THE MUSIC PLANT REPORT AUGUST 2001 

8月14日 東京〜アムステルダム〜ダブリン

前回のアイルランド出張同様、KLMにてアムステルダムへ。あいかわらず淡白なKLMのサービス&前の晩ほとんど徹夜で仕事をしていたのがたたって、飛行機の中では爆睡状態。オランダまでの機内で食べたものは、食事と食事の間にだされるカップヌードル(小)1つだけで、とにかくご飯もたべずにぐっすり寝てしまった。オランダで乗り換えてダブリンに到着。なんかすごくうれしい! ダブリンだ! やっぱりダブリンはいい。ところが、タクシーの列が長蛇の列で「1時間待ちくらいになりますよ」という案内のお兄さん。それでは、ということで、たまにはバスにのってみようと思いつき、バス(これが、たった4ポンド!タクシーだと15ポンドくらい)にトライ。常宿にしているホテルから徒歩1分の位置にとまるので、これからは経費削減のためにも、バスをつかおうと決めた。ホテルに到着するとすでに夕方の6時くらい。

シャワーをあびてさっそく町へ。前日にスーパーで買い占めた日本食をたくさん持って日本人の友人宅を訪ねる。「アイルランドでダンスに夢中」の著者である山下理恵子さん宅だ。彼女は勇敢にも、こっちで働いて、家を買って、子供を生んで、がんばっている素敵な人だ。いろいろつもる話題に花をさかせ、ご飯をご馳走になり、赤ちゃんの写真をとりまくる。

その後ホテルに9時ごろもどってきて、別の便で到着したライターの五十嵐正さんと一杯飲みに町へくりだす。なんだかんだで2時間くらいのんでいたかなぁ。パブはこの時期どこも観光客向けのバンドがはいっていてとてもにぎやかだ。それからホテルに戻りバタンキューで寝てしまう。

しかしここのホテル、ブルームスは本当にいい。いつも使っているが、スタッフは親切だし、知った顔も何人かいるので、まるで家にもどってきた気分になれる。やっぱりダブリンはいいなぁ!!
 

8月15日 マイケル・マクゴールドリック&デ・ダナン with  エリノア・シャンリー(ダブリン)

あれだけ飛行機の中で寝てきたのに、まだ寝れるのかと思うと自分でもあきれてしまうが、とにかくぐっすり寝てしまう。朝ご飯をたっぷりたべて、まずは町へ繰り出して、資料本などをトリニティカレッジのショップでゲットする。

その後、ルナサの航空券や今回の私の国内線フライトを手配してくれている旅行代理店へ。いろいろな手続きをすませてチケットを発券してもらう。銀行口座のチェックをするなどいろいろ雑務をすませて、早速、各レーベルとのミーティング。

一発目は、新規取引先になるであろうクラダレコード。ジェーンさんと打ち合わせ。その後、お店の方で、フィンバーさん(このHPをごらんの方は彼から直接新譜リリース情報をもらっている人も多いはず!)に対面。たくさん買い物をしたら、親切にもけっこうまけていただきました。ありがとう! 

次は、おなじみシャロン・シャロンの事務所、トップフロアーマネージメント(ハミングバードプロダクション)へ。社長のジョン・ダンフォードとミーティング。ハミングバードの新譜でなかなかいいものがあるので、ウチで今度紹介するかもしれません。

続いて五時にマルガムー・ミュージックのポール・ケリーさんと打ち合わせおよびCD代の支払いをかねてホテルのバーで待ち合わせ。

この日の最後は、ナショナル・コンサートホールでのシリーズコンサート。今回のアイルランド出張は、このシリーズコンサートの日程にあわせてくんだ。ちなみにこのコンサートは、15日から19日までのシリーズコンサートで、ナショナルコンサートホール主催による国をあげてアイリッシュ・ミュージックをプッシュしていこうというもの。広告はあちこちにでているし、観光客がバスをのりつけたりして、かなりの盛り上がり。ただどうしてもクラシックのコンサートホールなので、アイリッシュミュージックの本来の雰囲気とかなりかけはなれているし、会場のアコースティックも微妙な話。それはともかくラインアップがとにかくすごい。初日はマイケル・マクゴールドリック&デ・ダナン、2日目はリアム・オフリン&ショーン・ケーン(ドロレスの弟)、3日目がカパーケイリー&ダービッシュ、最後がアルタン&ルナサという超豪華な組み合わせ。しかも毎日、ジャンベという新しいグループが頭で10分くらい演奏するのと、2つのアクトの出演の間の休憩時間にロビーでは、オスナ、プロヴィデンス、ローナン・ブラウンといった連中が楽しい演奏をきかせてくれる、という、とにかく充実の内容なのだ。

まず7時にナショナルコンサートホールの目の前のコンラッドホテルで、デ・ダナンの連中と再会。今夜のヴォーカルはエリノア・シャンリー。チケットを手配してもらった彼らの友人であるパトリックさんからチケットをうけとると、まずは、現在の私の最愛のアーティストであるマイケル・マクゴールドリック!!!のコンサートへ。

というわけで、初日。まずは マイケル!! とにかくマイケル! 本当に彼は演奏している姿からしてもう本当にかっこよい。今日はトリオの編成で、おなじみフルックのエドとジョン・ジョーがサポート。ジョン・ジョーのボーランソロは今日もすばらしかった。しかしなんといってもいいのはマイケル。彼はもう出てくるメロディがとにかくいいんだなぁ、フレーズがいいんだなぁ!! 吹いている姿がこれまたいいんだなぁ!! さすが書く曲もいいメロディが多いだけあって、伝統曲のもっている可能性を十分に引き出していく感じ。本当にすばらしい!

続くデ・ダナンのステージも楽しいものでした。フランキー・ゲーヴィンはあいかわらずで絶好調で、ものすごいフィドルをきかせてくれました。まぁ、トラッド系のフィドルで、今この人の右にでる人は、基本的にいないんじゃないでしょうかね。

メンバーは、おなじみアレック・フィン(ブズーキ)、コルム・マーフィー(ドラム)、現在はアット・ザ・ラケットでも活躍しているブライアン・マクガレス(バンジョー/キーボード、元フォー・メン・アンド・ア・ドッグ)、そして新人のアコーディオンプレイヤー、デヴィッド・ムンレイ、そしてヴォーカルゲストにエリノア・シャンリーそして名前を忘れてしまいましたが、アイリッシュテナー系の男性ヴォーカルもくわわり、ステージ上はキャラクターが妙にたった連中が集合し、いわゆるクラシック系のホールによくあるピーカンのライティングも手伝ってまるで「8時だよ全員集合」のテレビでもみている感じにになってきました。

ちなみに昼間打ち合わせをした某レコード会社がアコーディオンのデヴィッドのソロアルバムを出すというので、注意して聞かなくちゃ、と思ってましたが、現在のデ・ダナンはとにかくフランキー中心のバンドなので、フランキーはいかにも「俺様のバンドだ!」という感じで、ほとんどほかのメンバーのソロはきけませんでしたが、それでもアコーディオンの彼はソロのパートを少し与えられ(本当にチョビッとでしたけど!)なかなか印象的な演奏をきかせてくれました。フランキーは最近、アレック・フィンとブライアン・マクがレスをともなってソロアルバムを発表したようです。(このソロアルバムの雰囲気の方が現在のデ・ダナンに近いです)

というわけで、終わったあと、ホールのバーで、久々にフランキーに対面。ちょっとだけやっぱりふけたかなぁ。前にあってから5年くらいはたっていると思われます。それでも昔あったことを覚えてくれていて、日本に来たい、としきりに言ってました。

その後、マイケルがぜんぜんバーのエリアにでてこないので、もう先にかえってしまったかなぁーと思いつつも、エドとジョン・ジョーはバーのエリアをうろうろしているし、マイケルも、まだ帰ってはいないんだろうけどなぁ、でも下手すると、このままマイケルに会えないかなぁ、と思いつつ、どうしようかと思いながらも、超恥ずかしがり屋の私は、モジモジしておりましたが、ここで会えずに帰ったら悲しいものがある!というわけで、彼の携帯におもいきって電話をしてみると「ヨーコ!」と覚えていてくれて、「すぐ行くよ!!」と楽屋の方から飛び出てきてくれてちょっと感動的な再会でした。本当に感激!! マイケルは本当に元気そうでした。ジョン・マクシェリーとのアルバム、ウチで発売できるかもしれません。

今度のジョンその後エドとジョン・ジョーにも話しかけました。エドは今までにも何度か話したことがありましたが、ジョン・ジョーとはここではじめて話をしました。ジョン・ジョーは、これまためちゃくちゃ楽しい人でした。12月の来日にあたり、いつもはマンチェスター在住で、ほかのメンバーより3時間多く電車の旅をしないといけないのが辛かった彼は、今回ロンドンからもマンチェスターからもフランクフルトに集合して、みんなで一気に東京に飛んでくるというツアーの手配がすごく気に入ったらしく、すごくそのことを興奮して言っていました。一方のエドはあいかわらず紳士的でやさしい感じでした。こちらの二人には、のちほどウエストポートでのフルックのライブで再会を約束して、別れました。ホテルにかえるとすでに2時くらいにはなっていて、そのままバタンキューで寝てしまいました。
 

8月16日 リアム・オフリン&ショーン・ケーン(ダブリン)

この日もまたミーティングづけ。朝10時にフランシス・ブラックやシネイド・ローハン、元アヌーナのイーマ・クインなどのマネージメントをてがけるパット・イーガンおじさんの事務所へ。最近の情報をいろいろゲット。

その後、いったんホテルに戻ろうとすると、クラダレコードのショーウインドウをのぞくどっかでみたような顔が。ばったりフィルムディレクターのフィリップ・キングと再会、最近のアイリッシュミュージック界のうわさ話で立ち話ながらもかなり盛り上がる。その後、インターネットカフェにこもり、メールのチェックしたり調べものをしていたらあっという間に、次のミーティングの時間に。ダブリンにいると忙しいよー。東京にいるのと全然変わらない。

午後から雨も降り出した中、1時にタラレコードのジョンさんとランチをかねて打ち合わせ。こちらは、前回の打ち合わせをこっちの理由でドタキャンしているから、今回は絶対にはずせない。ジョンさんはとても協力的で、いい感じ。今後定期的に輸入をはじめるかもしれません。その後はTHE MUISC PLANTのメインアーティストであるメアリー・ブラックのオフィスへ。マネージャーのジョーに先日のテレビのビデオを渡す。その後、この10月に出るベスト盤の打ち合わせなど約2時間半にわたっての超ロングミーティング。

一息ついて、ライターの五十嵐さんとご飯を食べようとインド料理屋にはいりしばらく話していると私の携帯がなる。ブー・ヒュワディーンからで「今日エディと一緒にカナダから帰ってきたんだよ」という。電話の声はとても元気そう。こういうときに特に用もないのに電話をかけてくれるのは、すごくブーらしい。一緒にエディの仕事をしているコリン・リードのCDをやるようにすごく強くすすめられる。(ただしこちらは後日、他のレーベルさんがやることに決ったらしい)

その後再びナショナルコンサートホールへ。なんと今日はメインアクトである、リアム・オフリンからスタート。バンドがとにかくすばらしい。ギターにスティーブ・クーニー、アーティ・マックギン、パーカッションにリアム・ブラッドリー(元ヴァン・モリソン・バンド、この人が本当に抜群!)、そしてフランク・ギャラハー(フィドルとキーボード)という編成。とにかくスティーブとリアム・ブラッドリーの絶妙のバッキングで、まじめなまじめなリアム・オフリンのパイプをささえる、という感じ。リアム・オフリンはとにかくすばらしい。アルタンのマネージャーのトム・シャーロックにいわせると「ディグニティ」だそうですが、本当に「まじめを絵にかいて額にいれたような」演奏。こういったものは、派手にうけないかもしれないが、とにかくシミジミと、シミジミと、シミジミと、本当によい。私は聞きながら胸がいっぱいになってしまいました。彼の伝統音楽にささげる気持やら、思いやら、人生やら、すべてが感じられる、本当にすばらしいステージでした。

続くショーン・ケーン。バンドに知っている連中がぞろぞろいるかと期待していたら、そんなことはぜんぜんなくて、まったく知らない若いメンバーばかりトリオでショーンをバックアップします。彼もなかなか好感のもてる歌でした。時々お姉さんのドロレス的な味がでる場面もあり、また、お客さんからヤンヤと声もかかり、とにかく人気者でしたねー。

ところで、なぜかちょうど私たちがすわっている前2列目くらいのところに、妙にポール・ブレイディに似た人が。となりにいる奥さんまで、ポールの奥様に似ている。もしや・・とおもいつつも、前にまわってみることもいたんですが、休憩中、ちゃんとみたら全然違う人でした。がっくり。

さてコンサートが終わったあと、おそるおそる楽屋を訪ねてみると、元メアリー・ブラックバンドのフランク・ギャラハーがやたら歓迎してくれました。スティーブも元気で、リアム・ブラッドリーをコーラスにしたがえて、いつもの 「Oh Yoko」(by ジョン・レノン)を歌ってくれました。

はじめてお話をするリアム・オフリンは、彼の音楽そのままの真面目な真面目な真面目な人で、本当にすばらしい人でした。その後毎度おなじみハーコートホテルのバーに流れると、なんとここにいました、本物のポール・ブレイディが! ロンドンと東京で二度お会いしたことはすっかり忘れられていましたが、そんなことはどうでもよいのです。彼は大スターですからね! それでまた挨拶をさせていただき、もう感激。リアムのステージに感動したポールはリアムに感想をつたえにきたようです。

その後しばらくハーコートのバーで飲んでいましたが、翌朝は早いので2時くらいには失礼してホテルに戻りました。
 

8月17日 ダブリン〜グラスゴー〜マル・オブ・キンタイヤ

さてこの日は、本当に長い一日です。まずダブリンから11時くらいの飛行機でグラスゴーへ。グラスゴーに到着すると、親切にもグラスゴーの取引先のレーベルLismor Recordsのロニーさんがでむかえてくれました。そしてロニーさんとミーティングを車の中でしながらバス・ステーションへ。これが約20分くらい。しばらくバスステーションでお茶をしながらミーティング。そしてバスにのって、いよいよキャンベルタウンにむけて出発です。キャンベルタウンはMull of Kintyreというポール・マッカートニーの歌でも有名なスコットランドの奥地。 Mull of Kintyreは半島なんですが、その先っぽに中心地、キャンベルタウンがあります。ちなみにビートルズの歌「Long and Winding Road」は、このキャンベルタウンへ向かうB道路のくねくねした道のこと。残念ながらバスのルートはA道路(もっと大きな道路)の方からいってしまったので、 Long and Winding Roadは観られなかったのですが、それでもグラスゴーからインバラリーへむかう道はすばらしく、感動的でした。でも、まぁほとんど寝てたけど。どうも乗り物にのると眠くなってしょうがありません。夜は夜でしっかり寝てしまう(しかも今回ほとんど時差ボケなし。どうしてこんなに寝れるの!?)ので、妙に今回、体調がいい感じでした。キャンベルタウンに向かう5時間のバスの中、ほとんど死んだように寝てしまいました。

実は、この旅の数週間前、今回このキャンベルタウンでの宿泊を手配するのに、この地でのフェスティバルで演奏するフォーメン・アンド・ア・ドックのカハル・ヘイデンに電話したところ、フェスティバルのオーガナイザーのジムが、バンドと同じホテルを押さえようとしてくれたのですが、これが早くも予約でいっぱいだったんです。その後、さらにジムの紹介で、とあるゲストハウスを押さえたのですが、ここが前もって日本から電話したりダブリンから電話したりしても、めちゃくちゃフレンドリーでよいところ。なので、到着前からめちゃくちゃ期待度が高まっていたわけですが、実際到着してみると、これまた女の子がないてよろこびそうな、かわいいゲストハウスでした。やっぱりいいなぁ、スコットランドは!

到着してカハルの携帯に電話をいれると、バンドはまだ到着してない様子。そこでまずは町へくりだして、本当に小さな町なんですが、あれこれのぞいてみました。メインストリートでは、このフェスティバルの一環ということで、通りをパイプバンドが演奏し、いろいろな飾り付けがなかなかいい感じです。お腹がすいたので、Take Awayでチキン・アンド・チップスを買おうとすると、中国語で話しかけられたり、また子供たちは東洋人をみるのが珍しいのか、じろじろ見られる。子供はぜんぜん遠慮がないから、これまたおもしろい。気分はまるで映画の「ローカルヒーロー」です。といってもチャイニーズレストランはあったから、東洋人はいると思うんだけど! 

なんだかんだで夜の9時すぎにカハルたちのホテルのバーで飲んでまっていると、一行到着! カハルはもちろん、やっと憧れのジェリー・“バンジョー”オコナーにあえたので本当に感激です!!! ジェリーは思ってたとおりの人で、ちょっと天然ボケがはいったキャラクターがめちゃくちゃいかしてました。ジーノは本当にお相撲さんみたいな感じ。あのウエストは3mはあるんじゃないでしょうか。ケヴィンは背がすごく高いのですが、静かでおとなしい感じ。実はフォーメンは、私は6年くらい前にオーストラリアでみてるんです。でも、演奏の方はぜんぜん覚えてないんですよねー。まぁ当時は、メアリー・ブラック以外のバンドとは仕事をする気がなかったので、興味がなかったし、まぁカハルあたりにいわせると「当時はまだバンドがかたまってなかった」とのことで、やはりこのカハル、ジェリー、ジーノそれにケヴィン・ドハティが一番最強のラインアップのようです。なんだかんだで、バンドの連中と12時くらいまで飲んでいたでしょうか。この日はそれでゲストハウスにもどるとバタンキューで寝てしまいました。

泊まったとても可愛いゲストハウス。
 

8月18日 Mull of Kyntire Music Festival 
フィル・カニンガム&アリィ・ベイン、フォー・メン・アンド・ア・ドッグ他

3時にサウンドチェックということだったので、朝はメールをいれたり、海辺へ出かけたり、お昼寝したりで、やっと(!!)はじめてのんびりすごしました。やっぱりダブリンから離れると仕事から離れた気分になれる!! 3時に会場へいこうとすると、道の途中でケヴィンにばったり(このようにキャンベルタウンはすごく小さい町)。会場へ一緒に向かいました。私たちが会場に到着するとジーノとジェリーはいましたが、ジーノによるとカハルはジーノが部屋に電話したらまだ寝ていたようで、遅くなりそう、とのことです。それでも30分おくれくらいでカハル登場で、全員集合。サウンドチェックがはじまりました。会場は、700〜1000人くらいでしょうか。体育館みたいなところで、お客がはいらないと、どうもアコースティックがつかめないらしく、ずいぶん長い間サウンドチェックをしていましたが、とにかくこのバンド、最初に音が出たときは、ちょっと感動でした。なにせ名作「ロング・ローズ」からしばらくして、バンドは解散してしまい、ライブをみることはもうないかと思っていたからです。「ロング・ローズ」はとにかく名盤で、私は本当に死ぬほどききまくりました。ザ・バンドのレボン・ヘルム・スタジオで制作されたこの作品は、アイリッシュ・ミュージックとアメリカ音楽が見事に融合したすばらしいアルバムです。それはトラッドにドラムやベースをいれる、とかそういう安直なものではなくて、それぞれの真髄に根ざしたもので・・しかしこのアルバムもいまやアイルランドですら手にはいりません。メンバーはそれぞれがソロアルバムをだしたりして、がんばっていますが、いまはフォー・メンとして活動することはあまりなくなってしまったようです。でも、やっぱりこのバンドはすばらしい。リハーサルですでにそれを確信してしまいました。

さて、サウンドチェックの後、ご飯は5時半まで用意されないというので、それまで、みんなでデレデレとホテルに戻りホテルのバーで飲んでいました。そこに今夜の他の出演者である、スコットランドのアリー・ベインとフィル・カニンガムの両巨匠が登場。フォーメンの連中に紹介してもらいました。フィルはとにかく楽しい人で、いろいろなジョークでお腹がよじれるほど笑わせてくれます。一方のアリーの方は、まじめなおじさんといった感じでした。いずれにしてもこの二人が現在のスコティッシュ・ミュージック最高峰であることは間違いありません。ところでこのデレデレ飲んでいる最中に、すごくかわいいハプニングがあったのでここに写真を掲載します。動画でごらんいただけないのが残念ですが、本当にこの小さい子はあごでカウントをとりながら真剣に演奏し、セッションに参加しているので、笑ってしまいました。鍵盤の方はぜんぜんですが、蛇腹の方は、それっぽく操れるんです、彼。一方通りのパイプバンドでも、この写真のように、子供が参加。町中がお祭りさわぎ。あちこちのパブではセッションがはじまっています。ときどきすごく年寄りのおじいちゃんのパイパーが遠慮がちに楽器をもちがならうろうろしたり、またすごく若いほとんど子供みたいな子がコーラやチョコバーをもって、セッションのテーブルに参加したり、本当に楽しい雰囲気です。

その後やっと五時半になってレストランが開いたので、フォーメンの一行とフィルとアリーとみんなでご飯をたべはじめました。ご飯の後は、この連中とデレデレ飲んでいると、ほかのアクトが見られない、と思い、私は一人さっそく会場へ向かいました。会場に到着するとスコットランドの新人バンド、マーリンキーちゃんたちが演奏してました。赤毛の男の子がリーダーぽかったですね。まだ素人くささがぬけないところがありますが、とても好感のもてる演奏でした。女の子のヴォーカルもCDできくのと同様、かわいかったし、演奏も安定しているし、あと2,3年もやれば、フォークシーンの第一線にでてくるんじゃないでしょうか。

さて、それが終わると、いよいよフィル・カニンガムとアリー・ベインのステージです。
これが・・・・・とにかくびっくりしてしまいました。フィルのMCによると、彼らは昔ピアノプレイヤーもいれてやっていたことがあったそうです。ですが、今はフィルのアコーディオンの左手(ボタン)に、エフェクターをつないでピアノの音をすべてそこで出します。これが伴奏。そして、右手の鍵盤の方でメロディをひきます。これにフィドルがくわわって、まるで3人で演奏しているみたい!!に聞こえるんです!!!

そして、とにかく早い!! こんな早いアイリッシュじゃない、スコティッシュ・ミュージック、いやとにかくこのエリアの伝統音楽の中で最速の二人といって間違いないでしょう。彼らをきいているときは最初は「うーん、のまれちゃいけない、のまれちゃいけない」と自分に言い聞かせながら、「今日はフォー・メンをみにきたんだし」と自分を説得するのに大変でした。でも5曲めくらいには「うーん、これをどうやって日本に紹介しよう」とそればかり考えてしまいました。職業病もいいところですが、これはぜったいに日本に持っていきたい。とにかく、そのくらい、すばらしい演奏でした。またフィルのオリジナル曲(そうフィルはすばらしいコンポーザーでもあるのです。シャロン・シャノンもルナサも、リアム・オフリンも彼の曲をとりあげています)のスローな曲ではまるで映画音楽みたい。涙がでるくらい感動させてくれます。

フィルもすごかったですが、それより演奏面で、びっくりするのは、アリーのフィドルです。このフィドルをどう説明すべきか。「私がみたフィドラーの中で一番すごい」と言ってよいか。聞きながらホームページにどう書けばいいか、評論家の先生方になんていって説明すればいいか、そんなことばかり考えてしまいました。とにかくいきなりスコットランドのフィドラーの最高峰をみているわけですから、無理もないと、かんべんしてください。とにかく目が点。なんて説明していいのかわかりませんが、とにかくすごかったです。

と、まぁ、そんなに二人がすごかったので、かなりやばい気持ちになってきました。これはフォー・メンは飛ぶかもしれない。今日はカハルにお願いして、このライブを無料でみせてもらっているのに、それはやばい。

しかし、しかし、しかしそんな心配は必要ないということが、一発めのカハルのフィドルの音がでたとたんわかりました。とにかくすごい! まずはカハルだけまったくのソロで2,3分はやってたんじゃないでしょうか。フィドルのソロで、これはもう有無を言わせずぐわんぐわん盛り上げます。「お前ら黙れ!」みたいなフィドル。これは喧嘩を売っているとしか思えません(笑)。もう一発目から飛ばしまくりというかんじ。ずいぶん長い間カハルが一人で演奏していましたが、その次にジェリーのフィドルが加わり、もうすごい勢いでダブルフィドルでさらに2、3分はやってたんじゃないでしょうか、とにかく結構長い時間それだけでぐいぐいひっぱってきます。そして最後にジーノとケヴィンが加わったとき、もう盛り上がりは最高潮に達しました。そして1曲目の2番目(3番目か?)のチューンはなんと、ルナサもよく演奏する「パンチ・イン・ザ・ダーク」。ショーンのソロアルバム「ブルー・フィドル」にもはいっているジェリーの曲です。(あとでよく考えたらこの曲、フォー・メンも録音してました)これがもう超かっこいい。ルナサのアレンジの方が、技がきいていてアレンジされている感じですが、フォー・メンのヴァージョンはもう力で押してくる感じです。

あとルナサのショーンのフィドルも早いけど、ジェリー&カハルは早い、早い! びっくりするほど早い! ちなみにフィルによるとBBCで放送された最速のアイリッシュ・ミュージックはフィル・カニンガム&ジェリー・オコナーだったそうです。「ほとんど曲紹介したと同時に終わっていた」のだそうです(ホントかよ!)。というわけで、もう後はなにがなんだか覚えてませんが、ケヴィンがメアリー・ブラックがカバーしたことでも知られる「ドニゴール・ブリーズ」を歌ったり、「ロング・ローズ」からは「ナンシー」をやり、カハル・へイデンのソロアルバムから「マウド・ミラー」をやったくらい(これがめっちゃ感動的)で、他にあまり知っている曲はありませんでしたが、とにかく力でぐいぐい押していく感じと、どんどんスピードアップしていく感じがあまりにもよく、あっというまのステージでした。あまりに盛り上がると、ジーノをのぞくステージむかって右側の三人は、足元においてあるモニターの位置も、前方のお客も無視して、三人ほとんどベッタリとくっついちゃう。ほんとど輪の形になって、下をむいて一心不乱に演奏してます。ジーノだけが、前方にでて、お客をあおったり、とにかくすごい盛り上がりなんです。

ステージが終ると、すでに夜の1時をかるくまわってました。フォー・メンの連中は、頭から水をバケツでかぶったみたいに汗びっしょり。しばらくメンバーと楽屋で話し、その後、楽器や即売のCDをメンバーのホテルに戻すのを手伝って(これが雨がビタビタふって大変でした)自分のホテルに戻るともう3時くらいでそのままバタンキューで寝てしまいました。

さて、こうしている間に、実は来るバスの中でアドレス帳をなくしたことが発覚。ロスト・プロパティに電話するも週末で電話がつながらず。ほとんどあきらめることにしました。中にはクレジットカード(といっても2枚もっているうちの1枚だから問題はなかったのですが)、アイルランドの銀行のバンクカードなどわらわらはいっていたので、がっくり。まぁでも実はこのアドレス帳、あとからでてくるんですが、続きはのちほど。
 

8月19日 ルナサ&アルタン(ダブリン)

朝7時のバスでまずはグラスゴーへ。グラスゴーまでふたたび5時間。ほとんど死んだように寝てました(こればっか)。昼過ぎにグラスゴーについてバスステーションから空港まででると、ほんとうは夕方の飛行機に乗るのだったのですが、ちょうど前の飛行機が多少おくれて、1時くらいの便に乗れることになりました。というわけでまたダブリンに戻り、もう同じみ空港バスにのってふたたびブルームスホテルへ。しばらくメールをいれたり仕事をしたあとナショナルコンサートホールへ。今日はルナサとアルタンのコンサートです。さすがにこの日は超人気の二グループということで、ナショナルコンサートははじまって以来の大ソール度アウト。表にはキャンセル待ちの長蛇の列。このホームページでもおなじみのアルタンのマネージャーのトム・シャーロックに席をたのんでいたのですが、それもぎりぎりまで出ないというすごい状態。

会場に到着するとちょうどルナサの連中がサウンドチェック中。本当にみんな元気です。
チケット入手が困難な中、それでも真ん中のかなりいい席をゲットしてもらい、さっそくルナサのステージ。セットリストはこの写真のとおりです。

しかしルナサは本当にすごい! ほかのアイリッシュバンドとぜんぜん違う。ますます演奏に細かいアレンジがきいてきて、本当にすごいバンドになっちゃいました。まぁ、なにもいうことはありません。とにかく10月の来日がとても楽しみ。皆さん期待して期待しすぎることはないですよ。とにかく楽しみです。あぁ、はやく10月にならないかなぁー。

一方のアルタンは、今回はマーク・ケリーにボウランのトミー・ヘイズというラインアップ。本当にすばらしいステージをきかせてくれました。特にダヒーの時にはきけない「人魚の歌」がきけたので、涙がちょちょぎれました。アルタンはすでに新作のレコーディングを終えており、まさにこの木曜日からトラックダウンにはいるという直前なのだそうです。来年前半には、このアルバムが日本もふくめて発売になるようです。すでにこの新作からすでに3曲くらい演奏してました。ライブがおわったあとは、おなじみのハーコートに流れて、そのまま2時くらいまで飲んでました。途中デニス・カヒルも姿をみせてました。


 

8月20日 キーラン・ゴス(ゴールウェイ)

朝ふたたびダらのオフィスを訪ねて、ミーティングした後、銀行にいったり、なんやかんやでばたばたした午前中をすごした後、ルナサのショーンがゴールウェイまで車にのせていててくれることになりました。この日は、ゴールウェイでキーラン・ゴスのライブです。だいたい2時ごろダブリンをでて、夕方6時ごろゴールウェイにつきました。この日はリバーダンスで先に来日したモーリン・フェイのだんなさんのクリス・ケリーにBBを押さえてもらうようにお願いしたのですが、ショーンの携帯にクリスが電話をかけてきてくれて、ショーンにBBの住所をわたしてくれたり、アコーディオンのアラン・ケリーがおなじくショーンの携帯に電話をくれて、どこであうか打ち合わせしてくれたり、とにかくゴールウェイ在住チームは絶妙のチームワークで、これからゴールウェイにむかう私たちを歓迎してくれました。

というわけで、車でゴールウェイに到着すると、まずはCDをかわなくちゃというショーンについていってレコード屋に何件かまわり、途中パブでアラン・ケリーに会い(デ・ダナンとアット・ザ・ラケットなどで活躍中のブライアン・マクがレスにもあいました)、いったんホテルにチェックインしつつ、ショーンのフラットへちょこっと寄らせてもらいつつ、ショーンのお姉さんのブリーダ・スミス(最近、だんなのジム・ヒギンズとアメリカからゴールウェイにもどってきた。なんともうすぐ赤ちゃんが生まれる予定)とも合流して、ライターの五十嵐さんと4人でご飯を食べました。すごいおいしかったです。その後、キーラン・ゴスのライブがある会場にいきました。とにかくこの短時間に、ほとんどの知り合いに会えたのは、ゴールウェイ・チームの見事な連携プレイといえるでしょう。

キーラン・ゴスのステージは、すごく楽しかったです。しかもずっとトラディショナルものばかりきいていたので、こういうコンテンポラリーなものをきくと、妙に安心してしまいます。ほぼ5年ぶりにきくキーランの歌はすごくよかった。キーランの歌声は本当にいいですねー。なんか声に温かさがあって。もちろん彼がつくる作品群もこれまたすばらしいわけですが。最後はおなじみ「リーチアウト」の大合唱で会場は本当にもりあがりました。アイルランドでは、出すアルバム、すべてプラチナ、という大スター。また昔は、ロイヤーだったというインテリのキーランは、自分で自主レーベルを作って、そこで自分のCDを制作している、というとてもインディペンデントなアーティストでもあります。ほんとうにアイルランドでは大スターなのに、自ら美人の奥さんと元気にCDを売ってました。MCもあいかわらずのジョークでお腹がねじれるほど笑わせてくれます。ただおもしろいだけじゃなく、選曲から何から非常に計算されたステージです。

それから会場には、マーティン・オ・コナーも奥さんと顔を出してました。ショーン・ケーン夫妻もいました。

コンサートが終わると、翌々日からはまたアメリカツアーがはじまるという忙しい中、この日は本当に終日私たちにつきあってくれたルナサのショーン・スミスがBBまで送ってくれました。ありがとう、ショーン!

BBにつくと、深夜1時くらいで、ほとんどバタンキューで寝てしまいました。
 

8月21日 フルック(ウエストポート)

さてこの日は昼ごろのバスでウエストポートへ移動だったのですが、赤ちゃんが生まれて忙しいモーリン・フェイの旦那さんのクリス・ケリーが朝BBまで迎えにきてくれました。そして車で自宅まで案内してくれて、モーリンと赤ちゃんに対面! ほんとうにかわいい男の子です。ところがなんと同時にクリスのお父さんがもうすぐ癌でなくなりそうだ、という状態だったんです。「こうやって命がひきつがれていくようだよ」とクリスはしみじみ話していました。お父さんはもう長く病院にはいっていてお医者さんから、いよいよここ数日だろう、と言われたそうです。クリスはお父さんの意識があるうちに早く病院にいかなくちゃ、と言ってました。

そんな大変な時期だったのにもかかわらず、クリスはお茶をいれたりお菓子を出したり、大歓迎で迎えてくれました。モーリンもあいかわらず超元気で、ちゃきちゃきとしてました。リバーダンスの例のマドリッドでの火事事件の話などききましたが、本当にたいへんだったようです。もちろん保険をかけたりしていたので、大きな損害にはならなかったようですが、それでも、楽器など、とりかえのきかないものもたくさんあるわけで、たいへんな騒ぎになったのだそうです。リバーダンスチームは、実はこの数日後、またヨーロッパをまわる大きなツアーがはじまるのですが、モーリンは12月まで産休。マーチャンタイスを担当しているクリスも10月まで自宅勤務が許され、赤ちゃんの面倒がみれるのだそうです。(さすがリバーダンスともなると大きな会社みたいに福利厚生もしっかりしている!)

まぁ、そんなわけで、しばらく話をしたあと、クリスは車でバスステーションまで送ってくれました。そしてウエストポート行きのバスにのり、いよいよウエストポートへ。

午後2時ごろだったかなー、到着したのは。そしてこの日は泊まるところをきめてなかったので、適当に目抜き通りの安そうなホテルにチェックイン。町へでて食事をして、本屋でしこたま本をゲット。ここでなんクラナドのモイア・ブレナンの自伝も手にいれたのですが、この内容がけっこうショッキング。日本ではなかなか手にはいらないかもしれませんが、ぜひおすすめですよ。

さて夜になって、有名なマット・モロイズ・バーに到着。すでにすごい人で、このパブの裏のヤードバーという小さなスペース(100人くらいでいっぱいかな)で、今日は12月に来日がきまったフルックのライブです。なんと会場にはメイヨー在住のトミー・フレミングもちらっと姿をみせました。どうやらコンサートというよりは、友達にあいにきた感じでしたが、あいかわらず元気そう。しかしこのマット・モロイズ・バー。さすがチーフタンズのマットのバーということで、壁には貴重なポスター、ボシーバンドからチーフタンズまでの貴重なポスターがわらわらとはってあり、まさにトラッドファンの聖地といったところ。

さて、9時半くらいだったかなー、やっと開場になって、席にすわってまっていると、出演前に、セーラ・アレンがわざわざ奥からでてきて挨拶にきてくれました。本当に彼女はリーダーとしてしっかりしているというか、男の子たちをまとめている、という感じです。「日本にいくのをすごく楽しみにしている」としきりにいってました。

今日の会場はとにかくすごくせまくて、ステージの上はいっぱいだし、そのステージの上で、バンドみずからPAをやらないといけない、というすごい状況。それでも1部、2部とすばらしいライブをみせてくれました。あいかわらずジョン・ジョーと、エドのバックアップは最高だし、セーラとブライアンの息の合ったダブルフルートは本当にさすがです。ときどきセーラのフルートがベースみたいになったり、セーラがアコーディオンをひいたり、と、ヴァリエーションにとんだアレンジも見事。

終わるとビザ用の書類をかいたり(セーラは男の子たちの分までテキパキと記入してました)、写真をとったりして、来日にむけて準備をバタバタ・・。もう少し一緒にのんだりしてメンバーと交流をはかりたかったのですが、とても疲れたし、なにより明日の朝も早いので、そのままホテルにかえって寝てしまいました。(しかしこの滞在中、ほんとよく食べて、よく寝れる!という感じ)
 

8月22日 ダブリン

この日は、基本的には移動日です。ウエストポートから朝7時のバスで5時間半くらい。ダブリンにもどってきました。ブルームスにふたたびチェックインすると、さっそく銀行へいったり、なんだりで、ばたばたすごし、ふたたびダラのオフィスに顔を出して、ウエストポートでかった本の山をあずける。(のちほどCDと一緒に送ってもらおうという段取り)

この日の夕方から90年代のはじめ香港で、ずっとアイリッシュミュージックのフェスティバルを制作していたパトリック・ハーリーさんのお宅をたずねました。奥様のリズさんと一緒に香港でフェスティバルを制作していたパットさんは、たいへんな伝統音楽のコレクターで、貴重なコレクションをたくさん、みせてくれました。まずびっくりしたのが、玄関にはいったところに飾られたトミー・ピープルズの大きな絵。トミー・ピープルズの最新盤のジャケットにつかわれている、あのイラストの原画です。かなり大きくて、2m四方くらいあるんじゃないでしょうか。とにかくすばらしい絵で、しばらくみとれてしまいました。同じシリーズで、ほかのフィドラー(マーティン・ヘイズなど)の絵もあるのだそうです。一度みてみたい!

さてちなみにこの写真は、貴重なフランク・ハートのCD化されてない2枚と、ショーン・オリアダ全コレクションです。パットさんは若いミュージシャンなどを家によんで、食事をご馳走したり、貴重な昔の音源などをきかせたりしているそうです。この日のリグ・ア・ジグいうバンドのマイケルさんが、私たちに合流し、みんなで貴重なCDを聞いたりして、とてもたのしくすごしました。パットさんはまたボシーバンドのコンサートはほとんど、行ったのだそうです。そんな話もききながら、夜も12時近くまでおじゃましていたでしょうか。タクシーを呼んでもらおうとしたら、わざわざパットさんは車でホテルまで送ってくれました。途中、車をユータ-ンさせてとある家の前でとめると「ここがショーン・オリアダが毎週リハーサルしていた場所だ」と教えてくれました。

また、私がこの伝統音楽の仕事だけで生活している、というとびっくりしていました。たしかにこちらでは音楽だけで生活していけているのは、ほんの一部の人にしかすぎません。でもこういったパットさんのような方がシーンをささえているのも事実です。これからパットさんには、うちのホームページでも登場してもらい、ダブリンでのコンサートレビューなどを書いてもらおうかな、と思っていますので、楽しみにしてください。

この日は、そんなわけで、またホテルに帰るとバタンキューで寝てしまいました。(こればっか)

8月23日 ダブリン〜リンカンシャー

朝9時の飛行機にのり、今日はアイオナのデイヴ・ベインブリッジを訪ねてイングランドへ。ダブリンからリーズ空港へ。そこからさらにブリットレイルの駅に移動し、そこからデイヴに「何時の電車にのるよー」と伝えると、電車にのってデイヴの家の最寄の大きな駅ドンカスターへ。ドンカスターまでデイヴが車で向かえにきてくれました。ここからさらに車で40分くらい。はっきり言ってすごい田舎です。なんと人口900人で、店(いわゆるポストオフィスもかねているイギリスの田舎にありがちな店)が一件、パブが2件あるだけの超田舎。でもそのすばらしい環境にデイヴ一家がすんでいます。こんなすばらしいところからアイオナの音楽が生まれるんですね。デイヴの家は、奥さん、ルカ(3歳)、イーヴィ(1歳)という家族構成で、家の中はおもちゃの山ですごい状態になってました。私はピアノ室に泊めてもらいました。

午後は町の中をのんびり散歩。夜は奥さんの手料理をご馳走になり、子供が寝たあと、パブにくりだし、お隣のスティーブさんといっぱいやりつつもパブにくりだし(これがまためちゃくちゃいかした田舎のパブ)12時くらいまで飲んでました。「明日は子供が朝早いから朝早くおこしちゃうことになるよ」とのことなので、早めに寝ました。(人の家にとまったというのに、これまた遠慮なく、超爆睡してしまいました。)
 

8月24日 リンカンシャー〜ダブリン

というわけで、しっかり朝の6時半には、ルカにたたきおこされました。朝ご飯をゆっくりたべて、しばらく庭で遊んだ跡、トロイの家に電話してみよう、ということになりました。本当はトロイは、23日にデイヴの家にくることになってましたが、急なフェスティバルの仕事でこれなくて、もしできれば翌朝にでも会えるかなーと思っていたんですが、けっきょくうまく調整がつかなくて、会えなかったんですが、それでも電話で話せたのでよかったです。さて午後飛行機の時間までしばらくあるね、ということで、デイヴ一家とお買い物もかねて、リンカーンの聖堂をみにいきました。この旅はじまっていらい、はじめての観光で、どうも観光ぎらいの私は、はじめは乗り気ではなかったのですが、いってみると、その壮大な建物にすっかり感動しまくってしまいました。その後カフェで簡単に昼食をすませると、ふたたびデイヴ邸にもどり、今度は結局リーズの空港までデイヴは送ってくれました。デイヴありがとう!

と、こう書くとずっと遊んでいるようにみえますが(笑)、ちゃんと仕事の話もしてきました。アイオナのボックスセットはおそらく来年2月、ニューアルバムはおそらく来年末くらいじゃないかな。けっこう長くかかりそうです。

あ、そうだ、ボックスセット用にデイヴがひっぱりだしてきた、アイオナの昔の写真をしこたまみせてもらいました。かなり笑える写真もあります。本当にボックスセット、たのしみですね。それからスタジオ盤用のデモテープも何曲かきかせてもらいました。ジョーの作品でピアノの弾き語り状態のものを2曲きかせてもらいましたが、とてもよかったです。本当に楽しみ!

さてそんなわけで、再びダブリンに戻り、ご飯を食べると、またバタンキューで爆睡してしまいました。(こればっか)
 

8月25日 TONDER FESTIVAL(デンマーク)

いよいよ今日からデンマーク。名門トゥナー・フェスティバルです。このフェスティバル、今年は25周年。毎年フォークルーツで広告をみるたびにいってみたいなーと思っていたのが、やっと実現しました。朝、ダブリンからクラナドやパディ・モロー二、ポール・ブレイディなど多くのアーティストのドライバーをしている、おなじみジミーの車で空港へ。(知っている人に見送ってもらうというのは、いいものです!)ダブリンからのフライトでビルンという空港に到着。ここから下手すると公共の交通機関をつかってエッチラオッチラ、トゥナーまでいかないといけないかなーと思っていたら、空港の荷物ピックアップの場で、ルカ・ブルームに再会。彼らの車に便乗してトゥナーまで乗せていってもらいました。(ありがとう、フェスティバルの皆さん&ルカ!)

とにかくこのフェスティバル大きなフェスティバルで、小さな何もないトゥナーの町に25000人もこの期間は集まって超盛り上がるわけです。大きなテントが2つ、あとは、トゥナーの町にひろがるいくつかのバーや、コンサートホールなど、あちこちでライブが行われます。

出演アーティストは、メインアクトがメアリー・ブラック、カナダのなんとか、ルカ・ブルーム、デ・ダナン&ドロレス・ケーン、話題のダヌー(フィドルがめちゃウマ。フルートの子とボーランの子もかなりうまい。テクニカルメリット高し)とノース・クレッグ(ルナサのキリアンでもおなじみヴァレリー兄弟のもう一人のバンド)、カラン・ケイシー(だんなの二ール・ヴァレリーがバックアップ)、イギリスのバンドではフェルサイドでおなじみジェズ・ロウ(めちゃくちゃイングリッシュだった!)や、話題の422(しかし彼らほとんど子供だった!演奏はすごかったけど)、オイスターバンド、カパーケイリーなどなど。とにかくすごい充実のラインアップ。

そんなこんなで、まず初日は、フェスティバルのメインのテントをしばらく観て(ここではフィドラーの大セッション大会。ダヌーのジェシーくんが光ってました)、レコード屋をみて(ここで大量にCDを購入20枚くらい買ってしまった!! レコード屋でもダヌーやオイスターバンドがインストアをやったりして、これまたすごい盛り上がり)、夜はジェズ、カラン、そしてティム・オブライエンのトリオをみました。

ジェズのステージは、本当にMCからなにから「とてもイングリッシュ。しかもノースの」という感じで、おもしろかったです。編成は、ジェズ本人に、ボーラン&歌のお姉さん、フィドルのお姉さん、ベースのお兄さんという4人。全員歌えるのでコーラスワークは聴きどころでした。歌詞の内容だけでなく、MCまでもが英国の炭坑労働者に関する話で、いかにも、という感じでしたね。

一方のカランのステージは、以前ニューヨークでみたのと一緒。しかし彼女の歌声はすばらしい! しみじみ聞き込んでしまいましたよ。今この手のヴォーカリストで一番はやっぱり彼女じゃないでしょうか。

続くティム・オブラインのトリオは笑えました。こちらこちらで「ヴェリー・アメリカン」。しかし彼ははあんなくだけた性格とは思いませんでしたねー。もっとインテリかと思ってた。しかし音が一発でたとたん「一流のバンド!!」という感じでした。さすが。

この3組を一晩同じステージに組み合わせる、というプロデューサーのアイディアも絶妙だなぁ、と思いました。

さて、ここからまたフェスティバルの別の会場で夜の1時からダヌーのステージ。次々とゲストも登場し、盛り上がりましたが、すっかり疲れた私は、ロン・キャバナ先生の歌を1曲きくとホテルへ戻りました。

そしてまたバタンキューで寝てしまいました。翌朝きいた話によるとこの日、夜中、大嵐だったそうですが、そんなことも気づかず、とにかく爆睡してしまいました。
 

8月26日 TONDER FESTIVAL(デンマーク)

まぁーよく寝た! 翌朝10時くらいだったでしょうか。朝ご飯をたべにいくと、メアリーバンドのパット(キーボード)とマーティン(ドラム)と合流。その後、メアリー&バンドの連中と合流して会場にむかいました。ちなみにこの日はスティーブ・クーニーもゲストで出演。メアリーに、キーボードのパット、ベースのジェイムス(最近アルタンのレコーディングにも参加したらしい)、ギターのビル・シャンリー、ドラムのマーティン(またファミリーネームを忘れてしまった!)のラインアップ。あとはいつものツアマネのダミアン、PAのビリー、楽器のアレックなど、おなじのスタッフ。だんな様で、マネージャーのジョーも一緒にきていました。会場に入ると、まずは1時からのセッション大会。すべてのバンドを15分くらいずつみられるというお得なステージです。メアリーは「暗くなる前に」「ケイティー」あともう1曲なんだったたか忘れちゃったけど、3曲歌って、会場中、超盛り上がっていました。ほかにもデ・ダナンや、いろいろ出て、盛り上がりは最高潮にたっしました。

上記はドロレス・ケーンをフィーチャーしたデ・ダナンのステージ。

しかしこのフェスティバル、楽屋裏でも雰囲気は本当に最高でした。ミュージシャンの楽屋から、町のストリートにいたるまで、あちこちでセッションがはじまるなど、本当に雰囲気が最高。ちなみに楽屋でのセッションはデ・ダナンのアコーディオンプレイヤーで、今度ソロアルバムも秋に出るデヴィッド・ムンレイ君という若いアコーディオンプレイヤーが、完全に中心になってました。その次がダヌーのジェシー・スミスかなぁ。とにかくこの二人めちゃくちゃうまい。しかもステージに出演している時以外も、とにかく延々と演奏していて、ほとんど一日10時間くらい演奏しているんじゃないか、と思われるくらいの勢い。特にデヴィッドは、残念ながら現在のデ・ダナンのステージではフランキー色が濃いので、彼の活躍の場はあまりないのだけど、だだならぬ才能のプレイヤーだということは、一目瞭然。圧倒的に、彼が楽屋のセッションをひっぱってましたね〜。間違いなくあと数年くらいの間には名前が出てくるプレイヤーになるでしょう。スタイルとしては、マーティン・オコナーに近い。とにかくドライブがきいて、めちゃくちゃすばらしい演奏でした。
 

メアリーたち一行は、昼間のケイリーセッションが終わると、お客をいったん出して、サウンドチェックです。サウンドチェックが終わると、みんなで食事。

その後、メアリーたちはいったんホテルに戻りましたが、私はルカ・ブルームのステージをみるために会場に残りました。ルカのステージは、なかなかすばらしかったです。なんと機材の一部が届かないというトラブルがあったのですが、それを感じさせない、すばらしいステージでした。彼のキャラクターもすごくよくって、なかなか感動的なステー時をきかせてくれました。

その後はいよいよメアリーです。メアリーは「緊張してきた」「のどの調子が悪い」などと言いながらも、ステージにあがるともう絶好調で、すばらしいステージをきかせてくれました。本当に、やっぱりメアリーはいいですね! 彼女の歌を聴きながら、涙がでそうになりました。スティーブのギターも手伝って、本当に感動的なステージでした。オープニングは「ターニング・アウェイ」。実は、終わったあと、セットリストをもらおうと思ってたんですが、すっかり忘れてしまい、曲目が正確にはわかりませんが、「ブライト・ブルー・ローズ」、「スピーキング・ウィズ・ジ・エンジェル」、「アイ・ウイル・ビー・ゼア」、「ブレス・ザ・ロード」、「アナザー・デイ」、「フレッシュ&ブラッド」、「モーメンツ」、「コロンブス」、「サマー・セント・ユー」などを演奏しました。最後は「ドント・セイ・オーケー」で終わると、アンコールでデンマークの地元の歌手の人(テレビで共演したらしい)もステージによびこんで、二人で「A WOMAN'S HEART」を歌いました。最後の最後はボブ・ディランの「フォーエバー・ヤング」で終わりました。コンサートが終わったあとも、なんだかんだで2時くらいまで飲んでました。「まだ帰るのは早い!」というメアリー一行にさよならを言って、こちらは、明日の朝は早いし、あまり疲れたまま帰国したくもないので、先に失礼することにして、またホテルにつくとバタンキューで寝てしまいました。


 

8月27日 ビルン、デンマーク〜アムステルダム〜東京

朝7時45分にホテル前に集合、その後、9時にミュージシャンたちを乗せて(オランダのバンドとオイスターバンドが一緒でした。しかしこのへんの段取りがこのフェスティバルはすごくよい)ビルンの空港へ。そこからアムステルダムで乗り継ぎ、今、東京に戻る飛行機の中です。今回は旅は長かった! けれど、すごく楽しかったです! 次に外にでられるのは、いつのことか。当分忙しくて外へは出れそうにないですが、なんとか、あと年内、もう一度くらいは出たいところ。やはり現地でミュージシャンの皆と会うと、すごく仕事のパワーになります。いずれにしても東京で山のような仕事がまっています。がんばらなくちゃー。

では、また。


THE MUSIC PLANT HOME PAGE