケ ンバッ カーの音みたいなのが出てきたら、そりゃーゲテ物だって思いますよね。

MP:まぁ、ロビンは我が道行ってますからねー。

森:そういう意味では、当時から何も変ってないです。どれを聞いてもロビン・ヒッ チコックだし、すぐわかるし。あのヌメーーーッとした歌い方も、全然変ってないし ね。で、ギター1本でいけちゃうじゃないですか。どんどん、こう・・・好きないい 方じゃないけど、初期のソフト・ボーイズとかって、ドロドロとしたものがあって、 俺はそういうところにすごくひっかかったと思うんですよね。バッタがまるまって破 裂す る、とか。そういうすごくまがまがし いイメージって、当時のロビンの曲には 一杯でてきてたんですよ。それがメジャーから出るようになってからかなぁ。どんどん上手く隠されて行くようになる。直接ドーンって出てこなくなっち ゃたんですよ ね。で、この記事にも書いたんだけど、ロビンは「怒りってずっと持っ ているんだけ ど、それをずっと持続させて表現していくのは難しいんだよ」って言ってた。あぁ、 でもやっぱり怒ってたんだ、そりゃーそうだよな、ってのは感じました ね。ふざけん なよ、おまえら、ってのはあったんだな、って。だってもうこういうの なんか (「Underwater moonlight」)「ふざけんな」の固まりですもんね。

MP:いやーこれはもう聞いたら、私なんぞは引いちゃって(笑)。

森:ジャケットからして・・

MP:うわーっ、みたいな。

森:これは、もう好きになる人を選びますよね(笑)

MP:実は私、恐くてまだ2回しか聞いてない(笑)。

森:俺だって工藤さんに「これいいんだよ」って聞かせてもらわ なければジャケットだけ見て置いてたと思う。

MP:私はもう完全に「Trains」とか「Eye」とか、アコースティックなやつが好きな んで・・。A&Mのビートルズっぽいやつとかも好きなんだけど・・・だからこのヘン は・・・うわ、すごいって(笑)

森:いや〜、でもいいっすよーーー。これは!

MP:好きな人はみんなすごい好きみたいですよね。

森:なんだっけ、Tonight・・B面の1曲目。ストーカーの歌なんですけ ど、ロビンの場合だと、もうストーカーなんて通り過ぎてて、こいつ、死んで霊になって取り付い てるだろ、女 に!みたいな・・そういうイメージですよね。イメージとしては。普通 の人間がやる とただのストーカーの歌、偏執狂の歌。でもロビン・ヒッチコックがあの声であのアレンジであぁやって歌うと、もうこいつ、いねぇな、この世に!みたいな(笑)。女の子がこいつから逃げようとしても、もう絶対に逃げられない、みたい な。あ、取り 付いてんだわ、霊になって、っていう。そういうイメージがあったんで、「My wife and my dead wife」なんかは、「あ、もう死んでるわ」と(笑)

MP:はははははは(笑)

森:あのヌメヌメしたヴォーカルがいいですよね。

MP:魚のヌメリですか?

森:いや、魚というより、死体の目玉からぬめり出てくる穴子のよーな・・

MP:きゃーー、こわーい(笑)恐過ぎ。

森:そうだ、グロテスクだ。ネガティブというよりグロテスクって事だな。そういうものが一杯つまった感じですよね。最初は。で、途中から綺麗になったりするんです よね。それはそれでまた美しいんですけど。「BLACK SNAKE DIAMOND ROLE」の一番最 後に「LOVE」って曲があって、あれは静かな曲ですね、って言ったら、「静かだからっていって怒ってないわけじゃないんだよ」だって。

MP:恐いよー(笑)恐いよ、ロビン。

森:この1曲目とかもすごいですよね。

MP:あ、それは私も大好き! ライブ盤は好きなんです!

森:これ、でも一番ロックな感じじゃないですか?

MP:でもカッコいいですよねー。ビデオもかっこいいし。

森:1曲目からしてスゴい。「ぼくがカワイイ女の子だったらシャワーで自分をめちゃくちゃにできるのに」っていう(笑)

MP:ほんと、すごいですよねー。絶句。
 
 

2005.8.11 西荻窪にて


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