| 10月8日 ライヴ・レビュー
でっかいプロモーターがついてもいない、極めて少数の人たちの努力によって、このような公演が結ばれることになったのは奇蹟ではないのか。とつくづく思う。
だって同じステージ上にロビン・ヒッチコックとREM(ピーター・バック)、ヤング・フレッシュ・フェロウズ(スコット・マッコーイ)、KMFDM、ミニストリー、スワンズ、レヴォルティング・コックス、ピッグフェイス(ビル・リーフリンはREMのサポートドラムでもある)、更に東京にいる人にはめずらしくないかも知れませんがモーガン・フィッシャー(ex-モット・ザ・フープル、東京在住)まで並んでるんだよ。
当に闇鍋な豪華さ。相当に凄い事じゃないですか。
まあリンゴ・スターのそれまでは行かないかも知れないが、当にオールスター・バンド。という言い方をしても、USインディ・ファンには間違いじゃないでしょう。
ステージはマイナス・ファイブからスタート。正直に申しますと、この人達、レコードの高品位は重々認めつつも、はっきり言って地味でなんか足りないなあ。という感想が濃厚であった。曲も歌も割とさっぱりしてるからね。
ですがライブは「流石」以上。
やっぱアメリカのバンドは違う。骨が太い(体型もな)。地肩が強い。付け焼き刃な感じが微塵もない。
全員が曲を理解し、何が必要でどこまではみ出して良いか、言葉にはしがたいであろう感覚でばっちり通じ合ってる。特に物凄いとか超絶な演奏ではないのだけれど、歯車が完全にかみ合った活きたグルーヴ。本当に一音で完敗。最高にロックしてますわ。気合いは入って居るんでしょうが、良い意味で大変にヌルい。バー・バンド的な気取らなさ、カレーパンの如き庶民の味。単純に、物凄く楽しい。
で、こうして改めて聞くに、このバンドの有りようが「ビートルズ的・英国ビートバンド的」なものを我流の解釈でどう広げるか、という試行であるかを痛感した。ギターのリフやメロディの端々は完全にそれ。65年以前の英国ビート。そこに米国のバンドならではのカントリーだのブルーズの臭いをほんのり漂わせるのだけれど、本格的な領域を踏み越えない奥ゆかしさがある。
その上、飽くまでパンク以降の価値観やリアリティをきっちり反映させている。ゆえに、無駄にだれたり、懐古趣味的なこぢんまり感に収まることがない。ギターの音圧は高く、曲尺も短く固めてきたかのような感覚がある。
特筆すべきはビルのドラムズで、特に物凄い、って訳じゃなくて、勘所が鋭い感じ。基本的に無駄のないタイトなグルーヴで攻める。こういうバンドには完璧に似合う。異論はあるでしょうが、ピート・トーマスの味を思いだした。しかし、インダストリアル・ロックのドラム番長だったとは思えないしっくりさ加減だ。
ちなみに、ピーター・バックはベース。これが、別にピーターが弾かなくても良いんじゃないの、というくらいに堅実で寡黙でそこそこな演奏。ですが、無駄にピーター・バックであることを求められない肩の力の抜けた感じが、このバンドの良さなんだと思う。
最後のヤング・フレッシュ・フェロウズのカバーまで、徹頭徹尾のビート・フリークぶりが実に痛快で爽快で多幸感満載でした。また見たいなあ。個人的はREMより断然こっちだね。
あっという間のマイナス・ファイブが終わり、ロビン・ヒッチコックの登場。まずはエレキの弾き語り。次の曲でピーター・バックが12弦ギターで入り、次の曲でスコットがベースで、最後にビルがドラムで。というストップ・メイキング・センス方式でマイナス・ファイブのメンバーが加わってバンド形態に至る幕開け。
前回の来日時はソロ/アコギの弾き語りのみだったから、今回は彼のグニャグニャな面白味をより発揮できるバンド形態だったのは大変に有り難い。声量も豊かで節回しも巧みなヴォーカルの旨味は前回でも十二分に堪能できたが、今回のミソはロビンの余りに個性的でテクニカルなエレキ・ギターの凄みであった。曲ごとに妙なチューニングに切り替えつつ、結構複雑な指運やピッキング、時にスライド・バーも滑らせながら、もんわりした違和感を散乱していくフレージングで聞き手を幻惑する。凄っげえ。自称「最後の60'sミュージシャン」は伊達ではない。
というわけで、本人のサイケ気質を汲んで、バンドの音もそういう風になっている。ピーター・バックはある種REM的というかザ・バーズ的な資質を大いに披露。スコットのベースも、正直ピーターのそれよりは良い意味でクセや味があって素晴らしい。わりと気ままな感じ(ですが神経は細かい感じも濃厚)のヒッチコックのあちこちにふらっと歩む感じを壊さずに包んでいく。
貴重なのは弾き語りでフォーク色の強かった前作「スポークド」の曲もバンドで聴けることですね。これも原曲の世界を壊さない良い具合の慎重さ。新作「オーレイ!タランチュラ」からの曲だと、例の映画のキラー・ケインに触発されたという「N.Y.
Dolls」が泣けるねえ。あの映画見ちゃうと、みんな居ても立っても居られなくなるんだよな。
で、ある意味こっちもビートルズ的。ですが、あくまで65年以降の感じ。この人というとシド・バレットへの傾倒や資質が語られることが多く、実際それは間違いないのだけれど、ビートルズ的なフィルターでうがって見ると、異国趣味とサイケとフォークが入り交じったジョージ・ハリソン的な曖昧な英国風味が立ち上がってくる気がした。それはきっと本人の意識しない所だと思うけれど。
アンコールはロビン中心。しかもカバー大会であった。
頭にソフト・ボーイズのセルフ・カバーを2発。流石にこの時代の曲をやると声の変態ぶりが濃厚だ。で、どうやら事前に段取りも何もなかったようで、ステージで行き当たりばったりに相談。その場でコードの行き方を説明したりしてる。始まったのはジョン・レノンの「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」。ロビンの声質はホントにレノンに近い。持ち曲のような見事さ。ピーター・バックのギターに痺れる。しかし、よりによって何でこの曲だ?なお、昨日はレノンの誕生日だったそうで。知らなかったなあ。
で、また適当な打ち合わせで始まったヴェルヴェッツの「ウェイティング・フォー・ア・マン」。盛り上がる。ルー・リードより歌は巧いしなあ。
最後はジミヘンの「アー・ユー・エクスペリエンスト?」。とことん、この人はサイケが好きだな。ちなみに、この曲でピーター・バックはロビンの指示で演奏はフィードバックのみ。割とどんよりとしたカタルシスに乏しい感じで終わるのが、またグッと来るのであった。
終演後は即売サイン会大会。皆かなりの速さで物販に降りてきて、写真やサインに気軽に応じる。ちょっと不届きなんじゃないの、と思ったのはREMの「グリーン」を持ってきてるおじさんだったが、嫌な顔せずサインに応じるピーター・バックって本当にいいひとだ。
というか、REMではこういうことって出来ないんだろうな。バンドがデカい故に、ファンの一人一人の顔を見ることも少ないだろうし。ましてや、ある意味相当に濃いピーターのファンが居るってことでしょう。
というわけで、音楽が血肉に染みこんでる人たちの、濃い至福な宴でした。
h::dzizさんより
●詳細なライヴレビューありがとうございました! 私はh::dizさんの日記におけるライヴレビューはいつも大変楽しみにしているのですが、今回も素晴らしく、転載をお願いしたところ、許可いただきました。今後ともよろしくお願いいたします。(のざき)
10/8のマイナス5のライヴに行きました。最高だった。ピーター をあんなに近くで見れるなんて夢のようだった。
演奏も最高。腰痛をおしていきましたが、最初から最 後までたちっぱなしで踊っちゃいました。この日は内心なんとかしてCDにサインをもら
おうと思っていて、さぁ、終演後はどうすればもらえるか、なんて、 あっさりとスコットとピーターが出口に居るのの見てびっくりしてしま
いました。無事にサインそして二人と握手したときはもう感激で人生の 最良の日でした。本当にあの二人はいい人ですね。
本当に素晴らしいライヴをありがとうございました。それと一つ質問が あるのですが、彼らが使用した楽器はすべて彼ら自身のものなのです
か?実はピーターがREMのライヴで使用するリッケン360を 見るのも楽しみにしていたのですが、確かに360は使っていたけど
REMライヴで使用する360とは別物でした。あれは全部レンタル? 教えていただければ幸いです。
たろ
●アコギ以外全部自分の手持ち楽器ですよ。今回レンタルしたのはアコギの方です。(のざき)
こんにちは、
先日ロビン&マイナス5ライブを三日間参戦し堪能したものです。いまだに余韻がさめやらないので、感謝メールを勝手に差し上げることをどうぞお許しください!
あのメンバーであんな小さな箱(最高の音でした!)であんな素晴らしく美しく暖かいライブを体験できたなんて、日本に住んでいてよかった、音楽ってすごいよ!生きていてよかったよ〜!と心から思いました。これが大げさでない気持ちです。
私は去年の7月にR.E.M.のハイドパークでのライブを観に3泊の強行軍で単身望んだのですが、テロの影響で1週間延期になったため観ることが出来ず、ロンドンの街を泣きながら歩いて(笑)仕事のため予定どおり日本に戻ったという、いまだにかなり笑えない出来事を体験してます。(テロに直接合わなかったのが幸運だったといえるのに!)
ハイドパークのチケットは返金する気にもならず、そのまま持ち帰り今も手元に大事にとってあります。(今考えると今回このチケットにサインもらうこともできたかも!と思いましたが、やはりマイナス5での来日でしたからマイナス5のCDにサインをもらって良かったかな、と思います)
今回マイナス5(ヴィーナス3)のライブを観ることができたのがほんと〜〜〜x100に嬉しかったです。親父バンドどころじゃありません、スコット、ピーター、ジョン、ビル 全員最高にクールでかっこいい音を聴かせてくれて、すごい!すごい!あーーなんでもっと皆観に来ないんだもったいないっっっ!と思いました。
なによりR.E.M.とは別に、みんな音楽を楽しんでいるっていうオーラが直接こちらに伝わって、私は体全体で楽しみながら、心は滂沱の涙でした。
ロビンはCDは聴いてましたがライブは今回が初めて、私の大好きなtelevisionがヴィーナス3の音で、厚くなりながらも繊細が失われず...、音の出だしから(イントロっていうのかしら)歌いだしまでの長く美しい旋律には鳥肌でした。
ロビンは本当に天才、空間を支配してました、ピーターが何度もロビンを見て微笑んでいたのが印象的です。
素晴らしすぎました。
メンバーはもちろんですがのざき様に感謝します、本当に素晴らしい3日間を体験させて頂きました。クルーズは仕事のため、残念ながら参加することはできませんでしたが、
あの三日間を体験できたのですから、これ以上望んだらバチがあたります。
毎日オーレ!とロビンとマイナス5のCDのルーティンです。オーレ!は今年のベスト盤に間違いありません(超かっこいい!)。
一言お礼を!と思いましたが長くなってしまいました。
これからも素晴らしいライブの開催、楽しみにサイトを拝見させていただきます。
心よりお礼を。
さいとう
●さいとうさんのメールをいただいてとても嬉しかったです。というのも、それこそが私が一番伝えたかったことだからです。本当にみんな素晴らしいミュージシャンでした。早くまたみんなで戻ってこれるといいですね。楽しみです。またどうぞよろしくお願いいたします。(のざき)
初めまして。10/6〜8まで、マイナス5+ロビン・ヒッチコックのライブを見に行きました。
夢のように楽しい時間で、こんなに楽しくていいんだろうか、いつか罰が当たるのでは
と怖くなるくらい、至近距離で格好いいライブを見られて、大変感謝しています。
で、それ以来、ビル・リーフリンの大ファンになったんですが、
ブログで25日に東京に戻ってくるとあったんですか、何か収録でもあるんですか?
モーガン・フィッシャーとレコーディングとか?
それともイベントでしょうか?あるいは、息抜きの観光でしょうか?
気になります。
また、Slow MusicのCDは、ミュージック・プラントさんで取り扱いはあるのでしょうか。
お忙しいとは思いますが、ご一報いただけたら嬉しいです。
●Slow Musicいつかやりたいですねー。ビルは私も大好きです。どうやら会場だけで売っているライヴ盤があるみたいなんですが、私もよく知りません。今度聞いておきます。25日に彼等が戻るのは飛行機の都合だけで、単に成田に一泊してそのままLAへ飛びます。彼等からオーストラリアの話をきけるが楽しみ。(のざき)
このたびロビン・ヒッチコックの公演と
打ち上げパーティに参加させていただいた者です。
彼らをまた日本に呼んでくださってありがとうございました。
本当に素晴らしかったです。
今回のナイト・クルーズ(ファンの集い!?)は最高のアイデアでしたね。
美しい月夜の船の上であんな風に彼らの演奏を聴けるなんて夢のようです。
他のファンの方々とも楽しくおしゃべりできて、
想い出深い夜となりました。
これからもがんばってください。
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グレン・ティルブルックも無事に公演を終え、
野崎さんもやっと一息つくことができたでしょうか?
(それともまだまだお忙しい毎日が続くのかしら)
ここ二週間は私にとっても怒涛の連続ライブでした。
音楽との出会いは本当にひょんなキッカケから始まるもので、
今回、ロビンのナイト・クルーズに参加したおかげで、
新たにグレンのファンにもなってしまった私です。(笑)
また楽しみが増えました。
どうもありがとうございます。
あと私のメールですが、よかったらどうぞお使いください。
名前はそのままでもかまいません。
これからもステキな会場で本当に素晴らしいミュージシャンを
サポートしつづけてください。
(曼荼羅はスタッフも感じが良くていいですね。)
加藤
●加藤さん、ありがとうございました。クルーズ楽しかったですよね! が、まぁ経済的にも仕切り的にも大変でした。でもせっかくロビンもグレンも東京にいるのに何もしないんじゃしょうがないだろ、ってんであぁなりました。また楽しい企画を考えたいと思いますし、皆さんからもアイディアがあればぜひ。グレンも応援してくださいね。(のざき)
こんばんは。
先日10/6-8のRobyn Hitchcock & Minus 5のライブにお邪魔させて頂いたものです。
2週間前にトリップするような思いでサイトのツアーレポを拝読し、
改めてお礼を言いたくてメールさせて頂きました。
今年の1月頃、貴サイトでMinus 5の日本版が出る事を知り、
以前から見たかった組み合わせでもあり、ロビン絡みでついでに
引っ張ってきてくれないだろうかと漠然と思ってたものの、
まさか日本で本当に実現するなんて今でも奇跡じゃないかと思います。
残念ながら仕事の都合で最後の船上パーティまでは参加できなかったのですが
3日間素晴らしい音に囲まれて幸せでした。
特に1日目のアコースティックライブの彼らのサロンに迷い込んだような
不思議な感覚はちょっと他では味わえなさそうです。
私は元々ロビンもR.E.M.経由で知ってかれこれ20年になるんですが、
ピーターとロビンが一緒に並んでギターを弾いてる図には涙が出そうになりました。
それに自作曲にしてもカバー曲にしてもあの人達はホントにこういうのが
好きなんだなあーと嬉しくなったりして。
いつもながらスコットは実に嬉しそうにギター弾いてるし、ビルやジョンも
和気あいあいと、類は友を呼ぶと言うけれどあの楽しげな雰囲気は
よっぽどウマが合うんだろうと思います。
レポやブログの記事でも触れられていたこのツアー実現までの紆余曲折や
ご苦労を読んでると足を向けて寝られません。
会場でもこんなすごい人達がやってるのになんでもっと入らんかな?
勿体ないよーと思ってましたが、舞台裏も難しい事がいろいろあるんですね。
月並みですがそんな中彼らを連れて来て下さってありがとうございました。
また機会がありましたらお世話になります。
Asami
●ほんと6日のアコースティックライヴは苦肉の策のアイディアだったんですが、彼等が楽しんでくれたのが良かったです。スコットとピーターが楽しそうに次にやる曲を相談していたのがほほえましかったです。また来日したら、このアコースティックライヴ、やりましょうね。ありがとうございました。そうそう船では、R.E.Mの曲やってましたよ。あの瞬間だけはR.E.Mでした(笑)。(のざき)
野崎さま
素晴らしい各種コンサート、楽しい船上パーティ、そして大変読み応えのある迫真のレポート、
ありがとうございました。本当にのめり込んで一挙に読ませていただきました。
このフォローには本当に感動するばかりです。
そして本当に今回はお疲れさまでした。
(とは言っても野崎様のお仕事の方はずっと続いているわけですが)
私も一時期こういうことにかかわったことがありますので、レポートを読んで「うんうん」と同意するところ、思い出すことが結構ありました。
媒体に断られるとことか、楽器ケースがむちゃくちゃ重いこととか…ダメダメなミュージシャンの一面とか。
遠目にお姿を見るにつけ「大変だなあ」とつくづく思いました。
ともかくも今回は素晴らしいショウと温かみのある心遣いをファン、ミュージシャン両方に届けていただきありがとうございました。
素晴らしいコンサートはミュージシャンのやる気はもちろんですが、スタッフのケアも欠かすことの出来ない材料だと思います。
野崎様のこまやかなお心遣いがしのばれます。
去年は知らなかったのでいくことができませんでしたが、今回元気なロビンを私自身が目にする大編成(?)で見ることが出来、本当に満足しています。しかもバックには私が20年前から世界で一番愛するバンド、REMのメンバーがいたのですから…。
お体に気をつけてこれからも、お仕事の方で益々ご活躍されることを切にお祈りしております。
今回は本当にありがとうございました。
三浦
●三浦さん、ありがとうございます。媒体に断られるあの感じは経験者じゃないと分かりませんよね(笑)。今でもあの新聞社には火をつけてやりたいです。マスコミに踊らされる国民性も悪い。そんな中媒体ではほとんど取りあげないこの企画を探し出して来場してくださったお客様に本当に感謝です。ロビンに会えたことは、私の一生の宝物。あんなに素敵な人はいません。
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